こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日は、中国の個人所得税の計算②Q&Aについてお話します。
Q1、中国のローカル企業へ10%分米ドル出資しておりましたが、この度持分譲渡することにしました。持分譲渡し米ドルでお金を受け取るまでの手順を教えて下さい。
A1、手順は下記の通りです。
譲渡条件の調整
↓
条件合意、基本合意書締結
↓
董事会決議、持ち分譲渡契約締結
↓
持ち分譲渡認可申請
↓
納税
↓
送金
上記それぞれのステップで注意すべきことは下記の通りです。
譲渡条件の調整、条件合意、基本合意書締結においては、資産評価・譲渡価格の算出、条件交渉等が必要です。董事会決議、持ち分譲渡契約締結においては、董事会決議の条件:2/3以上の当時の出欠かつ全会一致が必要です。持ち分譲渡認可申請においては、会社設立時の審査認可期間(商務部門)への申請する必要があります。通常、申請後30日以内に返答があります。
納税においては、譲渡益が発生する場合に、納税をする必要があります。実際の納税は持分譲渡先が代理納税します。送金する際は、譲渡契約書や納税証明書等が必要になります。
Q2、持分譲渡する際、中国で発生する税金の種類とその税率、課税対象額、納税方法について教えて下さい。
A2、 『企業所得税』と『印花税』の納税義務があります。
まず『企業所得税』は、日本における法人税で、税率は10%(企業所得税法実施条例第 91 条)課税対象額は譲渡益額、納税方法は譲渡先企業が、譲渡元企業の為に代理納税します。
残りの金額(譲渡価格から税金額を差し引いた金額)を日本に送金します。
なお、企業所得税率については、A社会長(個人)が中国における居住者である場合は、税率20%が適用されます。(国税函[2009]285号)
ただし、A社会長(個人)は中国においては非居住者になると考えられるため、税率は10%が適用される可能性が高いです。
居住者と非居住者の判定については、中国における住所の有無、滞在期間の長短等によって判定されます。
今回のケースの場合、A社会長(個人)が中国に住所を所有しておらず、1年以上の滞在や就労ビザでの中国入国がなければ、通常「非居住者」と判定されます。
次に、『印花税』は、日本における印紙税で、税率は0.05%、課税対象額は契約書に記載されている金額、納税方法は税務局に自己申告で納税(通常は譲渡先企業が譲渡元企業の為に代理納税)します。
(中华人民共和国印花税暂行条例)その他、税務担当官によっては、『営業税』や『増値税納税』(日本でいう消費税)を要求してくる場合がありますが、建物などの資産譲渡ではなく、持分譲渡である旨を税務担当官へ説明すれば、通常納税する必要はありません。
以上です。
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