こんにちは、
株式会社東京コンサルティングファームの小林です。
前回は、評価制度の中で会社の方向性を示すというテーマで述べてきました。
今回は、前回挙げた評価制度の重要な3つの要素の中から、
- ②具体的にどういう行動をとればよいのかを明確にする
- ③評価基準に落とし込む
についてお話します。
社員にどういう行動をとって欲しいかの大原則は、前回述べた通り会社の経営理念やビジョンになります。
しかし、一般に経営理念やビジョンというのは、抽象概念になっており、しかもその実現はより長期のものになっているケースが大半です。
しかし社員は会社に対して、もう少し短期の視点で自身のパフォーマンスを評価して欲しいという期待があります。
さらに、抽象概念はそのままでは評価とはそぐわないことが多々発生します。
それは、評価される側の社員も、評価する側(一般的には社員の直属の上司となる中間管理職になります)も本当にそれができたかという評価が非常に難しくなるからです。
「顧客第一」という会社の方針があったとします。
それを何か月かの評価期間の間で本当に社員が実践できたかというのは、難しいですよね。
実践できたという日もあれば今日はできなかったという日もあるでしょう。
あるお客様に対しては優先順位を上げて行動できたが、別のお客様にはそうではなかったというケースもあるかもしれません。
そもそも、顧客第一というだけでは、
- 製品・サービスのクオリティにこだわるのか?
- 納期を早くすることに注力するのか?
- それとも別の観点があるのか?
ということもよくわかりません。
クオリティを上げるためには、ある程度デリバリーのスピードを犠牲にしなければならないということも出てくるでしょう。
その時にいったいどうすればよいのか?
こうした疑問点が社員や評価者から出ないように、評価基準というのをより具体的にわかりやすく明確にする必要があるのです。
明瞭な評価基準があるからこそ、それによって評価される社員も評価結果に対して腹落ちしやすくなります。
先ほどの顧客第一で言うと、自社が考える最も顧客第一になる行動は何か?を考えます。
次に、それが実践できると、会社にとってどういう効果があるのか?を考えます。
会社にとって効果があるというのは、具体的に会社の売上や利益につながるのか?という問いかけです。
実は、評価基準というのはここのリンクが非常に重要になります。
会社にメリットがあるからこそ、それがゆくゆくは社員のメリットにもなるわけです。
社員にやらせても会社にとってメリットにならないというものは、辞めた方がいい施策ということになります。
もちろん、短期的には会社の売上・利益に直結しないような事項もありますが、であれば長期的には価値のあることであるということを社員にきちんとメッセージとして伝えていかなければなりません。
多くの会社が、「そんなこと言わなくても社員はわかるだろう」という前提で動いているのですが、実際は伝えないと伝わらないものです。
ここが社員と会社の期待ギャップになり、信頼関係にもつながっていくわけです。
このように、評価基準はできる限り社員が明確に理解できて、さらにその行動ができたのかできなかったのか?を客観的に判断できる内容にする必要があるのです。
今回はここまでです。
次回は、成果主義の評価の問題点について述べたいと思います。
お読みいただきありがとうございます。