税務コンプライアンスの傾向(2018-2019年度)

バングラデシュの事業年度は7月~翌年6月末となっており、毎年6月初旬に予算案が発表され、6月下旬に新年度予算が確定します。

2018-2019年度バングラデシュ予算案も2018年6月7日に発表されました。GDP成長率7.8%を目指しています。

2018-2019年度予算規模は約4兆6,457億BDTとしています。これは、2017-2018年予算(約3兆7,149億BDT)の25%増という事になります。これに対して、2018-2019年度税収は3兆3,928億BDTで設定されており、これは2017-2018年税収予測(2兆5,945億)の30%増という計算となります。

 

これに伴い、税収の取締りも強化されていきそうです。具体的には、国際取引にかかる税務、税務申告不備・遅延・不履行に関する取締りの強化、及び従業員所得税に関するコンプライアンスについて焦点が当てられていきそうです。

 

【国際取引にかかる税務】

ビジネスのグローバル化に伴い、税制もグローバル水準にしていくと予算案発表の際に言及されていました。バングラデシュでは、移転価格税制が2015-2016年度税務申告時より導入されていますが、現状、国際関連会社間取引を行っている企業でも、移転価格申告を行っていない企業が多く存在します。今後は国際取引に対して、バングラデシュにおいて適正価格で取引・申告されているかの取締りが強化されていく風潮になっていきそうです。

 

【税務申告不備・遅延・不履行】

現在の税法でも、遅延や書類不備に関する罰則規定は設けられていましたが、それに対して実際にペナルティを計算し、支払を行うケースは殆どありませんでした(納税不備による指摘、納付要請はありますが、それに対し遅延料金を支払うケースは殆どありませんでした)が今後取締りが強化され、税務署より細かく指摘が入るケースが出てきそうです。

 

【従業員個人所得税に関するコンプライアンス】

2017-2018年度より、税務署より個人所得税について指摘されるケースが多く発生していました。また、税務署からの大きな指導内容として、個人所得税の納付時に、会社の納税コードで納付するよう変更があり、会社が適切に従業員給与から個人所得税を源泉しているかどうかを把握できるようになってきました。2018-2019年度予算案でも、明確に従業員個人所得税に係るコンプライアンスについて強化していく旨発表されていますので、コンプライアンスを再確認し、月毎に適切に運用していく必要があります。

 

 

 

(以上)

 

Tokyo Consulting Firm Limited

渡邊 忠興 (わたなべ ただおき)

Tel: +88-017-99842931

E-mail watanabe.tadaoki@tokyoconsultinggroup.com

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