ASEAN成長率トップクラス! 第1回フィリピン・ベトナムの「これからの海外子会社マネジメント」

こんにちは、東京コンサルティングファーム ASEAN統括責任者の大橋 聖也です。

 

【1分でわかるベトナム・フィリピン進出のイロハ】

No.106< ASEAN成長率トップクラス!第1回フィリピン・ベトナムの「これからの海外子会社マネジメント」>

 

昨今、ASEAN諸国の中でトップクラスの経済成長率と一億人規模の人口をほこり、日系企業の海外進出先として特に注目されているのが、親日国でもある“海のASEAN”フィリピンと“陸のASEAN”ベトナムです。

両国ともに比較的安価な賃金と若く豊富な労働力、かつ優遇税制などを活用した製造業やIT業を主とした日系企業の進出が増えています。

2018-2019年の日系企業進出数は、フィリピン1,356社・ベトナム1,920社となり、10年前と比較すると約2倍になっています。

今後、両国への更なる進出や事業拡大が見込まれる中、経済環境の変化に伴う「海外子会社の役割」、そして検討すべき各国の「人事労務・税務」について全3回にわたってお話したいと思います。

 

《主なテーマ》

第1回:これからの海外子会社の役割

第2回:利益を決める人事労務マネジメント

第3回:利益還流時の税務上の検討ポイント

 

 

Ⅰ. これからの海外子会社の役割

現代経営学の父と呼ばれるドラッカーは、「人口構造の変化」こそが“既に起こった未来”を予測する上で重要であると述べています。

すなわち、フィリピン・ベトナムもまた、多くの企業が人口構造の変化を先読みし、今後の経済成長や未来の労働力・市場・経済社会にどのような影響を与えるかを予測することができるでしょう。

 

まずは、2019年フィリピン・ベトナム両国の主要な経済指標をみていきましょう。

 

上記の表にある通り、両国とも直近でASEANトップクラスのGDP成長率を達成し、一人当たりGDPも堅調に伸びています。

この経済発展を支えているのが、ASEAN諸国で第一位インドネシアに次ぐ第二位フィリピン、そして第三位ベトナムといった1億人規模の人口と、今後確実に生産労働人口が増えていく中で、更なる経済成長が見込まれます。

 

進出パターンはこれまで通り、インフラ開発・プロジェクト型の大手企業の進出、2018年米中貿易摩擦の影響によるチャイナ・プラスワンの第3か国としての進出、そして労働コスト優位性や税務インセンティブを活用した生産・製造・開発拠点としての進出が今後も増えていくでしょう。

 

注目すべきは、現地ローカル中間層の所得水準の上昇で内需の拡大、ローカル企業の成長により現地の市場や経済発展が進み、日系企業にとっては、現地マーケットでのビジネス機会として魅力がより一層高まっていることです。

 

輸出製造型から“地産地消型”へ

総じて、両国の政府は、国内マーケットに対する外資規制緩和の動きをみせ、中間層の所得水準の増加や購買意欲の高い消費者に対する小売り・卸売や多様化したサービス業の進出が増えています。

製造業においては、生産能力に制限のある少規模工場、材料の輸出依存体質、駐在員コストや高騰する工場用地・オフィス賃料といった負担を吸収しきれず赤字体質になりつつある企業は、生産性やコスト意識が高まっており、生産規模の拡張に向けた労働力の現地化・オートメーション化・現地調達比率の向上などが課題となっています。

 

そして、製造業のみならず多くの企業で、現地での販路開拓に向けた動きが徐々に勢いを増しています。

これは、海外子会社の役割が、日本親会社の一機能としてコストダウンを目的とした労働集約な“輸出製造型”という役割から、収益アップを目的とする現地でモノを作り・現地の市場へ販売する“地産地消型”へと方針の転換が進んでいると言えます。

 

特に、小売・卸売業の規制が比較的緩和されているベトナムでは、コロナ禍においてもエースコックの事業拡大、ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)やすき家(株式会社ゼンショーホールディングス)の多店舗展開、2020年はマツモトキヨシ・無印良品(株式会社良品計画)が1号店をオープンし、現地での経済活動が活発化しています。

 

<問われる海外子会社トップの思考性>

今後の海外子会社は、コストセンターからプロフィットセンターとして、従前の親会社から委託され仕事をこなす生産・製造拠点ではなく、現地マーケットに適した価格決定やビジネススキームの構築など、販売拠点として戦略的な経営活動が求められます。

当然現地マーケットでは、日系企業やローカル企業だけでなく、韓国・中国・タイ企業との品質面・価格面での競争力という点で、販売戦略・工場の稼働率・生産性の向上が課題として挙がってくることでしょう。

 

つまり、日本主導の経営から現地主導の経営判断が期待される中で、現地を任される拠点長やローカルマネージャーは、本社の一部門を任される部門長という意識ではなく、海外子会社という一つの会社経営を担う現地社長としての思考法、企業家精神を持った経営能力が問われる時代になっています。

 

さて、海外子会社の成功を左右するトップの思考法が重要なわけですが、海外で成果を出せる人とそうでない人を一発で見分ける口癖をご紹介します。

 

(成果の出せる思考パターン)

同業他社も同じ環境・市場で競争してるのだから、カントリーリスクや外部環境の影響はない!!

(成果の出せない思考パターン)

フィリピン・ベトナムは・・・がダメだ(足りない)から、〇〇することは出来ない(上手くいかない)。。。

 

成功する企業のトップは、日本・海外問わず、外部環境の変化を“脅威”としてではなく、“成長機会”として捉えることができます。

 

次回は、第2回「利益を決める人事労務マネジメント」についてお伝えしていきます。


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