新型コロナウイルスに関する新しい税額控除について

税務

ミンガラーバー
ミャンマー拠点の西野由花です。

 

新型コロナウイルスに対する政府政策の一環として、会計年度2019-2020年度以降に発生したものに関して申告時(2020年10月~2021年9月)に以下の通りの救済措置を行う旨の通達が発表されました。

概要は以下の通りです。

  1. 賃金・給与の増加分に対して10%の還付不能の税額控除
  2. 賃金・給与の増加の125%分の費用の控除が認められる
  3. 資本設備の追加投資に対する投資に対して、10%の還付不能の税額控除
  4. 原価償却費の計上を通常の125%で行うことを認める

また、こちらの詳細に関しても6月17日に発表がされており、各種定義や計算方法のサンプルなどが発表されています。

 

目次

1.賃金・給与の増加分に対して10%の還付不能の税額控除

賃金・給与の増加とは:

  • 直前の年度に雇用していた従業員の数に対して、賃金・給与が増加した場合
  • 従業員数の増加によって支払う賃金・給与が増加した場合

前年度の賃金・給与との差額分のうち10%を法人税から税額控除として差し引くことが出来ます。

 

(例)

  • 賃金・給与:今年度800,000MMK-前年度500,000MMK=差額300,000MMK
  • 税額控除:300,000MMK×10%=30,000MMK

なお、上記控除は返金・払い戻しが不可能なものとなっており、控除可能な最大額=税額となります
(税額が0となるまで控除可能、払い戻し請求は不可)

 

2.賃金・給与の増加の125%分の費用の控除が認められる

賃金・給与の増加の定義は上記1と同様
賃金・給与の合計金額の125%分を費用として差し引くことが出来ます。

 

(例)

  • 前年度実績:賃金・給与として10,000,000MMKを支払った
  • 今年度実績:賃金・給与として20,000,000MMKを支払った

費用として12,500,000(今年度の賃金・給与の増加分である10,000,000×125%分)を差し引くことが可能
→合計として10,000,000MMK(前年度と同額)+12,500,000MMK(今年度の費用計上)
=22,500,000MMKを控除可能

また、これらの控除は事業が損失を出している場合でも費用として法人税から差し引くことが可能であると明記されている他、差し引いた結果、損失額が増加した場合も損失を翌年度に繰り越すことが可能となっています。

これらの費用控除・損失繰越はミャンマー投資法、経済特区法に基づくインセンティブを受けている企業も行うことが出来ます。

 

3.資本設備の追加投資に対する投資に対する10%の還付不能の税額控除

「資本設備の追加投資」には以下のものは含まれません

  • 無形資産の取得
  • 土地の取得
  • 建物の取得
  • 拡大・アップグレード・拡張への投資
  • 前年度に取得した有形の資本設備の再評価による増加(設備そのものが増加しなかった場合)

資本設備への追加投資の10%が税額控除を行うことが可能です。

 

(例)

減価償却表に示されている資本設備について

  • 前年度:200,000,000MMK
  • 今年度:300,000,000MMK

→企業が100,000,000MMKの追加投資を行ったため、100,000,000×10%=10,000,000MMK分の税額控除が可能

 

これらの費用控除・損失繰越はミャンマー投資法、経済特区法に基づくインセンティブを受けている企業は行うことはできません。
なお、上記控除は返金・払い戻しが不可能なものとなっており、控除可能な最大額=税額となります(税額が0となるまで控除可能、払い戻し請求は不可)

これらの税額控除の適用された資本設備が、控除を受けた年から3年以内に譲渡・売却された場合、上記控除は拒否、取り消し、もしくは再評価が行われます。

 

 

4.原価償却費の計上を通常の125%で行うことを認める

上記追加投資への減価償却の計上について、125%を費用として差し引くことが認められます。

 

(例)

  • 今年度:100,000,000MMKの設備を取得、減価償却率10%
  • 減価償却:12,500,000MMKを減価償却費として計上可能(今年度のみ)

また、これらの控除は事業が損失を出している場合でも費用として差し引くことが可能であると明記されている他、差し引いた結果、損失額が増加した場合も損失を翌年度に繰り越すことが可能となっています。

これらの減価償却・損失繰越について、ミャンマー投資法、経済特区法に基づくインセンティブを受けている企業も行うことが出来ます。

 

売上、利益が落ち込み苦しい状況の時、事業計画、経営計画を考える時、重要になってくるのは損益計算書(PL)の数字ではなく貸借対照表(BS)の数字であり、さらにキャッシュフロー(CF)の確認です。

しかしながら、実際のところ、

「どうやって BS って見たらいいのだろうか。CF ってそもそも何かあまりよくわからないな。」

という方もいらっしゃるかもしれません。

 

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Tokyo Consulting Firm Co., Ltd (ミャンマー)・ヤンゴン駐在員
西野由花(Nishino Yuka)

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