一世一代の革命的技術としては、ひところより報道も落ち着きを見せていますが、FacebookのLibra Coinの登場など、まだまだ目が離せない仮想通貨、シンガポールで立ち上げたいと思っている方は多いはずです。
今回は、シンガポールの国としての仮想通貨への取り組みについてお伝えします。
まず、仮想通貨って何?
基本から確認しましょう。仮想通貨(=クリプト(カレンシー))はカジノゲームのコインのような特定の用途にしか用いることのできない通貨(=トークン)を、ブロックチェーンの技術を利用して世界中のどこでも取引可能にしたものです。
多くのアプリのゲームで中に登場する通貨を実際のお金、現金(=フィアット)で買うことができるように、仮想通貨のトークンも現金で購入することができます。
一旦購入したトークンは取引所に登録されていればそこでほかのクリプトやフィアットと交換できるようになるため、ちょうど外国為替市場のように、毎分毎秒その価値が変動する通貨として、日々売り買いされています。
また、株式発行後の証券取引所と同じ要領で、買い手さえいれば大量に仮想通貨を発行して現金と交換することも可能となるため、事業目的を明確にすれば、株式上場より容易な資金調達の手段としてもてはやされました。
どうシンガポールと関係がある?
シンガポール政府は、仮想通貨の存在や用途に中立、やや肯定的な立場を取っています。
事業に魅力があれば買い手が集まって投資するのと同じ要領で企業や個人がトークンを発行し、現金を手にすることは問題ないという立場です。
一方、横行した詐欺まがいの仮想通貨発行に対しては、投資者を保護する目的で、以下のような施策が打ち出されています:
- 証券化されたトークンの取扱いにはライセンスが必要
- デジタル決済トークンの提供業者にはライセンスが必要
従って、インフラとしても法制度としても安定したシンガポールで仮想通貨のビジネスを営もうとする企業や個人は少なくありません。
問題は銀行口座
しかし、シンガポールにも問題はあります。銀行口座の開設が難しいことです。
元々、世界中でテロリストグループが活動するようになって以来、それらテロリストに対する資金援助や、マネーロンダリングに対するチェックは厳しくなっていました。
仮想通貨が現金と交換可能になれば、お金が無数のトークンと交換され、簡単にマネーロンダリングの温床になりかねません。
また、自国でも他国でも交換が可能であれば、その国に手数料なしで送金ができてしまうことにもなり、手数料をもらって送金を行っている銀行・金融機関としては、警戒すべき事態ととらえられています。
そのため、シンガポールで営業する銀行・金融機関はどこでも、口座開設を申請する企業や個人が仮想通貨とかかわっていることをかぎつけるや否や、一面的に口座開設お断り、という対応がなされます。
結果として、現金を取り扱って仮想通貨と現金との交換を実行できる取引所は、まだほとんどないと言われています。
今後は?
シンガポールは今後、さらに仮想通貨に関わる規則を確立していき、公正な取引の行われる国家としての地位を確立する方針であると言われています。
事業内容によっては、政府機関の助けを借りながら銀行口座を開設することもできるようになる可能性はあり、今後の展開が期待されます。
株式会社東京コンサルティングファーム シンガポール法人
近藤貴政
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