降給・残業に関する判例

労務

皆様こんにちは。Tokyo Consulting Firm Sdn. Bhd.の谷口です。

今回はGSTの未払いに係るペナルティについてご説明致します。

 

お世話になっております。

東京コンサルティングファームの谷口でございます。

 

本日は、労働法に関する判例のうち、

降給・残業に関する判例をご紹介いたします。

 

N社で働くH氏の給与は、2,600RMから2,000RMへと降ろされた。その原因は、パフォーマンス不足と、残業に対する非協力的な姿勢だった。H氏は数回、この一方的な降給に対して抗議のレターを提出していた。そして、これは会社側の雇用契約違反だとし、みなし解雇されたと訴えた。

 

<会社の主張>

・与えられた業務を就業時間以内に終わらせることができず、

 さらに、できない旨を会社に報告していなかった

・また、月末締め日の残業を依頼する書類を出しても、拒否した

・月末に残業を求めるのは、H氏の入社前からの慣習だった

・雇用契約書に残業の記載はないが、就業規則に記してある

 

<従業員の主張>

午後10時までの残業が強いられるということは、雇用契約書に記載されていなかった。契約書に記載されていないことに従わなかっただけで降給されるというのは、会社側の契約違反であり、みなし解雇である。

 

<判決と裁判所の見解>

会社側の雇用契約違反とし、みなし解雇とする。

・従業員の同意が無いまま一方的に給与を下げるのは、根本的な雇用契約違反となる。

・雇用契約書に、降給の可能性があること、そしてその場合の金額が明記されており、それに従業員が同意していれば、会社側には降給を決定する権利があるものとされる。

・また、就業規則だけではなく雇用契約書に残業についての記載が無い限り、会社側の主張は受け入れられない

・H氏のように、労働法の範囲外で働く者の場合、残業代が支払われていれば残業自体には問題がないものとした。

・残業の拒否には、残業をしたくない正当な理由を会社に申し出なければならないとした。

・また、会社側は特に子を持つ女性や公共交通機関で通勤する者にたいしては、家庭の事情と安全に配慮をするべきであると注意した。

 

<判決のポイント>

残業させる際には、就業規則だけではなく雇用契約書に残業の可能性があるという記載が必要で、それに対し同意がなければ、会社側に残業させる権利はないということになります。また、降給がある場合にはその可能性がある旨と、いくら下がるのかを雇用契約書に明記する必要がありますが、本件のように正当な理由が無ければみなし解雇とされますので、ご注意くださいませ。

 

以上となります。

 

労務に関して、ご質問が御座いましたら、

是非ご連絡を頂ければと存じます。

 

どうぞよろしくお願い致します。

 

谷口 翔悟

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