純利益の積立と配当会社法上、事業年度ごとに累積ベースで黒字の場合には、会社の財務上の健全性を保つために、純利益のうちの一定額を法定準備金として積み立てることが求められています(70条1項・2項)。
法定準備金の積立は、法定準備金の額が払込資本額の20%に達するまで毎年行わなければなりません(同条3項)。その一方で、毎年の法定積立金額については特段の定めはなく、財務上の問題および事業戦略に直結するところでもあることから、株主総会が任意に決定できることとなっています。法定準備金が20%に達した以降の事業年度では、会社法上の積立義務はありません。
上記の法定準備金額および会社の純利益から法定準備金の積立額を控除した残額については、株主総会によってその処分が決議されることになります(71条1項)。原則としては、株主に対して配当として分配しますが(同条2項)、総会の決議で過半数を取ることができれば、将来の投資に備えた内部留保や、特別の功績のあった役員や従業員への決算賞与にすることも可能です。
ただし、上記の利益処分(法定準備金および配当)は、累積で黒字になっていることが原則で、仮に赤字が出た場合は、法定準備金を赤字の解消に充当することが義務付けられています(同条3項)。