賃貸契約を結ぶ際の注意点

法務

皆さん、こんにちは。

ベトナム・ハノイ駐在員の神田です。

 

質問)

ベトナム・ハノイで賃貸契約を結ぶ際の注意点について教えて下さい。

 

回答)

現地での賃貸物件について複数回にわたり回答していきます。第三回は、ベトナム・ハノイで賃貸契約を結ぶ際の注意点についてです。

 

今回は、ベトナムと日本の賃貸契約の違いについて簡単に説明いたします。結論から言うと、特に大きな違いはありませんが、重要な違いとしては「何か月分の前払い家賃(デポジット)を支払うのか」、「契約書内容の詳細確認」の2点が挙げられます。

 

まず初めに、一つ目の前払い家賃の金額についてお話いたします。日本で不動産を賃貸する場合、通常「約2か月分の前払い家賃」を支払うケースが多いですが、ハノイの一般的な家賃の支払いは、日本とは異なります。ハノイでは「数ヵ月分を前払い家賃として」支払わなければなりません。支払い方法は3か月分前払い、半年分前払い、1年分前払いなど様々ですが、最近では3か月、半年分の前払い家賃が多くなりつつあります。これに加え入居時には家賃1か月分の保証金が必要になります。保証金は退去後、おおよそ全額返金されます。オーナーが会社に属している場合につきましては、通常VAT Invoice(付加価値税10%)が発行されますが、オーナーが個人の場合、VATが発行されないケースもございます。その際には大家の方から「申告書」と「納税に関わる資料」のを受け取ることで、会社として家賃の損金計上をすることが可能となります。

 

二つ目は契約書内容についてです。契約書の中で確認しておくべき事項を以下にまとめましたので、ご確認ください。

<賃貸契約を結ぶ際の注意点>

・デポジットの返金条件

→前払家賃の返金制度の有無。

・備品の破損の場合の責任

→修繕費用は大家が持つかどうか。

・電気代等の費用負担が明示されているか

・オーナー都合での退去の場合の補償

→保証金と前払い家賃の未使用分日割額が返金されるかどうか、その他保証の確認。

・家賃に含まれるもの、含まれないもの

→家賃以外に別途かかる費用を再確認。

・賃貸料の支払い方法について

→銀行振込の通貨、前払家賃の支払日、次回の振込日の確認。

・保証金について

→返金制度の有無。

・賃貸借契約の終了について

→転勤・帰国の場合のペナルティー有無。

→及び、その他具体的な賃貸借契約の終了事項についての確認。

以上となります。

又、契約につきましては、現地での身元を証明する書類(ご本人様、ご家族の代表者のパスポートとビザ)が手続き上必要になります。法人名義で借りる場合、法的代表者様のご署名と捺印も契約時に必要となります。日本の契約書とは違いベトナムの契約書は「ベトナム語+英語(日本語)」で作成されるのが一般的であり、ベトナム語版と外国語版のいずれが優位するかという点につきましては法律上の定めがある場合もない場合もあります。その点を考慮して契約書をチェックする際に気を付けておきたい注意点としては「ベトナム語版が優位なケースなのか」、「当事者がどちらを優位するか定められるというケースなのか」、「同等の効力を有するというケースなのか」この3つに分類されるので、個別に確認していくことが大切になります。

 

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