シンガポール法人の組織図を提出?MyMOM PortalでのEP申請を紹介!

法務

IT化を推進するシンガポール、毎年法人活動をめぐる環境も変化していきます。

2020年上半期に導入されたMyMOM Portalもその一つです。

シンガポール税務当局IRASのポータルサイト、MyTax Portalを真似て命名されたと思しきMyMOM Portal、これまで分裂していた人的資源省MOMの各種サービスを一括して取り扱うことを目標に、2020年6月から導入されています。

今回は、このMyMOM Portalによって、就労許可EPの申請がどのように変わってきたか簡単に紹介しながら、その中で問題になるシンガポール法人の組織図についてお伝えします。

EP Onlineは継続?

日本人駐在員がシンガポールで働くために、一義的に取得が必要なのが、EPことEmployment Passです。

申請はEPOLと略される、オンラインポータルサイトで行われるのが通例でしたが、この機能がMyMOM Portalに移行されています。

将来的にはすべての申請を総合的に取り扱うサイトとして運用される予定ですが、現在のところはEP/S-Passの申請だけを取り扱っており、MOMへの会社情報(増資した後の申請等)の提出など、EP/S-Pass申請以外のサービスを利用しようとすると、元々のEP Onlineのサイトにジャンプし、旧来のインターフェイスで手続きすることになります。

何が変わった?

もし、見た目が少し変わるだけで、本質的には同じ作業をするということであれば、シンガポールの就労許可取得に大きな変化はないという結論になりますが、今回のMyTax Portal導入により、EP/S-Pass申請にも少し条件の変更が生じています。

今回お伝えする組織図に代表される、提出物の増加もその一つですが、従前には求められる情報の限定されていた現地人材採用努力の報告部分においても、例外なくすべての申請において、非常に多くの情報を記載することが求められるようになりました。

組織図とは?

今回ご報告する提出物の組織図は、以前から折に触れて求められていたものでもあります。

MOMとしては、当然現地人材をどの程度雇用する用意があるか、という点で企業を評価しますが、一方では特殊技能を持った人材を海外から招聘する方針は変わりません。

この点、将来シンガポール法人がどのような組織で活動する予定か、組織図で示させたり、海外から採用する人材がどのようなポジションで働いてきた人材なのか、ということを確認するために、組織図を提出させるということが発生していました。

現実的には、多くの外国人人材が親会社からの出向者であったり、グループ会社間の異動であったりする経緯から、ローテーションで特定の職位につきながら、交代していく存在として容認されていた側面があります。

今回はこれを改め、申請される外国人人材について、逐一組織図を提出させることにより、その職歴や技能などを確かめるようになった、と見ることができます。

どんな組織図を作ればいい?

解説付きの見本がMOMのサイトで紹介されています:https://www.mom.gov.sg/-/media/mom/documents/services-forms/fcf_-_sample_organisation_chart_2.pdf?la=en&hash=67CB9432F56476A881CF6C395E0A61FE

項目としては、職位だけでなく氏名や国籍も記載することとされており、現在のシンガポール法人の組織図でどのような人材がいるかを示すことになります。

また、EPを申請される人物が組織のどこに位置するかを示し、EPが付与されるのがマネージャー人材のみであるという建前が補強されてきています。

組織が大きい場合でも、最低上下2層ずつ、EP申請対象者の上司と部下を示し、どのようなチームのマネージャーとなっているかを明示します。

何のための組織図?

今回発生した提出物としての組織図の解説には、グループ間人事の場合のEP申請の条件として、「シンガポールの支店、子会社、関係会社に移動する者は、当該グループで少なくとも1年、勤続していたことを言明する必要がある」と記載されています:https://www.mom.gov.sg/faq/fair-consideration-framework/what-documents-are-required-to-show-that-the-ep-applicant-is-an-intra-corporate-transferee

過去には親会社で採用された新人スタッフが、なんの経験もないままEPを発行され、シンガポールに赴任するということもありました。

日本の場合は日本人同士のビジネスが多いことも影響していますが、現地人材の採用には大きなデメリットとなっており、改善が求められている点でした。

今後はシンガポール赴任者を決める場合にも、社内のキャリアや職位などを考え、慎重な人事を行う必要があるでしょう。


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