こんにちは。
東京コンサルティンググループトルコの小坂理加でございます。
目次
新しく発表されたトルコの移転価格文書規制-2020年9月1日
関連する法律:大統領令第2151号、CITコード第13条、移転価格コミュニケ第1号および第4号
① 国別報告書(Country-by-Country Report)
前提
一般的に、移転価格税制において多国籍企業グループの最終親会社が管轄税務当局に国別報告書の提出を行った場合、租税条約等に基づく自動情報交換により子会社所在国に情報提供が行われます。
しかし、現時においてトルコは国別報告書を交換するための当局多国間合意(MCAA Multilateral Competent AuthorityAgreement)への署名を行っておりません。
そのため、2020年12月31日までに当該合意の署名及び有効化が行われない場合には、対象となる企業は国別報告書(CbCR)を別途トルコで税務当局へ提出する必要が御座います。
国別報告書提出の対象となる企業は、事前に国別報告事項の提出状況の事前通知書を提出する必要がございます。
*行政は、必要に応じて追加情報または必要書類を要求する場合がございます。
*関連する情報や文書が外国語で書かれている場合は、それらをトルコ語に翻訳し提示する必要がございます。
- 対象企業: 多国籍企業グループ全体における前年度の連結売上が7億5,000万EUR(8億5,000万USD)以上となる事業会社 (駐在員事務所は除く。)
- 報告対象事業年度: 報告年度の前年度にあたる会計年度
例:報告年度2020年→報告対象年度2019年
12末締めの場合) 2019.1.1 〜 2019.12.31
3末締めの場合) 2019.4.1 〜 2020.3.31
6末締めの場合) 2019.7.1 〜 2020.6.30 - 提出期限: 報告年度翌年の会計期間が終わるまで。
例)報告年度2020年:適用会計年度3末締めの場合 提出期限2021年3月31日
(*次回以降、6月末を期限として事前通知書と一緒に毎年提出を行う必要があります。会計期間により提出が遅れる場合は、事前通知書提出の際にその旨を説明することで、提出期限を延長できます。) - 提出先: トルコ税務当局(Turkish Tax Authority:TTA)の電子システム上にて申請。
- 国別報告書の提出フォーマットを取得するためには、トルコ税務当局よりユーザーコード及びパスワードを取得する必要がございます。
- 作成者/提出者: トルコに居住している企業の納税者または、公認ファイナンシャルアドバイザー(YMM:YeminliMali Müşavir)/独立会計財務アドバイザー(SMMM:Serbest Muhasebeci Mali Müşavir)
- 通知フォームに誤りや情報不足がある場合、納税者は必要な訂正に対処し、通知提出期限から1か月以内に通知フォームを再提出することができます。
ただし、1ヶ月の期限を過ぎて改定通知が提出された場合、納税者は税務訴訟法に基づき罰則の対象となります。
提出書類の内容
- 報告対象年度における多国籍企業グループの各国の財務レポートに基づく情報
- 多国籍企業グループに含まれるすべての事業内容詳細情報 等
- その他補足情報
*国からの通達により提出書類が増える場合もございます。
*連結財務諸表に異なる通貨を使用している場合は、その旨を国別報告書に記載する必要がございます。
提出に際し必要となる情報及びご準備いただくもの
→報告対象年度の前年度における多国籍企業グループ全体の財務レポート
(提出義務があるか判断するために使用します。)
例:報告対象年度2019年
- 12末締めの場合) 2018.1.1 〜 2018.12.31
- 3末締めの場合) 2018.4.1 〜 2019.3.31
- 6末締めの場合) 2018.7.1 〜 2019.6.30
→報告対象年度における多国籍企業グループ全体の財務レポート
例:報告対象年度2019年
- 12末締めの場合) 2019.1.1 〜 2019.12.31
- 3末締めの場合) 2019.4.1 〜 2020.3.31
- 6末締めの場合) 2019.7.1 〜 2020.6.30
→報告対象年度における多国籍企業グループの各国の財務レポートに基づく情報
→多国籍企業グループに含まれるすべての事業内容詳細情報
国別報告書事項の提出状況の事前通知
(Country-by-Country Reporting Prior Notification Form)
国別報告書の提出対象の企業につきましては、国別報告書事項の提出状況の事前通知の提出が必要となります。
- 対象企業: 多国籍企業グループ全体における前年度(2018年度)の連結売上が7億5,000万EUR(8億5,000万USD)以上となる事業会社 (駐在員事務所は除く。)
- 提出方法: トルコ税務当局(Turkish Tax Authority:TTA)の電子システム上にて申請。
- 作成者/提出者: トルコに居住している企業の納税者または、公認ファイナンシャルアドバイザー(YMM: YeminliMali Müşavir)/独立会計財務アドバイザー(SMMM:Serbest Muhasebeci Mali Müşavir)
- 提出期限: 毎年6月末
- 提出資料: トルコ政府指定の事前通知書
提出に際し必要となる情報及びご準備いただくもの
→報告対象年度の前年度における多国籍企業グループ全体の財務レポート
(提出義務があるか判断するために使用します。)
例:報告対象年度2019年
- 12末締めの場合) 2018.1.1 〜 2018.12.31
- 3末締めの場合) 2018.4.1 〜 2019.3.31
- 6末締めの場合) 2018.7.1 〜 2019.6.30
→通知書記載内容情報
② マスターファイル(Master File)
*一般報告書(General Report)
- 対象企業: 多国籍企業グループの構成会社等でトルコにおける企業の前年度の純売上高、純資産高がそれぞれ5億リラ以上となる事業会社(駐在員事務所は除く。)
- 報告年度の前年度にあたる会計年度
例:報告年度2020年→報告対象年度2019年
- 12末締めの場合) 2019.1.1 〜 2019.12.31
- 3末締めの場合) 2019.4.1 〜 2020.3.31
- 6末締めの場合) 2019.7.1 〜 2020.6.30
- 提出期限: 提出期限: 報告年度翌年の会計期間が終わるまで。
例)報告年度2020年:適用会計年度3末締めの場合 提出期限2021年3月31日
(*次回以降、6月末を期限として事前通知書と一緒に毎年提出を行う必要があります。会計期間により提出が遅れる場合は、事前通知書提出の際にその旨を説明することで、提出期限を延長できます。)
- 提出先: トルコ税務当局(Turkish Tax Authority:TTA) の要請に応じて提出義務が発生
- 作成者/提出者: 多国籍グループ内の納税者
- 記載内容: 下記をご参照願います。
- 組織構造・資本関係
- サプライチェーン情報
- 事実上の利益の源泉となる活動等
- 役務提供取引に関する移転価格ポリシー
- 無形資産取引に関する移転価格ポリシー
- 金融取引に関する移転価格ポリシー 等
- 財政状況及び納税状況
③ 年次移転価格文書(ローカルファイル)
トルコでは2007年から移転価格規則に従って、移転価格文書の作成が義務付けられており、新しい法令の発行後に変更は導入されていません。
ローカルファイルの要件は、以前の年次移転価格文書の要件と同様となっております。
税務局より提出を求められた際は、提出していただく必要がございます。
④ 罰則について
- 移転価格文書の要件を適時適切に充足した場合、50%の罰金が免除される可能性があります
(Partial Penalty Protection Regime)。 - 必要情報の未提出や提出遅延、提出情報の不備等などに該当する場合は、罰金等のペナルティが課せられる可能性があります。
在トルコ日系企業(子会社・支店)の皆様におかれましては、早急にご確認いただく必要があるかと存じますので、親会社様とご相談の上ご対応頂けましたらと存じます。
今週は以上となります。
トルコへの進出、トルコビジネスにおける税務アドバイザリー等々を含めた、展開に関して無料相談も行っておりますので、上記内容以外にもご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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株式会社東京コンサルティングファーム
トルコ支社 小坂 理加
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