経営は4つの視点で考えることが重要であり、その具体的な視点として、【財務の視点】、【顧客の視点】、【プロセスの視点】、【組織の視点】を順次説明していきます。前回は③のアンゾフマトリックスについて、話をしました。今回はその続きです。
【顧客の視点】
- 社長は外を見ろ!
- 利益感度分析
- PPMとアンゾフマトリックス
- 海外進出?国内差別化?それともボーダレス?
前回はアンゾフの成長マトリックスについて、論じました。今回は④海外進出?国内差別化?それともボーダレス?に突入します。題目はボーダレスという言葉を入れることで、少し修正しております。
まずはこの数字を見ていただいて、何を感じるかです。
私は1980年生まれですが、2000年の新成人の数は164万人でした。
2020年の新成人は125万人、そして、出生数87万人です。
2021年の出生数はコロナの影響もあって、80万人を切ると言われています。
まとまりなく、情報を羅列しましたが、これはどういうことでしょうか。
まず2000年→2020年で新成人の数は40万人減少しているということです。
驚いてください。減少率は▲32%です。
そして、2020年の出生数は、87万人です。当たり前のことを言いますが、このベイビーたちが成人式を迎える2040年は、どうしたって、87万人を超えることはないのです。つまり、この20年の間で、また125万人から87万人と、40万人の減少となります。
驚いてください。減少率は▲43%です。
これが企業の前期比較の売上成長率の減少幅だったら、確実に窮地に立たされるほどの減少率ですね。比較の対象期間が1年後と20年後という違いはありますが…。
何が言いたかったというと、月並みかもしれませんが、日本の人口は減少していくことが明白になっているのです。そして、またこれも当たり前の記述になりますが、労働人口が極端に減少しているのです。
あなたがもしも投資家や起業家で、語学力や出身地の特定がない状況だとしたら、この国、日本に投資しますか。日本で起業しようと考えますか。
人口の減少は需要の減少と労働生産性の減少をどうしても生み出してしまいます。さらにそれらは、市場の減退を意味するのです。市場が減退すれば、パイの取り合いとなり、企業に求められる選択肢は、海外展開か、もしくは国内での生き残りをかけた差別化路線か、になります。
さらに言うと、実はもう海外展開か国内差別化か、なんていう議論も時代遅れなのかもしれません。ボーダレスという言葉が死語になる時代がそんなに遠くない未来に現れるのかもしれません。なぜかというと、このコロナ禍の影響で、勤務するにしても、リモートワークの活用で、地理的制約がなくなりました。勤務する場所を問わない、ということです。また、正社員雇用をして、パートナシップ型の雇用からジョブ型の雇用、つまり単純作業の時間的業務の切り出しに変化してきました。
今や、とある企業ではオンライン上にバーチャルオフィスを構えて、スタッフが自宅にあるPCから、そのバーチャルオフィスにログインすれば、勤怠がカウントされ、ログアウトすれば、退勤になるという仕組みも生まれています。バーチャルオフィスはPCの画面では、フィジカルの座席位置を上から見たような構想となっており、作業部屋や会議室や団らん室に分かれていて、どこかをクリックすれば、もともとその部屋に入室していた人とビデオ通話でつながります。こうなると、本社機能は、東京である必要はないのです、いや日本や先進国にある必要性はなくなるのです。
つまりは、もう国内、国外の認識があることですら、時代遅れであり、ボーダレスという言葉時代が使用されなくなるかもしれません。
企業はそれを見据えた戦略の修正が必要な時代に突入しているのです。
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株式会社東京コンサルティングファーム
橋口 敦史
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