皆さん、こんにちは、東京コンサルティンググループメキシコ拠点の袖山です。
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回「【メキシコ労務】2026年FIFA W杯開幕デクレート|民間企業へのテレワーク義務と法的実務対応」についてお話していこうと思います。
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はじめに
皆さん、こんにちは。 東京コンサルティンググループメキシコ拠点の袖山です。6月11日、4年に1度のFIFA W杯がついに開幕します。「6月11日、うちの社員はオフィスに来なければいけないの?テレワークにしたら何か費用負担が発生するの?」6月9日にDOF(連邦官報)でデクレートが公示された直後から、クライアント様から多くのご質問をいただいています。結論からお伝えしますと、連邦官報(DOF)2026年6月9日・同10日公示のデクレートは、民間企業に対してテレワークを「法的に義務付けるものではありません」。大統領府は公式に「民間への強制力はない」と明言しています。しかし「義務でないから何もしなくてよい」とはなりません。当日の交通規制・社員の安全管理・欠勤扱いの根拠整備など、人事・法務面で事前対応が必要な事項が存在します。本記事では、DOFデクレートの正確な内容・法的効力・民間企業としての実務対応の3点を、一次情報源のみをもとに解説します。
- DOFデクレートの正確な内容「義務」と「勧告」を切り分けるP(Point):デクレートは3つの対象で異なる効力を持つ連邦官報(DOF)に掲載されたデクレートは、対象によって法的効力が異なります。以下の3区分を正確に把握することが実務対応の出発点です。
対象 措置内容 法的効力
連邦政府機関(非必須業務) テレワーク実施 義務(強制)
民間企業・社会部門(非必須業務) テレワーク等の実施 勧告(任意)CDMXの全教育機関(公私立問わず) 休校 義務(強制)(出所:DOF公示デクレート 第1条・第2条・第3条 2026年6月9日〜10日)R(Reason):なぜ民間は「勧告」にとどまるのかデクレートの第2条は、民間企業・社会部門に対し「exhorta(エクソルタ:勧告する)」という語を使用しています。これは法的には義務を課すものではなく、政府からの「お願い」に相当します。クローディア・シェインバウム大統領は6月9日の「マニャネラ(朝の記者会見)」で、「民間への強制は不可能であり、そのためには別の法的スキームが必要になる」と明確に説明しています。また、コンセヘラ・フリディカ(司法顧問)のルイサ・マリア・アルカルデ氏も同席のうえ、デクレートの法的範囲を公式に説明しました。E(Example):デクレートに適用される法的分析法律事務所フェラン・マルティネス(Ferran Martínez Abogados)によるデクレート分析では、「第2条の民間向け措置は法律上の義務を生じさせるものではなく、LFT(連邦労働法)の規定も変更しない。また、6月11日を法定休日とするものでもない」との見解が示されています。重要な実務上のポイントは以下の2点です。① 6月11日は法定休日ではない LFT第74条が定める法定休日の一覧に6月11日は含まれません。したがって、当日に出勤させても、「休日出勤(三倍払い)」は発生しません。通常の給与規定が適用されます。② テレワークを実施した場合でも、LFT上のテレワーク義務規定(インターネット費用負担等)は発生しない デクレートに基づく一時的な在宅対応は、LFT第149条〜162条のテレワーク制度(継続的・定期的なテレワーク)とは区別されます。今回のような単発の対応は「緊急対応」として扱われ、インターネット費用等の法定負担は生じないとの解釈が支配的です。P(Point)まとめデクレートは「民間企業にテレワーク義務を課すもの」ではなく、「政府機関の義務化+民間へのお願い」という二層構造です。この区別を正確に把握したうえで、自社方針を決定することが重要です。
- 現場担当者が確認すべき3つの実務論点論点① CDMXでの交通規制と「やむを得ない欠勤」の扱い6月11日のFIFA W杯開幕式に伴い、メキシコ市内では大規模な交通規制が実施されます。
スタジアム(エスタディオ・シウダ・デ・メキシコ)周辺エリアを中心に、公共交通の遅延
就業規則上、「交通機関の遅延・運行停止による遅刻・欠勤」の扱いが明確でない場合は、事前に社員向けのアナウンスで方針を示しておくことを推奨します。「欠勤扱いとしない」「遅刻に代替勤務時間を認める」など、あらかじめ選択肢を提示することが無用なトラブルを防ぎます。論点② 論点② 6月11日に在宅勤務(テレワーク)を選択した場合、インターネット代等の法定費用負担は発生するのか?企業が自主的に6月11日の在宅勤務を認める場合、LFT上の「テレワーク制度」に基づく費用負担(ネット代・電気代等)は発生しないと考えられますが、この点は社内で統一した見解を確認のうえ、対応方針を明文化しておくことが望ましいです。また、在宅勤務中でも労働時間管理は通常どおり行う必要があります。論点③ 6月11日が「勤務日」である場合の安全配慮義務仮に6月11日に通常出勤を求める場合でも、使用者には「安全配慮義務」(LFT第473条)が課されています。交通渋滞による通勤リスクが高い状況下でも出勤を強制し、社員に不測の事故等が発生した場合、使用者責任を問われるリスクがあります。特にCDMX中心部に拠点を持つ企業は注意が必要です。
- 今すぐできる実務チェックリスト以下の項目を6月11日(木)当日までに確認・対応してください。
確認事項 対応内容✅ 当日の出勤方針の社員告知 在宅・出勤・選択制のいずれか明示✅ 交通規制エリアの確認 CDMX拠点の場合、通勤経路への影響を確認✅ 欠勤・遅刻の扱い明文化 「やむを得ない理由」として特例扱いするか否か✅ テレワーク実施時の費用負担方針 一時的対応のため法定負担は不要だが、社内統一見解を確認
✅ 製造ライン・店舗等の必須業務の
継続確認
業種によっては通常稼働が必要
まとめ
6月9〜10日にDOFで公示されたFIFA W杯開幕デクレートは、日系企業にとって「テレワーク義務」ではなく「政府による勧告」です。「義務ではない=無視してよい」ではなく、当日の交通混乱・社員の安全・就業規則の整合性を踏まえたうえで、自社として適切な方針を事前に決定・伝達することが経営リスクを最小化します。今回の件でメキシコの労務管理や就業規則の整備に課題を感じている場合は、ぜひ当社へご相談ください。株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点 袖山
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