「マニュアルって、そもそも何のために作るんですか?」
社内の業務標準化、マニュアル化という合言葉だけが
先行して、ついついその”目的”が見失われがちです。
一番最悪なのは、”手段”の”目的化”。
こうならないためには、まず”正しい考え方”を
知る必要があります。
まず、ゴールから逆算するとマニュアルの完成形は、
「一切の経験者が組織からいなくなっても、
経験者の再現性がある状態にすること」
だと考えます。
この状態になると、そもそも経験者を雇う必要が
なくなるため、新卒、未経験者だけで組織を作る
ことが出来ます。
ある会計事務所では、徹底したマニュアル化を行い、
パートだけで全ての手続業務を出来る、という理想を
実現しました。
これにより、労働分配率を低く抑えるとともに、
一人当たりの賃金を増やすことも可能となりました。
営業社員であれば、受注に応じての分配という事も
可能ですが、製造側の社員に対しては、”生産性”
という観点で給与をアップしていく形になります。
どんな会社でも、利益がでなければ昇給原資を
確保できず、社員を昇給させることもできません。
逆に言えば、これが実現できれば社員の給与を
アップさせ、結果離職率を下げることも可能となります。
人は、常に”今、目の前で起きている問題”に対して
本気で対処しようとしてしまいます。
裏を返せば、今、問題が起きていなければ行動
することはまずありません。
”今の組織に問題が起きてなければ良い”という発想ではなく、
①経験者が全員退職しても組織が回るマニュアルが完成できているか?
②これがあると、新卒中心の組織ができ、大幅に人件費(コスト)
が下がる。
③上記の実現により生産性アップし、手続業務に高い
給与の経験者を当てる必要がなくなるため、社員1人
あたりの給与をアップし、給与水準を他社より高めることで
結果的に離職率が下がる。
これが、目指すべきマニュアル化の意味になります。
もし、これが実現できていなければ、それは”マニュアル化レベルが低い”
と認識し、徹底して改善し続ける必要があります。
そして、マニュアルは作って終わりではなく、組織の人員構成を変え、
労働分配率を下げ、結果給与水準を上げる、という”成果”が
出るまで行い続ける。
トヨタの”カイゼン”と全く同じ意味であり、これが出来た会社
だけが高い”競合優位性”を持つことが出来るのではないでしょうか。
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増田 鉄矢
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