(7月23日)BKPM(投資調整庁)から2013年第二四半期の投資実現額が発表され、2013年第上半期に合計で前年同期比30%増の193兆ルピア(21億米ドル)の投資が実現し,
国別の投資件数では、日本は446件(2012年は通年で405件)23億米ドル(同25億米ドル)にて国別で1位になった。
中国への集中を避けるため、2011年度からインドネシアへの投資熱が一気に加速し、過去最高の投資件数を更新し続けており、かつてない好景気を迎えているインドネシアだが、実際に投資をした企業の声を聞くとアジアの新興国らしいリスクを潜在的に抱えている様子が分かる。
最初に挙げられる経営上のリスクは、ローカル企業との激しい価格競争にさらされる、あるいは、販売管理費が想定以上に必要となり、経営を圧迫しているケースが多くある。日本の高い品質が必ずしもマストとなるわけではなく、価格と品質の折り合いをつけられる企業でなければ、インドネシアにおいて優位に立つことが難しい状況となっている。また、不動産価格は毎年10%近く、また最低賃金の高騰にみられる給与の上昇も想定外のコストを企業に強いる結果となっており、インドネシアの労働市場の競争力が生かされないケースも出てきている。
第二に挙げられるリスクは、法律の運用と実務上の取扱いの違い(不文律の存在)やあいまいない法律の解釈、担当官によって解釈が異なる、法律の変更が頻繁に起きるといった法務上のリスクである。
先日も5月27日に外国投資を統括する官庁(BKPM)から、行政手続きについての急な変更が出されたが、このような前触れのない法律の変更あるいは、一度出された法令が、国内の反発を受けて変更になったり、廃案になったりすることも頻繁に起きる。 また、担当者によって解釈が異なるので、以前同じ条件で問題となった案件も、予測しないところで、ペンディングになったりするケースがある。特に輸出入やビザなど省庁によって、担当官への法令の周知が徹底できていないことが顕著なところがあり、状況を熟知していなければ対応に苦慮する場面もしばしば訪れる。
我々が新興国でビジネスをするのであれば、少なくとも上記のようなリスクが潜在的にあることを理解しておく必要がある。その上で、我々外国人がビジネスをするうえで、いかに無知であるかを謙虚に理解し、情報の収集に努め、対応を協議していく必要がある。
インドネシアにおいて成功している会社の多くが、いったんインドネシア人を幹部候補として3年から4年ほど実務経験を積ませたうえで、インドネシアにおいて、ローカルスタッフと日本人のブリッジとして、インドネシアビジネスの難しさ、リスクの回避のために重用している。それほど、我々が当地においてできることは限られているし、無知であることを認識しておく必要がある。
上記のように、インドネシアにおいて仕事をするという謙虚さと学ぶ意識を持ちながら、日系企業としての存在意義を突き詰めていくことこそがインドネシアでのビジネスの成功のカギとなることは間違いない。
陽気なインドネシア人をうまくコントロールすることが成功の鍵
朝礼の様子。謙虚に日本流を貫く姿勢が重要