駐在員なら確認必須!シンガポールからの一時帰国手続き

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コロナのまだ収まらぬ中で、春を迎え、一時帰国を行う方が増えてきています。

しかし、国をまたぐ移動が様々な制限を受ける中で、就労許可を持つシンガポール駐在員の日本一時帰国、というピンポイントをとらえた情報は限られています。

今回は、ややニッチな情報として、このシンガポール駐在員の一時帰国の方法について、解説します。

コロナとシンガポールの対応

まず、この記事が書かれているのは、2021年3月15日、シンガポールが外国人の入国を制限し、入国許可の取得を義務付けることを発表した、ちょうど1年後です。

この間、シンガポールは概ね2週間ごとに対応を決め、発表から約2日後に施策を実施するというテンポで、矢継ぎ早にコロナ対策を打ち出してきました。

際たるものが、4月7日から6月18日まで続いた、サーキットブレーカーです。

市民の生活にかかわる重要なサービス(Essential Services)を除いて、実質すべての人が出勤を禁じられ、外出も最小限にとどめ、集会などは罰金を以て処するという、厳しい対応を行いました。

この期間は同時に、シンガポール内国人(市民権/永住権保持者)を除いた、ほぼすべての外国人の入国を一律禁じていた期間でもあり、就労許可を有していても、国外に出ていた外国人はシンガポールへの入国が許されませんでした。

その後、6月の「回復フェーズ1」突入以降は徐々に開放を進め、9月には「回復フェーズ2」に、12月末からは「回復フェーズ3」に、それぞれ移行しました。

区域ごとにQRコードを設けて訪問者の管理をするSafe Entry、接触者をブルートゥースで記録するTrace Togetherなど、技術を駆使して感染者の拡大を抑える施策を打ち、その利用を徹底させてきました。

これにより、徐々に集会などの活動も許可されるようになり、海外労働者の暮らすドミトリーの集団感染も収束したことから、経済活動は一部の業種を除いてほぼ復活しています。

ただし、現在に至るまで、自宅でできる仕事の場合はできる限り在宅勤務(Work from Home)は継続されており、最大でも出勤者の割合が50%に収まるよう、出勤時間を調整する勧告が出されています。

一方、海外からのシンガポール入国は、一貫して制限がかけられており、今でも原則は長期滞在許可(就労許可、配偶者滞在許可、就学許可などを含む)を保持していなければ入国はできません。

一時期、2020年の9月から11月にかけて、ほぼ隔離期間を必要としないビジネストラック(Green Lane Travel)で日本とシンガポールを往復できる時期もありましたが、その後、日本をはじめとした諸外国の感染者が急増したことを受け、ビジネストラックは中断されています。

一時帰国の手続き

就労許可の発行を受けてシンガポールに居住している外国人は、出国先の国の方針に従って出発前のPCR検査などを受ければ、原則として一時帰国が可能です。

ビジネストラックの場合は出国先の国の在シンガポール大使館・領事館でビジネストラックを利用する旨を記したレターを発行してもらい、指定されたフォームへの記入、事前提出などが求められていましたが、隔離期間を伴う一時帰国であれば、出国時の手続きは上記出発前の検査以外、特にありません。

一方、一時帰国先からシンガポールへ再入国する際には、2021年3月現在、以下のステップを踏みます:

1.入国許可申請

2.PCR検査

3.オンライン入国カード記入

4.フライト

5.ホテル隔離

6.PCR検査

以下、詳述します。

1.入国許可申請

就労許可申請主体であるシンガポール雇用主の側から、以下のサイトで担当政府当局のMOMへの入国許可(Entry Approval)を申請します(2021年3月15日より旧サイトでの申請は無効):

https://eservices.ica.gov.sg/STO/

これには、雇用主である会社の側でCorpPassが作成されている必要があり、一般的にはEP申請などを行う社内外の総務担当者が申請することになります。

入力すべき内容としては、雇用者側の連絡先、従業員側の出国先、連絡先、隔離期間後の滞在先などがありますが、雇用者側と従業員側の連絡先は併用できない点に注意が必要です。

また、新サイトでの申請では、隔離滞在の費用を支払うことが必要になりました。

費用は、一人であればS$2,150、二人であればS$2,850、という金額になります。

ここで入力した雇用者側の連絡先にメールで入国許可の結果が通知され、一方従業員の連絡先に隔離期間中MOMから連絡が入るため、いずれも真正な内容で申請することが必要です。

申請がシンガポール時間の午前中に行われれば、その日の夜中、午後に行われれば翌日の夜中に、それぞれ結果が通知されます。

基本的には、シンガポールが外国人を受け入れるキャパシティーに達していなければ許可される仕組みであり、早く申請すればそれだけ許可される可能性は高くなりますが、現状、フライト予定日の7日以上前に申請すれば、許可が下りている傾向にあります。

なお、申請が可能なのは、フライトの前日から30日前までとされており、2か月先の入国について許可申請はできません。

2.PCR検査

日本が対外的に認める医療機関で、出発72時間以内にPCR検査を受け、陰性の証明を取得します。

現在、日本では、概ね1日で陰性の証明を取得することができ、こちらを空港で提示することにより、フライトが許可される形になっています。

ただし、シンガポールの国としては、外国の検査結果については重視しない傾向があり、実際にも毎日数十人、入国後の検査で陽性と判定される外国人入国者を記録しています。

3.オンライン入国カード記入

フライトの72時間前から2時間前までの任意のタイミングで、オンライン入国カード(SG Arrival Card)を記入します。

数年前までは航空機内で記入していた紙の入国カード(Disembarkation Card)を廃止してオンライン申請の形式にしたもので、現在は健康状態申告(Electronic Health Declaration)を兼ねています。

長期滞在許可を持たない外国人に対しては、ここから短期滞在許可(Short-Term Visit Pass)が発行され、その許可ID(Disembarkation Card No.)が記載されます。

シンガポールの入国管理局に当たるICAの以下のサイトで実行することができ、個人、集団などで手続きが可能です:

https://eservices.ica.gov.sg/sgarrivalcard/

就労許可を取得している外国人が一時帰国からシンガポールに戻る場合は、左の「Long-Term Pass Holders」のページに入って申請します。

記入後に発行される入国カードをダウンロード、プリントアウトするなどして、見せられるようにしておくことが求められます。

4.フライト

上記一連のステップで発行される以下の書類をプリントアウト、またはタブレットなどの端末から電子版で見せられるようにして、フライトに臨みます:

・入国許可通知メール(雇用主からメール転送)

・PCR検査陰性証明

・オンライン入国カード記入結果

5.ホテル隔離

シンガポールの空港(Changi Airport)に到着すると、入国審査、荷物受け取りの後、タクシーで隔離施設(Designated Facility)に移動させられます。

この施設は入国前には知ることができず、現在は市の中心ビジネスエリア(CBD)のいずれかのホテルが割り当てられています。

隔離期間(Stay Home Notice:SHN)は、2021年3月現在、日本からの入国に対して2週間とされており、自宅での滞在は許されません。

ホテル施設の空き具合にもよるとされていますが、家族帯同の場合、同一のフライトで入国した場合に限って、同じ部屋で滞在することができます。

隔離期間中はMOMからの電話、メッセ―ジが届き、指示や確認が行われます。

アプリとして「WhatsApp」、および「FWMOMCare」というアプリをモバイル端末にインストールし、連絡および一日三回の体調報告を行うことになります。

なお、隔離滞在が始まってから携帯電話のSIMを入手する場合には、以下のサイトから電話番号をMOMに通知します:

https://form.gov.sg/#!/5ebce51952407a0011696961

6.PCR検査

シンガポール入国後のPCR検査(Swab Test)は、現在概ね隔離滞在の最終日前日に実施されることが多くなっています。

以前は検査施設まで自費でタクシーを手配して移動するということもありましたが、現在はホテル隔離滞在の場合、多くホテル内に検査官が訪れてPCR検査を行っています。

検査結果は当日の夜中から翌日の午前中にかけてSMSで通知され、それをホテルのスタッフに見せ、外出のタイミングを確認した後、入国後15日目の正午以降に隔離施設を出ることになっています。

以上、シンガポール就労許可保持者の一時帰国について伝えします。

※実際の状況は、上記内容と異なる場合もあります。こちらの記載内容に関わらず、メールなどメッセージの内容、担当官の指示をよく理解し、正確に従うよう努めてください。

出入国、および就労許可などに関して、もっと詳しく聞きたいという方、ぜひお気軽にお問い合わせください。

法律に関するお問い合わせはもちろん、税務や労務に関するお問い合わせも、お待ちしております。

【問い合わせ先】

東京コンサルティングファーム

シンガポール法人

近藤貴政

kondo.takamasa@tokyoconsultinggroup.com

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