こんにちは、中国・上海の執行 一希 (ジッコウ カズキ)です。
本日は売掛金が回収できない場合の対処法(会計・税務)についてお話します。
取引先が倒産した!そんな状況に遭遇したことは長らく仕事をしているとあるでしょう。法務的な対応は別のブログで扱うとして今回は会計・税務の面から取り扱います。
日本での経験を中国でも同様にあてはめ行動するのではなく、日本と中国を比較し、問題が発生した際の一助となればと思います。加えて、売掛金が回収できない状況に遭遇したらまずは会計事務所、弁護士にご相談下さい。
■日本の場合
・会計上の仕訳
- 売掛金/売上 (計上されていた売掛金)
- 貸倒損失/売掛金 (売掛金を消込、損失計上)
・税務上の処理
条件を満たした場合、損金として算入(法人税法上)。
損金算入条件の詳細は下記国税庁HPから参照下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5320.htm
■中国の場合
・会計上の仕訳
- 売掛金/売上 (計上されていた売掛金)
- 貸倒損失/売掛金 (売掛金を消込、損失計上)
・税務上の処理
損金算入の条件を満たし、所轄税務局税務局へ必要資料の提出後に、
損金として認められた場合、損金算入。
【損金算入適用条件】
財税[2009]57号『企業資産損失の損金算入政策に関する財政部及び国家税務総局の通知』第4条によると、次に掲げる条件のいずれかに適合する場合、回収可能金額を控除した後の回収可能性のない売掛債権については、貸倒損失として課税所得の計算上、損金算入することが可能です。
- 債務者が法に基づき破産を宣告し、閉鎖し、解散し、若しくは取り消され、又は法により営業許可が抹消され、若しくは取り消された場合において、その清算財産が弁済に不足するとき
- 債務者が死亡し、又は法により失踪若しくは死亡を宣告された場合において、その財産又は遺産が弁済に不足するとき
- 債務者が3年以上期限を徒過して弁済せず、かつ、既に債務を弁済する能力がない旨を証明する確実な証拠を有するとき
- 債務者と債務再編合意を達成し、又は法院が破産更生計画を認可した後に、債権を追求するすべのないとき
- 自然災害又は戦争等の不可抗力により回収するすべのなくなったとき
- 国務院の財政及び税務主管部門が定めるその他の条件
【損金算入必要資料】
債務者の破産清算に属する場合には、人民法院の破産及び清算公告を有しなければならない。
3. 訴訟事件に属する場合には、人民法院の判決書若しくは裁決書若しくは仲裁機構の仲裁書又は法院により執行を終了(中止)する旨を裁定された法律文書を提出しなければならない。
4. 債務者の営業停止に属する場合には、工商部門による営業許可証の抹消又は取消しに係る証明を有しなければならない。
5. 債務者の死亡又は失踪に属する場合には債務者個人に対する公安機関等の関係部門の死亡又は失踪証明を有しなければならない。
6. 債務再編に属する場合には、債務再編合意及びその債務者の再編収益に係る納税状況に係る説明を有しなければならない。
7. 自然災害及び戦争等の不可効力に属し回収するすべのない場合には、債務者の被災状況に係る説明及び債権を放棄する旨の表明を有しなければならない。
日本と中国を比較すると、中国で売掛金の回収ができなかった場合、かなりの労力を必要とします。また、損金算入の申告手続きや所要資料は所轄税務局や担当税務官の解釈によって異なる可能性がありますので、手続きを実際される前に必ず確認されることをお勧めします。そのため、売掛金の貸倒が発生してしまった場合、金額の大きさを確認し、企業所得税のキャッシュアウトに備え、また損失として計上するのであれば迅速に判断し、税務署へ手続きを進める必要があります。
加えて、債権回収のサイクルが長く、金額が大きい企業との取引が多い会社は全体に与える影響を鑑みて、中国における取引先のリスクヘッジにご留意ください。
参照:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5320.htm
財税[2009]57号
国家税務総局公告2011年第25号
東京コンサルティングファーム 中国・上海では売掛金の回収に関するご相談を承っております。まずはご相談くださいませ。
今週もどうぞよろしくお願い致します。
E-mail:jikko.kazuki@tokyoconsultinggroup.com
※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、
最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社
(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co.,Ltd.)は
一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。