移転価格税制~税務調査に負けるな!!

税務

東京コンサルティングファーム

メキシコダイレクター

片瀬 陽平

皆さまこんにちは。東京コンサルティングファームの片瀬でございます。

いつも当ブログを見て頂きまして誠にありがとうございます。

 

【国際税務専門官】

皆さまは国際税務専門官という肩書を聞いたことはありますか?

近年、中小企業を含む日系企業の相次ぐ海外進出に伴い、日本の税務調査が大きく変わってきました。特に変わった点は、在外子会社の費用負担、移転価格、外国税額控除、などのいわゆる国際税務分野に関して大きくメスが入るようになりました。海外ビジネスを行っている会社には所轄の税務署以外から応援という形で国際税務専門官が来ることも多くなってきております。

現在は、国税の国際税務専門官以外からは、あまり大きく指摘されるという話は聞きませんが、それでも、その金額も件数も少しずつ多くなってきているのは紛れもない事実でございます。

今後は日本国内で税収の確保がますます難しくなりますので、それに伴い所得の海外流出を防ごうという動きはますます強まります。

海外ビジネスで下手な事をすると、全額寄附金として課税され、全額について追徴されてしまうので、ここではそうならないためのポイントを抑えることとします。

 

【寄附金と移転価格】

まず寄附金とされて全額否認されてしまうのは以下の様な場合です。

 

<寄附金課税>

当社の海外子会社は設立間もなく、子会社において損失を担保できるだけの能力が無いため、親会社において子会社の損失を負担している。

 

これを行ってしまい、税務調査の際に指摘される会社が非常に多いのが現実です。子会社が本来負担すべき金額を親会社が負担している場合には、当局は必ず指摘してくると考えた方が無難です。ここにいう子会社が本来負担すべき金額と言うのは、一概に言えるものではありませんが、感覚的に子会社が負担するべきかな?と思う金額は注意した方が良いと思います。

例えば、親会社の社員が主張で子会社の所在する国に行ったとします。その際に出張報告書に丁寧に活動内容を記載し、それを保存していたとしましょう。その出張報告書に記載された活動が“子会社の規模の拡大”等の子会社のための活動であれば、子会社支援として寄附金認定されてしまうというロジックです。親会社から行くのであれば全てを親会社の活動の一環とするか、子会社と親会社のビジネスとするようにしましょう。

 

なぜ寄附金課税とならないように対策を施すことが必要なのかと言うと、寄附金課税とは当該金額(全額であり100%課税)に対して課税をされ、その負担は非常に重いためです。100の金額を子会社のために負担していると認められた場合には100に対して約36%の税金がかかってしまうのです。

そのために、皆さまに考えてもらうことは下記の2つ。

①親会社の活動の一環とする理由づけをおこなう

②子会社と親会社のビジネスとする

①については、親会社の活動の一環とする為に、親会社の社内ポリシーを明確にする

※恣意性の介入を排除することによって明確な線引きができるようになる。

②については、子会社と親会社のビジネスとする為に、業務委託契約等を明確にする。この②について本日は解説致します。

子会社と親会社のビジネスとするだけで何が変わるのか?それは・・・

寄付金課税から移転価格課税へとその性質が変化するのです。これは凄く重要です。寄付金課税は、その性質上、親会社が負担した金額全額(100%)となってしまいます。ただし、移転価格課税にその性質が変化した場合には、強制的に0(寄付金課税)とされるのではなく、価格に対する評価になります。

具体的には、100で値付したものについて、寄付金課税とされるとその評価は0となりますが、移転価格税制による価格の評価は80かもしれませんし90かもしれません。仮に90と評価された場合には、差額の10に対して36%の税金がかかるのです。

 

ここでもう1つ重要な事を申しますと、

課税当局は我々のビジネスを絶対に否定することができないということです。彼らは我々がビジネスを行って利益を出しているからこそ税金を取ることができます。我々がビジネスをしなければ所得も発生せずに彼らは税金を取ることができません。そのため、ビジネスを辞めさせる様な発言は絶対にしてきません。寄附金はビジネスではないと指摘できるので、彼らは実のところ相当楽なのです。

 

また、ビジネスと理論づけてしてしまい、価格の問題としてしまうと、その妥当性の評価をすることは非常に難しいので、彼らのほとんどは指摘することを諦めてしまいます。

例えば100円で値付しました。90円で値付しました。どちらが正しい金額ですか?と問うたときに100円と自信を持って答えられる方はおそらくいないのではないでしょうか。それぐらい価格の妥当性を検証することは難しいのです。

 

そのため移転価格税制では基本的な価格の評価の方法を、第三者との比較による評価とすることを定めています。利益率が第三者と同様であれば正常なビジネスと判断されますが、利益率が第三者と比較して異常に高いような場合には、正常のビジネスとは判断されずに適正価格との差額について課税されることとなります。それでもあくまでも差額に対する課税です。

 

取引規模が増えてきた場合、

例えばメキシコでは年間の関係者間売上が1,300万ペソ(日本円で約1億円)を超える場合には移転価格のドキュメントの整備が必要になります。このドキュメントとは価格設定の根拠となるものであり、税務調査の際等には早急に提出することが求められます。提出できなかった場合等は、当局に指摘されるがままとなってしまうことも考えられますので、規模に応じて用意する様にしてください。日本でも移転価格のドキュメントの作成は義務付けられていますので、こちらも同様に規模に応じて用意する様にしてください。

 

また、事前確認(APAと呼ばれる)制度もありますので、取引規模が膨らんで移転価格によるリスクを排除したい場合には、当局との間で事前に価格のコンセンサスを取ってください。APAは特にメキシコでは相当時間がかかる様ですが・・・

 

ただし、マキラオペレーションを利用している会社は、移転価格の規定が改定されたためにこのAPAでの価格決定を余儀なくされる企業もあるかと思います。十分に注意することが必要です。

 

それではお知らせになります。

 

【お知らせ】

2月の1月間の間、新宿本社においてメキシコビジネスに関する無料相談会を開催しようと考えています。メキシコの情報を日本で取ることはなかなかに難しく、そのため進出の検討段階ではお金をかけてメキシコに渡り現地の情報を集めるしか無いのが現状です。

当無料相談会の意義は、「日本にいながら現地の情報を集める」ことであり、お金をかけずに現地の情報を集めることができます。是非お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

<無料相談会>

日時 :2014年2月3日(月) ~2014年2月28日(金)

会場 :〒160-0022 東京都新宿区新宿2-5-3 AMビル7F

会費 :無料

担当 :佐々木 亮介(USCPA)

時間 :1時間~2時間

申込方法:TEL/03-5369-2930 FAX/03-5369-2931

・メキシコ無料相談会の件とお伝えください

 

 

それでは、【今週の1枚】

アグアスカリエンテスの中心部にある教会です。写真に撮ると思うのですが、メキシコは空が非常に綺麗で広大です。あまり高い建物がないせいでしょうか。

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