トルコへの進出形態

こんにちは、トルコ駐在員の高津です。

今週はトルコへの進出形態について記載していきます。

トルコに事業拠点を設立する場合、主な進出形態は現地法人・支店・駐在員事務所の3つです。駐在員事務所は調査などを行うのみで、営利活動を行うことができません。

■現地法人

トルコに現地法人として進出をする場合、株式会社(AS:AnonimŞirket)か有限会社(LS:LimitedŞirket)の設立が一般的です。株式会社は株式の譲渡制限を設けているかどうかによって、公開会社(KamuŞirket)と非公開会社(ÖzelŞirket)に分かれます。非公開会社においては日本と同様、株式譲渡のために株主総会決議が必要となる等、他のステークホルダーからの意見に左右されることの少ない主体的な経営が可能となります。2011年の会社法改正に伴い次の投資が可能となりました。

・1人会社の設立が可能となり、現地法人として新事業を容易に開始できる他、株主の減少による解散のリスクの消滅

・外国資本がトルコに投資する場合、第三者を経由せずに直接投資を行える

トルコでは外国企業も平等に扱うという原則があり、現地の企業と同じ環境で運営でき、ほぼすべての業種が外国企業に開放されます。ただし、鉄道輸送に関するインフラおよび漁業については投資が禁止されています。また、放送メディア分野では最大50%、民間航空・国内海運・大学以外の教育施設については最大49%までの外資規制があります。

[株式会社(AnonimSirket)]

トルコ商法においては、株主(法人も含む)は最低1名必要であり、いわゆる1人会社の設立が認められています。株主の国籍等は問われないため、100%外国人株主での設立も可能ですが、株式会社を設立するためには最低資本金が5万リラ必要となります。取締役は1名以上が必要であり、株主の債務に対する責任は、日本と同様に出資額の範囲内です。資本金は、設立前に全額の4分の1を、設立後2年以内に残額を払い込まなければなりません。

[有限会社(LimitedSirket)]

出資者は1名以上50名以下に限られます。法定の必要機関は出資者総会のみですが、定款に定めることによって別途代表者を配置することも可能です。株式会社が債権種類にかかわらず、出資額までの有限責任に対し、有限会社は一般債務において出資額までの有限責任がありますが、公共債務においては無限責任となっています。有限会社の最低資本金は1万リラです。資本金の払込は株式会社と同様に行います。
[合資会社]合資会社とは有限責任社員と無限責任社員が混在する組織体です。株主はすべて有限責任となります。会社と株主の責任の所在は定款により自由に定めることができますが、監査役の設置が必要です。合資会社を設立するには商号や事業の目的などの基本事項を決定し、定款の作成、設立登記を行えばおおむね手続は完了します。設立手続が簡便な点が合資会社のメリットといえます。

[合名会社]

合名会社では、すべての株主が無限責任社員となり、資本金の払込の制限はありません。トルコ居住者(自然人)のみが株主となることができます。会社と株主の関係は定款により自由に決めることができます。設立の手続は合資会社と同様に簡便さがメリットです。

■支店

トルコにおいては、外国企業の子会社と支店はほぼ同等に取扱われます。設立手続について両者に大きな相違は見られません。しかし、支店については外国にある本店が一切の責任を負う点、課税対象がトルコ国内の所得のみである点、会社法で要求される法定準備金の積立が不要となる点が異なります。支店が親会社に送金する際には15%の源泉税が課せられます。

■駐在員事務所

駐在員事務所は出資者数や最低出資金等、出資に関する規制もなく、原則として代表者1名により設立することができます。代表者の国籍や居住性等の要件はありません。そのため、駐在員事務所の設立手続は現地法人に比べて容易です。余剰資金の本国への送金は、駐在員事務所閉鎖時に限られます。

以上です。

今週も、どうぞよろしくお願い致します。

高津 幸城

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