経営理念を共有する目的とは

こんにちは、東京コンサルティングファームの大橋 聖也です。
​2016年よりフィリピンに赴任し、ASEAN拠点を中心に日系企業の海外ビジネスの支援をさせて頂いてます。

【1分でわかる海外子会社マネジメントのイロハ】

No.5<経営理念を共有する目的とは>
海外子会社マネジメントにおいて最も重要なことは、現地スタッフに経営理念を共有し、浸透させることです。

会社の存在意義や働く目的を示す経営理念は、「製品サービスを通じて社会に貢献していく」というところに定められています。
従って、理念共有の目的は、2つあると考えています。

第一は、お客様に自社の事業目的、何が価値であるかを伝えていくこと。

第二は、社員に会社の価値観を共有し、ベクトルの方向性を合わせること。

第一の目的は、お客様に対して自社の事業を通じてどんな価値を提供する会社なのかを伝えることです。
会社は、お客様に対して自社の製品サービスを提供しますが、単に製品サービスそのものを提供している会社は、他社との価格競争に陥ってしまいます。

分かり易い例として、セブンイレブンとスーパーマーケットで考えてみます。
どちらもほとんど同じ商品を扱っていますが、値段はセブンイレブンの方が高く、スーパーマーケットの方が安いです。

ではなぜ、値段が高いセブンイレブンでお客様は商品を購入するのでしょうか。
それは、セブンイレブンが売ってるのは、パンや飲み物でなく「Convenient」な生活スタイルを提供することだからです。
この便利さを提供することよって、お客様の生活に豊かさをもたらすことが、セブンイレブンの価値になります。

単に製品サービスを売っていると考えるとスーパーとの安値競争に巻き込まれますが、
便利さという価値があるからこそ、スーパーより値段が高くてもお客様は買うのです。

我々の会社とはどんな価値を提供するのかという本質を見せないと、
やがて他社が真似をし安いものが出たときに、お客様の買う理由が明確ではなく、価格競争に陥って潰れてしまうでしょう。

他社との差別化を図り、高い付加価値をもたらす要因は、
我々はどんな価値を提供する会社なのか、つまりモノ(製品サービス)を売るのではなく、コト(価値)を売ることなのです。

よって重要なことは、会社が何のために事業をやるのかという経営理念が、お客様にしっかりと伝わっているということなのですが・・・
この会社の価値をお客様に伝えていくのは、実際に製品サービスを提供する社員によって行われます。

社員が正しく自社の価値は何かを理解しないと、社員自身も目に見える製品サービスを見てしまい、結果としてお客様に伝わりません。

そこで、もう一つの目的は、理念を社員に共有し、浸透させることです。

社員には、大きく分けると2つのタイプがいます。

1つは、会社を通じて何が得られるかを中心に考える社員。
もう1つは、会社を通じて社会に何を与えられるかを考える社員。

前者は、「得ること」を中心にする人で、主に給与・知識・技術・経験などがどれだけ得られるかを考えます。

後者は、「与えること」を中心にする人で、起きてる課題を自分の問題と捉え、より価値のある労働力を与えようと考えます。

経営理念を通じて会社の方向性が明確にしないと、人間は本能的に何を得るのかを中心に考えてしまうため、
社員と会社が違うベクトルを向いてしまいます。
だからこそ、マネジメントは、社員一人ひとりに理念を共有する仕組み・場を作ることが大切なのです。

私自身も、海外子会社で、毎日1時間の朝礼を通じて理念共有を図るだけでなく、
お客様にはお約束事として自社の経営理念をまとめたクレドカードを渡し、
社員には何を期待しどれだけ行動改善をできたかを評価するマネジメントシステムを導入しています。

最後に、経営を自転車に例えると、どこの方向に向かうか、ハンドルを握り方向を決めているのは経営者です。
トップが方向を間違っていたり、目先の売上・利益だけを見ていて、遠く先の理念やビジョンを見ていないと、
自転車が転ぶように会社は倒産してしまいます。

また、自転車が進むべき方向に向かうためには、ペダルをしっかりと踏み込み、後輪を動かしていく必要があります。
後輪を担うのは社員の行動力であるため、自転車が進むべき方向を決めて舵取りをするのも、後輪に動力を与えるのも経営者なのです。
重要なのは、トップが全力でペダルを漕いで後輪を回すことで、前輪であるお客様の満足も高まっていきます。
この二つの車輪が適切に連携することで、自転車がどんどん目指すべき方向に走っていくのです。
そのカギを握るのは、経営理念の共有とその浸透度合いになります。

海外子会社マネジメントにお困りの方は、お気軽にご相談・ご連絡お待ちしております。


最後に、弊社海外拠点の全ブログ掲載HPがリニューアルいたしました。
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今週もどうぞよろしくお願い致します。


Tokyo Consulting Firm
ASEAN Regional Manager
大橋 聖也 (Seiya Ohashi)

~プロフィール~
2012年東京コンサルティンググループ入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングの立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事を解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年よりフィリピンに赴任し、日系企業のフィリピン法人設立、会計税務、人事労務などのワンストップサービスに従事。現在、マニラ・セブにて顧客数100社超、日本人4名・フィリピン会計士25名・フィリピン弁護士2名合わせてローカルスタッフ50名超まで事業を拡大中。2018年よりフィリピン・ベトナムを中心としたASEAN拠点統括を兼務。

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