- 2020-12-7
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スリランカの税制は、2020年に大きく変更が加えられています。
概ね減税の方向に進んでいるスリランカ、2020年の税制では、外資に対する配慮も見られました。
今回は、スリランカの税制について、源泉徴収税に焦点を当ててお伝えします。
源泉徴収税について
スリランカに限らず、日本から国外へ出資して事業を営み、本国へ利益を還流する場合等では、一般に源泉徴収税が問題になります。
具体的には、スリランカ現地法人から親会社への利益配当、スリランカビジネスに対するオフショアローンを行った場合の利息支払い、関係会社の特許技術使用料の支払いなどが、本国への利益還流の方法としてよく用いられますが、これに対してそれぞれ異なる税率でスリランカが課税を行う仕組みです。
本来、スリランカ国内で収益が発生したのであるから、国外の親会社、関係会社、金融機関などに納税の義務があるはずですが、スリランカ税務当局がわざわざ国外に出向いて徴税を行うことはあり得ないため、支払元であるスリランカ事業体の側に代わりに納税させる形で、「源泉」で「徴収」する「税」金としてこの名前が付けられています。
突き詰めれば、徴税を行う国の法人所得税率で課税されるのが正しいとも考えられますが、スリランカの一般法人税率24%ではなく、多くの場合で14%の税率が適用されることになっています。
以下、源泉徴収税の対象となる支払いについて、項目別に見ていきます。
国内への支払いはほぼ無税へ
スリランカでは2020年の法改正前、国内法人から国内の個人/法人に対する支払いを行う際も、一定の支払いについては源泉徴収税が徴収されることになっていましたが、2020年1月1日より課税されることがなくなりました。
但し、例外として、宝くじなど賭博により得られた収益(14%)と、国家宝石宝飾競売当局(National Gem & Jewellery Authority)で落札された品に対する支払い(2.5%)は、引き続き源泉徴収の対象となっています。
配当への源泉徴収税
法人の上げる利益に対する課税は、そもそも法人所得税によって果たされているという考えが徐々に一般的になりつつあります。
以前は中小企業に課せられる法人所得税率である14%が適用されていましたが、2020年の法改正でこちらは0%、つまり無税に改められました。
利息への源泉徴収税
ローンによりスリランカ事業へ資金調達を行った場合、その利息の支払いには14%の源泉徴収税がかけられていましたが、2020年の法改正で5%に改められました。
ただし、月額LKR250,000以下の利息支払いには、一律源泉徴収税を課税しないことになっており、非課税の扱いとなります。
また、銀行など金融機関からの貸付である場合は、課税免除対象の利息(Exempted Interest)と呼ばれ、一切源泉徴収税はかかりません。
輸送と通信
特殊な例外ですが、陸、海、空の輸送を行う海外法人と、通信業を営む海外法人に対して支払いをする際は、源泉徴収税の税率が2%になります。
また、同様に通信業を営む海外法人に対する支払いも、源泉徴収税の税率は2%となります。
その他の支払い
その他のスリランカ国外への支払いには、特許技術使用料も含め、一律14%の税率で源泉徴収税が課せられます。
以上、スリランカから国外への支払いに対する源泉徴収税についてお伝えしました。
スリランカが徐々に外国資本に門戸を開き、周辺諸国の税制に近づいていること、低税率で国内事業を活性化させようとしていることが見て取れます。
スリランカの事業に関して、最新の税制その他、様々なご質問をお受けしています。
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参照:
http://www.ird.gov.lk/en/Lists/Latest%20News%20%20Notices/Attachments/221/WHT18022020_E.pdf
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/lk/Documents/tax/lk-tax-guidelines-on-advance-income-tax-and-noexp.pdf
https://taxsummaries.pwc.com/sri-lanka/corporate/withholding-taxes
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/tax_convention/SriLanka1967_jp_en.pdf
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近藤貴政
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