皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。
今週は租税条約について記載します。
質問)
先日日本にある親会社から従業員を派遣してもらい、メキシコ人スタッフに対して専門知識の技術支援をしてもらいました。この支援に関する請求を日本から受けており、今月支払を行う予定なのですが、その際に源泉をしなければいけないと聞いています。
本来は25%を源泉しなければいけないが、租税条約を使えば0%だということです。
租税条約という言葉はよく聞きますが、租税条約を使うとはどういうことなのでしょうか。
回答)
そもそも、一般的に租税条約と言われているものの目的は、(取引を実施する)二国間における「二重課税の回避」です。
実際、租税条約とは「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための●●国と■■国との間の条約」という名前となっており、今回のように日本とメキシコ間での取引では、日墨租税条約(所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本とメキシコ合衆国との間の条約)を適用することになります。
そもそも税法とは、それぞれの国の事情によって作られているため、他国との取引を行った際に、二重で課税されてしまったり、脱税をされてしまったりすることを避けるため、国同士が租税条約を結ぶことでこういった事態を避けようとしているのです。
また、租税条約を使用することで、質問に合ったように、国内法を利用するよりも低い税率での取引が可能となるなどのメリットもあります。
以下にてメキシコにおける源泉税率の国内法と条約を適用した場合の税率を一覧にしています。
|
一般税率(国内法) |
対日本 |
対アメリカ |
ロイヤルティ |
25%又は35% |
10% |
10% |
テクニカル・アシスタントフィー |
25% |
0% |
0% |
金利(国外銀行) |
4.9%~30% |
10% |
4.90% |
金利(銀行以外) |
15、21、30% |
10、15% |
4.9、10% |
注意点としては、租税条約は二国間での取引を前提としていますので、租税条約を
適用する場合は取引相手がその対象国に居住していることを、居住証明等を用意して証明しなければいけません。
黒岩洋一