経営は4つの視点で考えることが重要であり、その具体的な視点として、【財務の視点】、【顧客の視点】、【プロセスの視点】、【組織の視点】を順次説明していきます。
前回までで、【財務の視点】の説明をしましたので、【顧客の視点】に移っていきたいと思います。
【顧客の視点】
- 社長は外を見ろ!
- 利益感度分析
- PPMとアンゾフマトリックス
- 海外進出か国内差別化か。
前回までに、下記のA.~E.であれば、どこに力を入れれば、最も敏感に(効率的に)経常利益が増加するだろうか、という命題から、その敏感な順(つまり感度が高い順)と、その簡単な順の説明をしました。
- A.経費を削減しろ!
- B.材料費を削れ!
- C.販売量を増やせ!
- D.商品・製品・サービス単価を上げて売れ!
- E.残業代をカットしろ!ボーナスの支給はなし!人件費を削るために、解雇せよ!
最も敏感に経常利益を増すことができる順を示しておくと、D.→C.→B.→A.E.となります。A.E.は両者を固定費という枠でとらえています。
そして、最も実施することが簡単な順を示しておくと、逆になります。
A.E.→B.→C.→D.となります。
前回までで、利益感度分析の結論を示しました。
それは、単価を上げる行為が最も難易度が高いが、利益に対する感応度は最も高く反応するということです。
逆に、最も難易度が低く、感応度も低く反応するものは、固定費の削減になります。
今回は数式を示しながら、照明したいと思います。感覚的に、理解した人は読む必要はないです。
少し、数学的な要素が加わりますが、下図を見てください。
さて、ここまでは先週の内容と全く同じです。
今回は感応度というものを実際に出していきます。
中学1年生レベルの数学が入ってきますが悪しからず。
まず、利益感度分析において、最初に行うことは上図の左側を下記の式で表せることを把握することです。
イ.PQ=VQ+F+G これは具体的な数字を当てはめると、
ロ.2,000円=1,200円+600円+200円
となります。
ここまでは難なく理解できると思います。
利益感度分析の第一手は、G=200円を0円になるときは…?と、仮定することから始まります。
つまり、200円の利益Gが0円になるときに、P、Qに関しては、売上に関することなので、どれだけ下がれば、利益Gが0円になるか、またV、Fに関しては、費用に関することなので、どれだけ上がれば、利益Gが0円になるか、を問うているのです。
では、G=0円なので、PQ=VQ+Fとなり、それぞれのP,Q,V,Fを表してみます。
ハ.P=V+(F/Q)→P=120円+(600円/10個)→P=180円
P以外の項目が変化しないときに、Pは200円から180円の単価になったときに利益Gは0になります。
200円から180円に下がったときというのは、20円分の単価下がったときと言い換えることもでき、つまりは20円/200円=10%の単価が下がったときに利益Gが0円になってしまいます。
この時の10%が「感応度」と言われます。
では、ハ.のように、次々と解いていきましょう。
ニ.Q=F/(P-V)→Q=600円/(200円-120円)→Q=7.5個
Q以外の項目が変化しないときに、Qは10個から7.5個の販売量になったときに、利益Gは0円になってしまいます。
2.5個分の販売量が減ったときに0円となるので、2.5個/10個=25%と表すとこができ、この25%が感応度となります。
ホ.V=P-(F/Q)→V=200円-(600円/10個)→V=140円
V以外の項目が変化しないときに、Vは120円から140円まで値上がりした時に、利益Gは0円になるということを示しています。
つまり120円から20円値上げしたときに140円になるのであり、20円/120円=16.7%UPすると利益Gが0円になるということになります。
このときの16.7%が感応度となります。
へ.F=PQ-VQ→F=(2,000円-1,200円)→F=800円
F以外の項目が変化しないときに、Fは600円から800円までになると利益Gは0円になってしまいます。
つまり、増加分200円で、利益が0円になるので、200円/600円=33.3%と表すことができ、この33.3%が感応度となります。
これらの感応度である%が小さい順に並べると、
P=10%→V=16.7%→Q=25%→F=33.3%となります。
%が小さいほど、感応度は高いと表現されます。
例えば販売単価Pを10%下げると、利益Gは0円になると言うことができましたが、逆を言うと単価を10%さえ上げれば(つまりは200円から220円にすれば)、利益Gは倍の400円になるのです。
仕入単価Vは、16.7%上がれば、利益Gは0円になるということでしたが、逆を言えば、16.7%下げれば(つまりは120円を100円にすれば)、利益Gは倍の400円になるということです。
仕入個数や販売個数であるQは10個から7.5個になれば、PQは1,500円、VQは900円となり、粗利益額MQは600円で固定費が600円だから0円になる、ということでした。
つまりは、25%増しの10個から12.5個の仕入個数、販売個数になれば、PQは2,500円、VQは1,500円となり、粗利益額MQは1,000円となり、固定費Fの600円を差し引き、400円の利益Gとなります。
固定費Fは600円から800円になると、利益Gは0円となります。逆を言うと、33.3%である200円の固定費Fを下げることができれば、当たり前ですが利益Gは200円から400円の倍になります。
つまり、言いたかったことは、「少ない%の変化率で利益Gを倍にすることができる」→「感応度が高い」ということになるのです。
そして、その結果、一番感応度が高いのはPの販売価格になります。
もっとも感応度が低いのは固定費Fなのです。
らに一番困難性を極めるのは、以前にも記載しましたが、販売単価のPです。
これを上げるには顧客と交渉する必要があるからです。
顧客が値上げを了承するのは、商品、製品、サービスの本源的価値を高めることは当然ながら、心理コストや手間コストなどの削減にも注意を要することでしょうし、この部分で経営理念や経営方針がしっかりと社員全域に落とし込まれ、TMの戦略や戦術が落とし込まれているかが重要になります。
逆にこれも以前に述べましたが、最も簡単なのは、固定費Fの削減になります。
なぜなら、社内決裁で経営層の意思決定次第だからです。
お分かりになりましたでしょうか。
ここを理解すれば、戦略の立て方に大いにプラスになります。
どこの手を打てば利益が出やすいのかを把握することができるからです。
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株式会社東京コンサルティングファーム
橋口 敦史
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