2025年版:ミャンマー会社法②

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ、ミャンマー拠点の渡辺 晃です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「2025年版:ミャンマー会社法②」についてお伝えします。

 

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目次

【2025年版:ミャンマー会社法②】

 

1. 要約

  • 現行制度はMyanmar Companies Law 2017(MCL)に基づき運用されています。
  • 取締役:非公開会社は最低1名で設置可能。公開会社は3名以上が必要。全会社共通で少なくとも1名の通常居住者(ordinarily resident)を置く必要があります。公開会社では、この居住者がミャンマー国籍であることが求められます。
  • 選任・解任:原則普通決議。公開会社は毎年1/3の輪番退任を実施します。
  • 株式・資本額面(パー)・授権資本は廃止。多様な株式クラス(無議決権、優先、償還・転換等)の設計が可能です。
  • 登記(MyCO):新株発行や株主名簿変更等は、原則21日以内に届出が必要です。
  • 減資:裁判所認可を原則不要とし、Equal reduction(普通決議)Selective reduction(特別決議)で手続きを区分。ソルベンシー・テスト等の要件充足が前提です。

2. 取締役に関する主要論点

2.1 最低人数・居住要件・国籍

 非公開会社では取締役を1名以上設置すれば足ります。公開会社では取締役を3名以上置く必要があり、そのうち少なくとも1名はミャンマー国内の通常居住者で、かつミャンマー国籍であることが求められます。通常居住者の基準は、一般に「直近12か月で183日以上の在住」が目安とされています。国籍による制限は原則としてありませんが、公開会社については前記の要件を満たす必要があります。日本在住の日本人が取締役に就任すること自体は可能ですが、会社としては上記の居住要件を満たす体制を必ず整備しておく必要があります。

 

2.2 選任・解任・任期運用

 取締役の選任および解任は、原則として普通決議で行います。公開会社では、毎年の定時株主総会において取締役の3分の1が輪番で退任し、在任期間の長い者から退任対象となるのが通例です。こうした運用は、定款や年次カレンダーに明確に定めておくことが望ましいです。実務面では、議事録、就任承諾書、本人確認資料などの証憑を適切に整備し、MyCOでの登記情報の更新を確実に行うように管理します。

 

3. 株式および資本政策に関する主要論点

3.1 株式クラス設計の柔軟化

 額面(パー)および授権資本が廃止されたことで、発行価格の設計に関する自由度が高まりました。普通株のほか、配当・残余財産・議決権に優先や制限を設けた優先株、無議決権株、償還可能株、転換可能株、参加型(パーティシペーション)など、多様な株式クラスを設計できます。実務上は、定款または株式条件において、優先内容、制限、転換条件などを明確に規定し、将来の資本政策(投資家受け入れ、創業者の持分維持、従業員インセンティブ等)との整合性を丁寧に図ることが重要です。

 

3.2 発行・移転・名簿管理とMyCO届出

 新株の発行は、定款の枠組みおよび取締役会に付与された権限に基づいて実施します。発行後は、対価や払込状況などの情報について、原則として21日以内にMyCOで発行通知を提出します。株式の移転や株主名簿の変更についても、原則として21日以内に届出を行います。実務面では、株主総会または取締役会の決議書、関連契約書、株主名簿、印紙税関係の手続きなどの書類を整え、登記と並行して準備を進めることで、手続全体の整合性と証跡管理を徹底します。

 

4. 減資(Capital Reduction)

4.1 手続の区分

 減資は、全株主に同一条件で比例的に行うEqual reductionは普通決議で実施可能。一部株主のみに適用するSelective reductionは特別決議が必要で、利害関係株主は議決に参加不可。裁判所認可は原則不要。

 

4.2 共通要件

 いずれの手続でもソルベンシー・テストの充足が前提。全株主に対して公正・合理的であること、債権者利益を実質的に害しないことが必要。実務では、開始前に資本政策シナリオと債権者影響分析を整え、決議種別・通知/公告・書面保管を明確化する。

 

4.3 実務上の追加要件・留意点

  • 会社法上の規定と実務の差
    以上の減資ルールは会社法上の枠組みですが、実務運用は2020年の倒産法(Insolvency Law 2020)に明記されています。
  • タックスクリアランスの要請
    税務上のタックスクリアランス(TCC)の取得が別途必要となるのが通例で、直近年度の監査完了および未提出の税務申告の完了が前提になります(法人税・源泉・商業税等の未払精算を含む)。結果として、実際の作業工程は法人清算に準じるレベルまで膨らむ点に留意が必要です。
  • 外資企業の外貨規制リスク
    外資企業の場合、2022年以降の外貨規制の影響により、減資に伴う国外への資本還元送金が認可されない可能性が高いと見込まれます(ADバンク経由で申請しても不認可リスクが高い)。したがって、「減資=資金の海外送金」まで到達できないケースを前提に、スキーム設計・資金計画を行う必要があります。

 

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株式会社東京コンサルティングファーム ミャンマー拠点
近藤 貴政


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