みなさん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの渡辺です。
今回は、多くの日系企業が頭を悩ませているPTU(労働者への利益分配)について、その知られざる歴史についてお話ししていきたいと思います。
歴史を知ることによって、何故PTUがあるのかを知ることができます。
1856年に、自由主義的な立法者イグナシオ・ラミレスは、当時法務大臣及び公共教育開発大臣を努めていましたが、過激な発言者として知られる人物でした。
彼は、演説の中で先住民の権利問題について言及をしていました。
“Así es que, el grande, el verdadero problema social, es emancipar a los jornaleros de los capitalistas; la resolución es muy sencilla y se reduce a convertir en capital el trabajo. Esta operación, exigida imperiosamente por la justicia, asegurará al jornalero, no solamente el salario que conviene a su subsistencia, sino un derecho a dividir proporcionalmente las ganancias de todo empresario”.
「つまり、大きな問題である真の社会問題は、資本家から労働者を解放することです。 決議は非常に単純で、資本を仕事に対価関係にすることになります。 司法制度によって日雇い労働者に、彼の生計に適した給料だけでなく、すべての労働者の利益を平等に分割する権利を保証するのです。」
その当時のメキシコは、スペインから独立したばかりではありましたが、まだまだ身分格差が大きい時代でした。農民は、奴隷の様に扱われ、金銭的な給与はもらえず、代わりに食料と交換できる引換金をもらい生計を立てていました。
そのため1858年にべニート・フアレスが先住民（インディオ）の初の大統領として選ばれたのは、大きな影響を及ぼしました。
1872年ドイツの経済学者ヨハン・ハインリヒ・フォン・チューネン（Johann Heinrich von Thünen）が、市場活性化を目的として労働者への利益分配を増やすことが重要であると社会主義の概念を発表しました。
それに感銘を受けた中南米のチリ、ペルー、ベネズエラ、ブラジルがPTUという概念を取り入れました。
下記のリンクは、ヨハン・ハンリヒに関するWikipediaとなります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヨハン・ハインリヒ・フォン・チューネン
メキシコでは、実際にPTUを法律に取り入れるまでに時間がかかりました。
1917年メキシコ革命を経て、メキシコ憲法が誕生しました。
メキシコ憲法では、土地改革、地下資源の国有化、政権分離、社会的権利の保障が定められました。
PTUが発表されたのは、それよりも後になります。
何故ならその当時、メキシコ憲法はあったものの、労働法は州ごとにできていたのです。そして1931年ようやく労働法が連邦で統一されました。
その後、1962年当時の大統領アドルフ・ロペス・マテオス（Adolfo López Mateos）は、先人であるイグナシオ・ラミレスの考え方に影響していた人物でした。
そして1962年11月21日 にDOF（Diario Oficial de la Federaqcion）にてようやくPTUが初公表されます。
またイグナシオ・ラミレスは、今でもその名をサンミゲル・デ・アジェンダに市場の名前として残しております。
そして翌年の1963年には、PTUが２０％と統合されます。
それから1974年に８％に2回目の改正の改正が行われ、1985年に10%へ3回目の改正が行われます。
これ以降は、PTU支払いの義務などが、1997年、2009年に少しずつ改正をされ今に至ります。
この様な歴史もあり、メキシコでは労働者よりの労働法があり、メキシコ憲法でも人々の平等について強く定められています。
今のメキシコ社会の裏には、農民、先住民の苦労があるのです。
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株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
渡辺寛
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