皆さん、こんにちは、東京コンサルティンググループメキシコ拠点の袖山です。

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回「メキシコ労働時間法改正2026| 
電子勤怠記録が義務化・準備期限は2026年末 」についてお話していこうと思います。

あわせてご覧ください

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皆さん、こんにちは。 東京コンサルティンググループ メキシコ拠点の袖山です。

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

突然ですが、こんなお悩みはございませんか?

結論からお伝えしますと、2026年中は「就業規則・電子勤怠システムの整備期間」です。法律上の変更自体はすでに2026年5月1日に施行されており、実際の時短は2027年1月から段階的に始まります。しかし「今年末までに整備完了」という準備義務がすでに課されており、特に電子勤怠記録(Registro Electrónico)は、違反時に250〜5,000UMAの罰金が科される新設義務です。

本記事では、DOF公示の改正内容・STPSの公式指針をもとに、①法改正の全体像②電子勤怠義務の具体的内容③日系企業が2026年末までに取るべき3つのアクションを解説します。

2026年5月1日(メーデー)、メキシコ連邦官報(DOF)の夕刊号に「連邦労働法(LFT)改正法令」が公示されました。改正対象条文は第59条・第61条・第66条・第68条・第69条・第71条の6条に加え、第132条第34号(新設) および 第994条第4号Bis(第4号の2・新設) の計8項目です。

メキシコ憲法第123条の改正(2026年4月に上院・衆議院それぞれで可決)を受け、LFT本体に具体的な実施規定を盛り込んだ形です。

法令の附則第2条(Transitorio Segundo)が定める削減スケジュールは以下のとおりです。

年

週法定最大労働時間

2026年

48時間(現状維持・移行準備期間)

2027年1月1日〜

46時間

2028年1月1日〜

44時間

2029年1月1日〜

42時間

2030年1月1日〜

40時間(最終目標)

重要ポイント: 2026年は時短の「移行準備期間」であり、実際の時間短縮は2027年からです。しかし今年末が就業規則・システム整備のデッドラインとなります。

改正第66条・第68条により、残業に関するルールが以下のとおり変更されました。

項目

改正前

改正後

週の残業上限

9時間

12時間

1日の残業上限

3時間

最大4時間

週の残業可能日数

規定なし

最大4日間

残業割増賃金

200%(通常賃金の2倍)

200%(変更なし)

なお、当ブログの袖山-3記事(※)でも解説した「週9時間超残業の刑事罰リスク」は、今回の改正で週12時間に上限が緩和されましたが、人身取引防止法に基づく刑事罰規定は引き続き有効です。残業管理は「上限以内に収めること」と「証拠を残すこと」の両軸で対応が必要です。

今回の改正で最も実務インパクトが大きいのが、LFT第132条第34号(新設) です。

この条文は、すべての使用者(雇用主) に対して以下を義務付けています。

各労働者の勤怠を電子的に記録すること。記録には勤務開始時刻・終了時刻を含め、労働当局(STPS)から求められた際に提出できる状態で保管しなければならない。

ポイントは「紙の打刻カードやExcel管理では不可」という点です。電子的な記録(Registro Electrónico)が明文で義務化されています。

LFT第994条第4号(新設)により、電子勤怠記録義務を怠った場合の罰則が定められました。

  • 罰金:250〜5,000 UMA
  • 2026年2月時点のUMA日額は117.31ペソ
  • 換算:約29,327ペソ〜586,550ペソ(日本円で約27万1,000円〜543万1,000円) 
        相当の罰金  
    (※1ペソ=約9.26円として換算。為替・UMA値により変動)」

従業員が多いほど、複数の記録不備が発覚した場合に累計罰金が膨らむリスクがあります。

STSPが公布する「電子勤怠記録に関する一般規定(Disposiciones Generales)」の正式適用は2027年1月1日です(附則第5条・Transitorio Quinto)。ただし、LFT本体の義務規定(第132条第34号)は2026年5月1日施行であるため、「2026年中は準備するだけでよい」という解釈は誤りです。

実務上は、2026年12月末までに電子勤怠システムを導入・稼働させておくことが強く推奨されます。

アクション① 就業規則(Reglamento Interior de Trabajo)の改定週の法定上限や残業規定が変わったため、現在の就業規則に記載されている労働時間・残業・シフトに関する条文の見直しが必要です。

特に以下の点を確認してください。

  • 「週48時間」と明記されている場合、2027年以降の削減スケジュールを盛り込んだ附則を追加する
  • 残業上限を「週9時間」と明記している場合、「週12時間・最大4時間/日・週4日まで」に修正する
  • シフト制(製造業・24時間操業)を採用している場合、各シフトの合計時間を新上限に照らして再設計する

就業規則の改定はSTPSへの届出が必要な場合があります。現地弁護士・コンサルタントと連携して進めることをお勧めします。

現在、タイムカード・紙の出勤簿・Excelで勤怠管理をしている場合は、電子システムへの移行が必須です。

検討のポイントは以下の3点です。

(i)記録要件の充足:勤務開始・終了時刻が電子的に記録・保存され、STPS求めに応じて提出できる形式であること。

(ii)現地対応システムの選定:メキシコのIMSS報告要件・給与計算システムとの連携が取れるシステムを選ぶことで、二重入力の手間を省けます。

(iii)導入スケジュール:システム選定・RFP・導入・テスト稼働・従業員トレーニングを含めると最低3〜6ヶ月かかります。2026年12月末稼働を目標とするなら、遅くとも2026年7〜8月には選定開始が必要です。

週46時間(2027年)への削減により、現行48時間の工場では1週あたり2時間分の労働時間が減少します。生産ラインの稼働率や出荷スケジュールを維持するには、以下の選択肢を数値で比較することが重要です。

  • 追加雇用:不足する2時間分を補う人員増
  • 残業対応:週12時間の残業枠(200%割増)でカバー
  • 生産性向上:設備投資・工程改善による同時間内の生産量維持

特に製造業では、この3つのトレードオフを今年中にシミュレーションしておくことで、2027年1月以降の予算組みに余裕が生まれます。

2026年5月1日に公示されたメキシコ連邦労働法(LFT)改正の要点を整理します。

  • 週40時間化は2030年が最終目標。2026年は移行準備期間で、実際の時短は2027年1月から段階的に始まる
  • 電子勤怠記録(LFT第132条第34号)は2026年5月1日施行。違反には250〜5,000UMAの罰金
  • STPS一般規定の正式適用は2027年1月1日だが、2026年12月末までにシステム稼働が実質的に必要
  • 就業規則改定・電子勤怠導入・人件費シミュレーションの3つを、2026年末までに完了させることが急務

「まだ来年から始まる話」と先送りにすると、就業規則改定・システム導入・従業員周知に十分な時間が取れなくなります。今から動くことで、コンプライアンスリスクを確実に回避できます。

メキシコの労働法改正への対応やご相談は、お気軽にお問い合わせください。

株式会社東京コンサルティンググループ メキシコ拠点 袖山