評価制度に一番必要なものは?

こんにちは

株式会社東京コンサルティングファームの小林です。

 

前回は、組織作りのために、責任範囲を明確にするための見える化と、社員が責任範囲を広げることができるようにするための評価制度とカバー範囲の拡張に昇進を紐づけるということについて述べました。

 

今回は、上記のうち評価制度についてもう少し深掘りして述べたいと思います。

 

一般的に評価制度というのは、それぞれの社員にどれだけ給与や賞与を分配するかという目的で導入されています。この目的自体は間違ってはいないと思いますが、評価制度を単なる分配の手段として用いるのはある意味もったいないと私は考えます。

 

それだけでなく、評価制度というのは本来、会社の目指す方向性を社員とすり合わせるという目的で有効だということです。会社がこういう行動をとって欲しいというものを社員が実際に行動としてできた場合に、その社員を評価することでこれが可能になります。

 

その前提として必要になるのは、①会社の方向性を示す、②具体的にどういう行動をとればよいのかを明確にする、③評価基準に落とし込む という3つが必要になります。

 

①会社の方向性を示すというのは、会社が何を目指しているのか?を明確にするということですが、会社が目指すものを言語化したものの最たるものが、「経営理念」になります。経営理念というのは、会社が何のためにあるのか?という存在意義に他なりません。経営理念というのは、社員のすべての行動のよりどころとして全社員が常に意識できるものである必要があります。そのためには、ただ言葉として経営理念を作るだけでは足りず、それを社員に常に提示して、普段の仕事の中で経営理念に沿った行動ができているかを問いかけ続けられるような形にしていくことが重要です。

 

例えば、当社では経営理念を名刺サイズのカード(クレドカード)の形にして、社員全員が常に携帯できるようにしています。さらに、社員自身の為だけではなく、このカードをお客様や友人、家族などにも配って自社がどういう思いで事業を行っているのかを社員自身の言葉で話すことを推奨しています。経営理念を共有しているということは、社員自身が経営理念について他に語ることができるような状態になるということだと私は考えます。

 

経営理念とよく似た概念として用いられる言葉に「ビジョン」というものがあります。ビジョンは、経営理念を実践した結果会社やそこで働く社員がどういう状態になるのかをよりイメージしやすい形にしたものです。一般に経営理念は、会社の姿勢を表し、特にいつまでに実現するという時間の概念はそこでは明確にしていないことが多いものです。これは、ある程度の社会の変化に会っても普遍的な姿勢を示すものであるからそのようなものになっているということができます。一方でビジョンの多くは、例えば5年後や10年後のような具体的な時期も示したうえで、その時点で我が社がどのようになっているのかを示しているものです。

 

上述のように理念は普遍的な概念になるので、それだけだと社員もなかなか具体的なイメージがつきにくいので、より具体的な姿であるビジョンによって、目指すべきものをより明確に示すことが可能になります。ビジョンで示されるものは、例えば売上高であったり、社員数であったり、社員の平均年収のようなものを示してもいいでしょう。上場するという目標もわかりやすいですね。もちろん顧客数や業界での順位といった顧客・競合を意識したメッセージでも構いません。こうした数字も含めた具体的な目標を示すことで、社員がどういう行動を取るべきかという個々の目標の道標になっていきます。

 

このように、経営理念・ビジョンによって、会社がどういうことを目指そうとしているのかを社員と共有するということが評価制度を考えるうえで、まず一番目に考慮すべきポイントとなります。

 

次回は、②具体的にどういう行動をとればよいのかを明確にする、③評価基準に落とし込む について述べていきたいと思います。

 

以上、お読みいただきありがとうございます。

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