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【海外進出】クロスボーダーM&A契約(SPA)の主要条項と留意点を徹底解説に変更

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ名古屋拠点の湯浅綾佳です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「【海外進出】クロスボーダーM&A契約(SPA)の主要条項と留意点を徹底解説に変更 」についてお話させていただきますこうと思います。

 

 

 クロスボーダーM&Aでは、企業価値評価やデューデリジェンス(DD)に時間を費やす一方で、契約交渉については「ひな形を修正するだけ」と考えられることがあります。

 しかし実際には、SPA(Share Purchase Agreement:株式譲渡契約)にどのような条件を定めるかによって、買収後に発生したリスクを誰が負担するのかが決まります。

 特に海外M&Aでは、法制度や商慣習が異なるため、日本国内M&A以上に契約によるリスクコントロールが重要です。

 

 本日は、クロスボーダーM&Aにおいて実務担当者が押さえておきたいSPAの主要論点について解説します。

 

【この記事の結論・重要ポイント】

SPAは単なる株式譲渡契約ではなく、買収後のリスクを売主・買主でどう配分するか(リスク・アロケーション)を決める最重要ツールです。

 

特に重要な5つの条項

①表明保証、②補償条項、③前提条件、④競業避止義務、⑤準拠法・紛争解決

DD(デューデリジェンス)で発見できなかったリスクは、SPAの契約条項でカバーする必要があります。

 

SPAは「株式を譲渡する契約」ではなく「リスクを配分する契約」

 SPAは株式譲渡の条件を定める契約ですが、実務ではリスク・アロケーション(Risk Allocation)の役割が非常に大きくなります。

 DDで把握できるリスクには限界があり、税務調査や訴訟、環境問題、不適切な会計処理など、クロージング後に初めて判明する事項も少なくありません。

 そのためSPAでは「どのリスクを売主が負担し、どこから買主が引き受けるのか」を契約条項によって明確に定めます。

 契約交渉とは価格交渉だけでなく、リスクの分担方法を設計するプロセスでもあります。

 

表明保証(Representations & Warranties)

 SPAの中でも最も重要な条項の一つが表明保証(Representations & Warranties)です。

 表明保証とは、売主が対象会社の状況について「一定の事実が真実かつ正確である」ことを表明し保証するものです。

 対象となる事項は多岐にわたり、一般的には会社の適法な設立、株式の所有権、財務諸表の適正性、重要契約、許認可、税務、労務、知的財産、訴訟の有無などが含まれます。

 クロスボーダーM&Aでは、日本国内と比較して情報開示水準が異なることも多く、DDだけでは確認できない事項について、表明保証が重要な補完機能を果たします。

 一方で、買主としては表明保証を広く求めたいのに対し、売主は責任範囲を限定したいと考えるため、契約交渉では対象範囲や重要性基準(Materiality)、売主が認識している事項に限定する「Knowledge Qualifier」などが主要な論点となります。

 

補償条項(Indemnification)

 表明保証違反が判明した場合に、実際にどのような補償を受けられるかを定めるのが補償条項(Indemnification Clause)です。

 例えば、クロージング後に過年度の税務申告漏れが判明し、対象会社へ追徴課税が行われた場合、売主が補償義務を負うのか、それとも買主が負担するのかは、この条項によって決まります。

 実務では補償範囲だけでなく、補償期間(Survival Period)、最低請求額(De Minimis)、補償総額の上限(Cap)、一定額までは買主が負担するバスケット条項(Basket)なども重要な交渉項目です。

 特に海外案件では、税務や環境問題など、発覚までに時間を要するリスクもあるため、論点ごとに補償期間を分けて規定するケースも少なくありません。

 

前提条件(Conditions Precedent:CP)

 SPA締結後、直ちに株式譲渡が実行されるとは限りません。

 クロージングまでに満たすべき条件として定められるのが、前提条件(Conditions Precedent:CP)です。

 例えば、競争法当局の企業結合審査の承認、外国投資規制に基づく許可取得、主要取引先からの同意取得、金融機関による融資承諾などが代表例です。

 クロスボーダーM&Aでは、各国の外資規制や許認可制度がクロージングの前提となることも多く、CPの充足に数か月を要するケースもあります。

 また、CPが未充足の場合に契約を解除できるのか、あるいは当事者がどこまで充足に向けて努力義務(Reasonable Best Efforts)を負うのかも、実務では重要な論点となります。

 

競業避止義務(Non-Compete)

 買収後の企業価値を守るため、売主へ競業避止義務(Non-Compete)を課すことも一般的です。

 例えば、対象会社を売却した後に、売主が同一地域で競合事業を開始すれば、買主が期待した企業価値は大きく損なわれます。

 そのためSPAでは、対象地域・対象事業・対象期間を明確に定めることが重要です。

 もっとも、競業避止義務は各国の独占禁止法や競争法との関係もあり、過度に広い内容とすると無効と判断される可能性もあります。

 契約実務では、企業価値保護と競争法上の許容範囲とのバランスを踏まえた条項設計が求められます。

 

準拠法・紛争解決条項(Governing Law & Dispute Resolution)

 クロスボーダーM&Aでは、どの国の法律を適用し、どこで紛争を解決するのかも重要な契約論点です。

 例えば、日本企業がシンガポール法人を通じてASEAN企業を買収する場合、日本法・現地法・シンガポール法のいずれを準拠法とするかによって、契約解釈や当事者の権利義務が変わる可能性があります。

 また紛争解決方法についても、日本の裁判所ではなく、SIAC(Singapore International Arbitration Centre)やHKIAC(Hong Kong International Arbitration Centre)、ICCなどの国際仲裁機関を利用するケースが一般的です。

 国際仲裁は、中立性や判決執行の容易さといったメリットがある一方、仲裁地や仲裁機関の選択によって手続や費用も異なるため、案件に応じた検討が必要です。

 

最後に ― SPAは企業価値を守るための最後のセーフティネット

 クロスボーダーM&Aでは、DDによってリスクを把握することは重要ですが、DDだけですべてのリスクを排除することはできません。

 だからこそ、SPAにおいて表明保証、補償条項、前提条件、競業避止義務、準拠法などを適切に設計し、契約によってリスクをコントロールすることが重要になります。

 特に海外案件では、法制度や商慣習、紛争解決手続が国ごとに異なるため、日本国内M&A以上に契約交渉がM&Aの成否を左右します。

 契約書を単なる法的文書として捉えるのではなく、企業価値を守るためのリスクマネジメントツールとして設計することが、クロスボーダーM&Aを成功へ導く重要なポイントと言えるでしょう。

 

 引き続き、クロスボーダーM&Aや海外進出に関する実務情報をお届けしてまいります。

 

東京コンサルティンググループでは、海外M&Aにおける法務・税務デューデリジェンスから契約交渉サポートまでワンストップで対応しております。クロスボーダーM&Aの契約実務でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

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株式会社東京コンサルティングファーム 名古屋拠点
湯浅綾佳


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