メキシコの会計上の利益と税務上の利益が大きく異なる理由について

税務

 

皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの渡辺 寛です。
今週はメキシコの会計上の利益と税務上の利益が大きく異なるよくある理由について解説を行います。

 

質問)
財務諸表上では、今年の経常利益は損失だったのですが、法人所得税(ISR:Impuesto Sobre la Renta)の計算を行ったところ、課税所得が発生しておりました。
繰越欠損金があるため、法人所得税の支払いはないのですが、PTUを支払う義務が発生することとなりました。
会計上の利益と税務上の利益で何が異なる大きな要因なのでしょうか。

 

回答)
考えられる要因として大きく分けると以下の二つとなります。

  1. 益金
    ➡会計上では収益とみなされていないものの税務上でのみ益金として計算されるもの
  2. 損金不算入費用
    ➡Facturaが発行されていないものや社宅に関する費用、移民局に対する手数料等

上記のうち今回は、益金についてのみ解説いたします。
会計上では、収益にならないものの税務上でのみ益金参入されているものは、主に二つあります。

 

1 前受金

メキシコでは、前受金(Anticipo de Cliente)については、現金の動きに合わせ益金参入させることと定められております。
※メキシコ所得税法 17条
そのため会計上では、BS科目ですが、税務上では、益金として計算されます。
また注意点としましては、前受金の益金算入は、受取額に関係なく契約額の全額が益金算入されることとなります。

仮に契約解除等の理由により、翌年で返金を行った場合、益金として計上していたものは、翌年で損金として計上されることとなります。

 

2 インフレ調整

メキシコでは、課税所得を計算するためにインフレ調整を行います。

・月次貨幣性資産 > 月次貨幣性負債
➡超過分 × インフレ調整係数 を 損金算入

・月次貨幣性負債 > 月次貨幣性資産
➡超過分 × インフレ調整係数 を益金参入

※インフレ調整係数は、メキシコ国税庁が公表しているINPC(消費者物価指数)を使用して計算を行います。

月次貨幣性負債が、資産よりも多かった場合、上記の通り益金が増えることとなります。この月次貨幣性負債には、未払金、買掛金、借入金等のみでなく預り金(Acreedores)も含まれます。※前受金(Anticipo de Cliente)は含まない

メキシコの会計士によっては、前受金と預り金をしっかりと区分できず、全て預り金として計上してしまうケースが御座います。その場合、月次貨幣性負債が増え、益金が増える可能性があるため注意が必要です。

上記の二つが、会計上の利益と税務上の利益に大きな差額を生む主な要因になります。

 

 

 

 

株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
渡辺寛

 

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