ベトナムの投資Q&A ベトナム人IT技術者を日本法人で雇用

労務

こんにちは、ベトナム、ハノイ駐在員の浅野です。


Q, ベトナム人IT技術者を日本法人で雇用したいと考えています。どのような方法があるのでしょうか。


A, ベトナム人IT技術者を日本法人で雇用するためには、在留資格認定証明書の取得が必要となります。外国人は短期滞在以外の目的で日本に滞在する場合には、申請を行い法務大臣が予め在留資格に関する入国条件との適合性審査を踏まえて、その旨の証明書が交付される仕組みがあります。この場合に交付される文書を在留資格認定証明書と言います。

 提出者は、入国を希望する外国人本人あるいは当該外国人を受け入れようとする機関の職員その他法務省で定める代理人となり、居住予定地または受入機関の所在地管轄の地方入国管理官署に提出することになります。

 申請時の必要書類ですが、在留資格認定証明書交付申請書・身元証明書・質問書・申立書・外国人患者に係る受入証明書の他に、日本での活動内容に応じた資料の提出が求められます。今回の場合、ベトナム人IT技術者を日本法人で雇用するとのことですので、「技術」あるいは「技能実習」(詳細は後述)該当するとして申請することになります。


1) 「技術」の場合

認定証明書交付申請書や日本の証券取引所に上場している場合や、前年分の給与所得の全線徴収票等の法廷調べ書合計表中、給与所得の源泉徴収票の源泉徴収税額が1,500万円以上ある場合に該当しない企業・組織については要求されるものが更にあります。また、実際に雇用する場合には就労ビザの取得も必要です。


○「技術」申請時の手続フロー

1. 在留資格認定証明書交付申請

勤務予定地管轄の地方入国管理局にて、本人の在留資格認定証明書交付申請を行う。外国人本人が日本にいなければ、雇用主企業職員や地方入国管理局に届けだされた行政書士が入館に出頭し申請する。数日~数か月で通知される。

2. 就業ビザ申請

雇用予定外国人が在留資格認定証明書と必要書類を海外の日本領事館へ持参し就業ビザを持参する。

3. 雇用予定外国人の来日・就業

 在留資格認定証明書交付日日付から3か月以内に来日する必要があります。



2)「外国人技能実習」の場合

「外国人技能実習制度」

 この制度は、最長3年の期間において海外からの技能実習生(以下、技能実習生)が雇用関係の下、日本の産業・商業上の技能等を習得することを内容とするものです。企業単独型と団体監理型の2つのタイプがあります。団体監理型は商工会や中小企業団体等営利を目的としない団体が技能実習生を受け入れ傘下の企業等に技能実習を実施するタイプであるため、今回のように日本の企業等が海外の現地法人、合弁会社、取引先企業の職員を受け入れる場合には、企業単独型のタイプに該当します。

 また、技能実習制度を用いる場合には、以下の受入対象者の範囲、受入要件について確認しておく必要があります。


○受入対象者の範囲

・日本の公私の機関の外国にある事務所(ex. 支店、子会社、合弁会社等)

・日本の公私の機関と引き続き1年以上の国際取引の実績又は過去1年間に10億円以上の国際取引の実績を有する機関。

・日本の公私の機関と国際的な業務上の提携を行っているなどの事業場の関係を有する機関で法務大臣が告示をもって定めるもの。

 

 ここから言えることは、ベトナムに子会社や支店、合弁会社がある場合にはそこに所属するベトナム人を日本法人で雇用することは技能実習制度を用いて行うことが出来ます。しかし、ベトナムに子会社や支店がない場合には、1年以上の国際取引実績や10億以上の国際取引実績のある機関というように、本制度の適用要件が厳しくなるため注意が必要と言えます。


○1号イ(企業独立型で入国1年目となる技能者)の受入要件

1) 技能実習生

a) 海外の支店、子会社又は合弁会社の職員で、当該事務所から転勤し又は出向するものであること。

b) 習得しようとする技能等が単純作業でないこと。

c) 18歳以上で帰国後に日本で習得した技能等を活かせる業務に就く予定があること。

d) 母国で習得することが困難である技能等を習得するものであること。

e) 技能実習生(その家族等を含む。)が送出機関(技能実習生の送出業務等を行う機関)、実習実施機関等から、保証金などを徴収されないこと。また、労働契約の不履行に関わる違約金を定める契約等が締結されていないこと。

2) 実習実施機関に係る要件

a) 活動予定時間の1/6以上の時間で講習の実施を行うこと。

b) 他の技能実習指導員や生活指導員の配置、技能実習日誌の作成、技能実習生に対する報酬、宿舎の確保、労災保険等の保障措置その他団体監理型の場合の要件と同様の要件を満たすこと。


○技能実習制度利用時の手続フロー

1. 在留資格認定証明書の交付申請

 技能実習生を受け入れる実習実施機関(企業単独型のみ)は、まず、地方入国管理局に在留資格認定証明書の交付申請を行います。この証明書は、申請に係る技能実習生が入管法令の定める許可要件に適合することを証するもので、有効期間は3ヶ月です。

2. 査証(ビザ)の取得と上陸許可

 技能実習生として日本に上陸する外国人は、有効な旅券と査証を所持する必要があります。査証は、在留資格認定証明書等を提示して日本の在外公館に申請します。そして、日本の空港・海港で旅券、査証等を入国審査官に提示し、在留資格「技能実習1号イ(又はロ)」在留期間1年(又は6月)とする上陸許可を受けて初めて技能実習生としての活動ができます。

3. 在留資格変更許可 

 技能実習1号から技能実習2号(入国2年目、3年目に必要となる資格)へ移行する技能実習生は、移行対象職種・作業等に係る技能検定基礎2級等の試験に合格した上で、地方入国管理局に在留資格変更許可申請を行うことになります。この申請は、在留期間が満了する1ヶ月前までに行わなければなりません。今回の場合、1年を予定しているのでしたら関係はありません。

4. 在留期間更新許可

 技能実習1号(在留期間6月の場合)や技能実習2号について、技能実習生は、通算して滞在可能な3年の範囲内で、在留期間の更新申請を地方入国管理局に行うことができます。この申請時期は、在留期間満了の1ヶ月前までが好ましいと言えます。

5. 在留カードの交付 

 新しい在留管理制度では中長期在留者が対象者となり、在留カードが交付されます。技能実習生で、例えば「在留期間」が1年又は6か月の許可を受けて在留している場合には、在留カードが交付されます。ただし、2012年7月9日前から在留されている方が外国人登録証明書を所持している場合には、その外国人登録証明書は、一定の期間は在留カードとみなされます。


以上をベトナムに子会社等の現地法人の有無によりまとめて終えたいと思います。

ベトナム現地法人がある場合

 この場合、在留資格手続を「技術」でする場合と、「外国人技能実習」を用いる場合があります。前者に関して、まず在留資格認定証明書は、受入先の日本企業の職員が本人に申請できるものであります。就労ビザは在留資格認定証明書申請後に外国人労働者が自ら取得するものとなっています。後者に関して、海外の支店や子会社、合弁会社に所属する外国人であれば、日本企業は受け入れることが出来ます。それ以外に、1年以上の国際取引を行うあるいは10億円以上の国際取引実績のある会社や組織に所属する外国人を受け入れる

こともできます。


ベトナム現地法人がない場合

 この場合にも、在留資格手続を「技術」でする場合と、「外国人技能実習」を用いる場合があります。前者に関して、まず在留資格認定証明書は、ベトナム現地に子会社や支店等が存在せずとも、受入先の日本企業の職員が申請をすることができます。その後の就労ビザ申請に関しては、ベトナム人が日本領事館にて申請することになります。後者に関して、ベトナム現地法人が無い場合には非常に限られた場合にしか出来ないと言えます。1年以上の国際取引を行っている、あるいは10億円以上の国際取引実績のある会社や組織に所属する外国人を受け入れるという形でないと、申請が受領されない可能性が高いです。


【注意点】

○在留資格取消制度

 付与された在留資格について在留期間が満了するまでは原則として日本に在留できますが、虚偽申告、不利事実の隠蔽、虚偽文書などの不正手段により上陸許可され、在留資格を付与されていることが判明した場合や、付与された在留資格の活動を一定期間以上成されない場合、届け出を怠る場合には、法務大臣により在留資格が取り消されることがあります。

1. 上陸拒否事由該当性に関する虚偽。在留資格該当性に関する虚偽。

=出国期間の指定無く、退去強制事由に該当


2. 1以外の虚偽(学歴・職歴等)、申請書類不実記載、虚偽の在留特別許可、在留資格活動の継続性(付与された在留資格の活動を正当な理由なく、継続して3か月以上行わず在留し、その活動を行う見込みのないもの)、身分の在留資格活動の継続性(日本の配偶者等、永住者の配偶者等で責任を有する配偶者が、正当な理由なく配偶者の身分を有する者として活動をすること。)、住居地届出義務懈怠、新住居地届出義務懈怠、住居地届出の虚偽

=出国機関の指定有→指定期間内に適法に出国


○不法就労助長罪の強化

 雇用した企業に対して課せられていた「不法就労助長罪」が強化されることになり、不法滞在

「雇用主が不法就労者と知らずに雇用した場合でも、知らなかったことに過失があった時は罰則が課せられる。」と規定され、雇用主企業の知らないことに対する過失責任も問われる規定へと改正され、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金という罰則が課されることがあります。

 パスポートや外国人登録証明書等の在留資格・在留期限確認だけでなく、入管法上管理が必要な個人情報収集もやることが対策になると考えられます。


○雇用時・退職時

 就労系の在留資格を保持する外国人社員を雇用・受入する企業には以下のような届出の義務が課せられました。(努力義務)

・役員就任時、社員雇用時

=14日以内に地方入国管理局又は東京入管へ直接届け出又は郵送

・役員・社員の退任、解雇、退職時

=14日以内に地方入国管理局又は東京入管へ直接届け出又は郵送


参考:JITCO 公益財団法人 国際研修協力機構


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