シンガポールで三角貿易なら免税?コンセプトをきちんと解説します!

税務

 

三角貿易という言葉より、Off-shore Tradeという言葉の方が、外国では通りがいいかもしれません。

一つの国から別の国に製品を売る貿易、そこに第三国を介在させ、売り手の国でかかる税金を少なく抑える方法として三角貿易は商社の常套手段になっています。

今回は、シンガポールにおける三角貿易の利用とそのルールについてお伝えします。

 

三角貿易=免税?そんなことはありません!

しばしば誤解されることですが、シンガポールに販社を作ってA国からB国に物を売ったら、その利益が免税になるという考えは誤りです。

シンガポールでは税制として属地主義を採用しており、基本的に外国における活動により発生した収益については課税されません。

しかし、上記のような三角貿易のスキームで販売を行う場合、販売活動自体はまさにシンガポールで行われており、物品がシンガポールを通ろうと通らなかろうと、そこでシンガポールの販社に発生する利益は100%課税対象となります。

 

絶対に免税にはならない?四角貿易なら可能!

それではシンガポールにおける所得を免税にすることはできないかというと、それはそれで、一つ方法があります。

上述の通り、三角貿易の場合でも、シンガポールにおける活動が収益を上げている場合、それは課税対象となります。

では、同じ活動が外国で行われたらどうかというと、これは課税対象外になります。

例えば、A国からB国への販売を行う際、販社であるシンガポールの従業員がB国で直接契約をまとめ、そこで販売活動を完結させ、その活動はB国の中で行われたということが証明できる場合、つまり、PE(Permanent Establishment:恒久的施設)としてB国で活動する場合は、その活動による収益はシンガポールで課税されません。

 

しかし、上記のスキームでは、B国でPEが発生しているため、今度はB国で課税されてしまい、そもそもシンガポールで免税になった意味がなくなります。

残る方法はただ一つ、同じ活動を、さらに低税率、または法人税のない国で行うことです。

具体的には、シンガポールを超えるタックスヘイブンとして有名なケイマン諸島、英国領ヴァージン諸島など、極端な税制を持つ国にシンガポール法人のPEを作り、販売活動はすべてそこで行われたとして、シンガポールでは課税所得でないことにする、ということなら、可能です。

これは、すでに三角貿易ではなく、四角貿易になっていますが、上記タックスヘイブンが利用される一般的な手段の一つといえます。

 

三角貿易の意味は?低税率国がカギ!

それでは何のためにシンガポールで三角貿易を行うのか、という話になりますが、本来他国と比べて十分に低税率国であるため、自身がタックスヘイブンとして有名なのがシンガポールです。

利益をシンガポールに集め、資金をため込んで投資に回し、経済活動を大きくしていくのに用いられるよう、キャピタルゲインをゼロにするなど、法人所得税以外の税制でも優遇されるように法律が整備されています。

法人税率の高い日本から他国へ販売するよりも、シンガポールを販社として三角貿易で利益を落とすことで、全体として失う納税額を低く抑えることができる側面はあるでしょう。

 

難しい?移転価格の壁!

上記のような三角貿易のスキームで最後に残る障害が、OECDを中心に展開されている、移転価格対策税制(Transfer Pricing Actions)です。

関係会社間で取引を行う場合、FAR(機能、資産、リスク)分析に基づいて、当局に対して説明をすることができるように移転価格文書を用意し、「適正価格」で販売を行う必要があります。

シンガポールを介して三角貿易を行う場合には、シンガポールでの作業がどれだけで、売り先の国における需要がどうだから、日本からはこれくらいの価格で売ることになっている、という、データに基づいた説明ができるようにしたうえで、利益をシンガポールに落とせるように、工夫することになるでしょう。

 

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