インド進出支援

チェンナイ進出

チェンナイ進出のメリット

1.生産・輸出に最高の立地

チェンナイは、インド南端のタミル・ナドゥ州の州都です。ベンガル湾に面しており、チェンナイ港、エノール港など国内有数の港が集中する港湾都市です。古くから「南インドの玄関口」として栄え、生産・輸出の拠点にするため外国企業が多く進出しています。
さらに近年では、チェンナイ・バンガロール産業回廊構想(CBIC)と呼ばれるプロジェクトが日印両政府の合意のもと推進されています。チェンナイとバンガロール近郊に日系企業の8割が進出しており、バンガロールはチェンナイで盛んな自動車産業と関連性の高いIT企業が多く進出しています。このチェンナイとバンガロールの経済的連結を高めることで、開発拠点としてさらなるメリットを教示することができます。

2.投資が活発な工業団地・経済特区

インドでは一から自力で土地収用することが難しいため、現地で工場を設立する際は工業団地への入居が一般的です。チェンナイ進出の魅力は、優良な工業団地の増設・整備が進み、さらに経済特区(SEZ)の開発にも活発に投資が行われていることです。自動車産業やエレクトロニクス産業の企業が多く進出し、日産・ヒュンダイ・フォード等の工場が集まる「自動車ベルト」が形成されました。こうしたことから「インドのデトロイト」とも呼ばれ、世界中から製造業がチェンナイに進出しています。
インドでは、タイやインドネシア等の東南アジア諸国とは異なり、工業団地の多くが、開発主体が州政府機関となっている点です。チェンナイのあるタミル・ナドゥ州でも、多くの工業団地の開発、運営はタミル・ナドゥ州産業振興公社(SIPCOT)が行っています。タミル・ナドゥ州では、外資企業の進出を促すための窓口機関を設置し、進出した企業の便宜を図っています。この一例として事業投資の問い合わせなどを一元的に受け付ける窓口機関として「ガイダンス・ビューロー」と呼ばれる機関があります。ここでは各種申請を一元的に処理することができます。

3. チェンナイの投資優遇政策

前述の通り、インドの工業団地は州政府が多く開発主体となっており、州との交渉により、優遇措置を受けることができます。業種や地域によって取扱いが異なりますが、チェンナイ進出では、IT産業や自動車産業などの製造業が多く進出しており、こうした業種が交渉に有利になると考えられます。

【タミル・ナドゥ州の投資優遇措置(一部抜粋)】
適用条件 メガプロジェクト未満 メガプロジェクト スーパー
メガプロジェクト
ウルトラ
メガプロジェクト
最低投資額 10億ルピー
以下(3年)
10~20 億ルピー
(3 年)
20~35 億ルピー
(3 年)
35~150 億ルピー
(3 年)
150~400 億ルピー
(5 年)
400 億ルピー以上
(7 年)
印紙税 50%免除 100%免除
電気税 3年間免除 4年間免除 5年間免除 10年間免除
補助金 300万又は
600万ルピー
1000万ルピー 1500万ルピー




中間購入時 無し 完成品販売時と同様
完成品
販売時
無し 州政府によりVAT又は中央販売税が、以下のどちらかの措置を受けることができる
①21年間の税額払い戻し
②税額分を0.1%金利・返済期間21年間のソフトローンとして受け取る
機械
資本財
購入時
無し 最初の投資から
5年以内のVATを全額還付
最初の投資から
7年以内のVATを全額還付
電力供給 無し 州政府との交渉により、電力の安定供給を得られる可能性あり
JETROチェンナイ事務所のデータを基に作成

チェンナイ進出の注意点

1.インド国内でも大きく異なる文化

インド進出の注意点は、州や地域ごとに言語、文化などが異ることです。チェンナイが所属するタミル・ナドゥ州は、「タミル人の国」と呼ばれており、人種や文化が他のインド国内と比べて大きく違います。特にタミル語はヒンディー語とは文字も文法も異なります。こうした文化の違いを乗り越えることは容易ではなく、トラブルも多く発生しています。

2.供給不足・開発遅行の工業団地

チェンナイ進出の魅力は、数多くの工業団地による誘致政策ですが、すぐに販売終了となってしまうため、かなり競争が激しくなってます。例えばオラガダム工業団地では、分譲された工場用地は1,189万㎡と大規模ですが、現在は完売で空きはありません。また開発面として、電力については公営・民間いずれでも工業団地としては管理していないため、州政府の電力公社と直接やり取りをすることになります。これが原因で停電が日常的に発生しており、敷地内での自家発電装置をそれぞれの工場が独自に備えなければなりません。
加えて、東南アジア諸国の工業団地との違い、工場運営に付帯して必要なサービスをインド南部の公営工業団地では一切提供しておりません。例えば東南アジア諸国の工業団地は入り口にゲートがあって出入りが管理され、工業団地内の土地と周囲の土地が分けられているのが一般的です。一方インド南部の公営工業団地では入り口にゲートはなく、周囲もフェンスなどでは囲まれていないので、どこからどこまでが工業団地なのかわかりづらくなっています。

3. 複雑な規制・税制

インド進出の注意点としてよく挙げられるのが、Budgetと外資規制です。Budgetとは、政府が毎年2月に発表する予算案のことで、主な内容は税制改正等になります。これにより、インドの税制はほぼ必ず毎年変更されるので、適応するのに現地企業でも混乱が起こります。特定のエリアへの進出・投資に対して減価償却の面で優遇策を講じるといった投資を促す政策も含まれるので、今まで得られていたメリットが突然消失するということも起こりえます。
外資規制については、例えば外国資本の出資比率は業種別に規制されています。また業種によっては進出前に、政府機関より事前承認を得る必要があります。承認の可否は、FIPB(外国投資促進委員会 Foreign Investment Promotion Board)が判断しますが、そもそも外資規制のための制度ですので、その審査・承認取得までには相当程度のコストと時間を要することとなります。

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