シンガポールブログ:定年引上げ

労務

 

お世話になっております。
東京コンサルティンググファームの藤森です。

本日はシンガポールにおける定年引上げについてのお話です。

 

2019年8月、現在62歳の定年を65歳に段階的に引き上げる旨が発表されました。
現行の定年にかかる制度と今後の方針を確認し、社内での対策を講じていくことが必要になります。

 

【現行】
定年として設定できる年齢は62歳となっており、62歳未満の従業員を年齢による解雇はできません。
また一定の要件を満たす62歳から67歳までの従業員には、本人の希望に応じて再雇用の機会を提供する必要があります。
下記の要件を満たす従業員が再雇用の対象となります。
・シンガポール市民またはシンガポールの永住者
・62歳到達までに最低3年間、現在の事業主に雇用されていること
・雇用主に評価され、認められた功績があること
・医学的に見て業務遂行が可能であること
・誕生日が1952年7月1日以降であること

再雇用契約に向け、雇用主は対象の従業員が62歳になる6か月前に早めに交渉を始め、退職日の少なくとも3ヶ月前に再雇用契約を提示します。要件を満たさない従業員には早期にその旨を通知し、退職の準備を整えるもしくは雇用機会を得られるよう支援します。

 

【今後】
2022年に定年が63歳となり、2030年までに65歳になる方針です。
事業所での再雇用年齢の上限は70歳とする旨が発表されました。

定年引上げに対応するため、現在の社内の制度及び運用上状況などを含めた現状把握を行います。下記のような事項は、定年引上げの難しさに影響を与えます。
・業況
・人材の需給バランス
・現行の賃金制度
・現在および今後の社員の年齢構成
・高年齢の配置や人数

定年引上げにより人件費が増大する可能性が大きいため、早期に人件費や組織体制を見直すことが重要です。対象者への適切な動機付けや公正な評価やフィードバックが行える体制をとることができれば、高年齢の従業員がこれまで培った知識や経験を活かすことができ人材確保面でも有利になります。

 

弊社では、人事評価制度の導入及び運用のサポートも行っております。
今後の人事制度や賃金制度についてご検討事項がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

東京コンサルティングファーム
藤森聡子

 


<参考資料>
日本経済新聞「東南ア、定年引き上げへ シンガポールなど人手不足で企業の負担増す懸念も」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49941320Y9A910C1FF1000/
JETRO「シンガポールの労働法制について」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2018/9f39765f50ff733e/201807sg.pdf
Ministry of Manpower “Responsible re-employment”
https://www.mom.gov.sg/employment-practices/re-employment
Bloomberg “Singapore to Raise Retirement Age With Power Transition Approaching”
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-08-18/singapore-to-work-longer-build-higher-as-lee-looks-to-hand-over
厚生労働省「65歳超雇用推進マニュアル ~高齢者の戦力化のすすめ~」
https://www.jeed.or.jp/elderly/data/q2k4vk000000tf3f-att/q2k4vk000001c9rh.pdf

 

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