バングラデシュにおける自主退職と雇用主側の契約解除の事前通知期間

労務

バングラデシュでは、労働者側からの退職通知(Termination)と雇用主側からの解契約解除通知(Termination by an employer otherwise than by dismissal)期間が定められています。

 

①  労働者側からの退職通知(Termination)

②  雇用主側からの解雇通知(Termination by an employer otherwise than by dismissal)

について紹介します。

 

①  労働者側からの退職通知(Termination)

正社員が退職する際には、書面にて60日前までに雇用主に退職の旨を伝える必要があります。(労働法第27条)

契約社員も書面にて退職の旨を伝える必要性については同様ですが、契約社員が月額給与支払の場合は退職日の30日前までに、契約社員がそれ以外の雇用形態の場合には退職日の14日前までとなっています。(図1参照)

 

<図1>

雇用形態

退職日までの通知期間

正社員

60日前まで

契約社員(月額給与支払)

30日前まで

契約社員(月額給与支払以外)

14日前まで

 

バングラデシュの労働法上、労働者が雇用主へ知らせることなく辞職することも可能です。労働者が、本来定められた期間<図1>にあたる給料を雇用主に支払えば辞職が可能となっています。

 

 

②  雇用主側からの解雇通知(Termination by an employer otherwise than by dismissal)

雇用主が雇用主側の都合で月額給与支払の正社員を解雇する際には、書面にて120日前までに解雇の旨を伝える必要があります。(労働法第26条)

月額給与支払以外の正社員も書面にて解雇の旨を伝える必要性については同様ですが、解雇日の60日前までの通知が必要となっています。(図2参照)

月額給与支払の契約社員については、解雇日の30日前まで、それ以外の契約社員の場合は14日目までです。政府プロジェクト等で一時的な雇用契約を結ぶ社員について、月額給与支払の契約社員に分類されます。

 

<図2>

雇用形態

退職日までの通知期間

正社員(月額給与支払)

120日前まで

正社員(月額給与支払以外)

60日前まで

契約社員(月額給与支払)

30日前まで

契約社員(月額給与支払以外)

14日前まで

 

バングラデシュの労働法上、雇用主が通知期間中に労働者を解雇することも可能です。

雇用主が、本来定められた期間<図2>にあたる給料を労働者に支払えば即日解雇が可能となっています。

 

上記のように、労働者側からと雇用主側からの通知期間が異なるため、社員の退職時には、注意が必要です。

また、上記どちらの場合でも社員が退職する際には退職金を支払う必要があります。

退職金の計算方法は下記の通りです。

【勤続年数6カ月以上10年未満】

退職金=30日分の基本給×勤続年数

【勤続年数10年以上】

退職金=45日分の基本給×勤続年数

 

バングラデシュでは、就業規則や雇用契約書等で自主退職もしくは解雇通知期間の日数を記載しないケースが少なくありませんが、これらを整備することで退職時に社員との間で起こりうるトラブルを軽減することにも繋がります。

以上

 

Tokyo Consulting Firm Limited

 

齋藤かおり

 

Tel: +880-1777-961437

 

E-mail saito.kaori@tokyoconsultinggroup.com

 

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