税金の取扱いは国により違うのは、当然ですが、インドネシアにおいて、VATの計算については、よくよくその特徴的な取り扱いには注意が必要な項目の一つです。先ほど、記載した通り、PKPを取得している会社は、当月のVAT計算につき、翌月末までに納付申告するというスケジュールで計算、納付していきます。この計算には、Invoiceと一緒に添付されているFaktur Pajakという書類に基づき、行っていきます。
問題なのは、当該Faktur Pajakの取扱いが、税務当局において非常に厳格で、(なかには非常に不合理な指摘も多くあり)、しばしば、税務当局との調整が必要な項目となっています。このFaktur Pajakは法定の記載事項となっているのですが、たとえば、会社の住所が税務署登録と違う、記載に漏れがある、あるいは、書類自体が汚れており読めない、といった指摘もあります。
通常、下記のような印字タイプのFaktur Pajakを使うことも多いですが、そうでない場合は必ず法定記載事項を記載する、もしくはコンサルタントに確認することが必要です。また問題となるのは、仕入れインボイス(支払インボイス)ですので、仕入れ先から来たFaktur Pajakは必ず、NPWPと突き合わせて確認するようにアドミスタッフに教育することも重要です。
インボイス対策は一つの例で、その他定型的に狙われやすい税務当局対策はいくつかあります。例えば
ロイヤリティ、
支払利息否認、
為替差損の否認といったテーマです。
ロイヤリティに関しては、契約書の用意、料率の確認(まったく法的な根拠はありませんが、一般的に売上連動型ロイヤリティで3%を超えるものは当局に指摘されるケースが多くあります)をすることでリスクの軽減が可能です。
支払利息は特に親子ローンの場合に問題となるケースが多いですが、契約書(英文)を用意し、市場金利を調査したうえでの設定をしましょう。また、加えて、過小資本の指摘リスクもあるので、キャッシュの調達源泉として、融資・増資のバランスを考慮したうえで検討するようにしましょう。派生の論点ですが、金融機関以外からの借り入れに関してはインドネシア中銀に報告義務があるのでそれも怠らないようにしましょう。
為替差損については、Tax Rateをきちんと使い、仮に会計上のRateを異なる場合は、別管理できるように会計システムに入力しておくようにし、Tax Rateで計算し指摘リスクを減らすようにすることが必要です。
このように、税務上狙われるテーマはある程度、決まっていますので、未然にリスクを軽減する意味においてテーマごとの対策を練っておくことが重要です。
Tax Invoiceと法的記載事項
項目説明 | |
1 | TAX INVOICE NUNBER |
2 | 販売者名 |
3 | 販売者住所 |
4 | 販売者納税者番号 |
5 | 購入者名 |
6 | 購入者住所 |
7 | 購入者納税者番号 |
8 | 明細番号 |
9 | 品名 |
10 | 外国通貨 |
11 | ルピア |
12 | 小計価格 |
13 | 値引き額 |
14 | 前受け金 |
15 | 課税対象額 |
16 | 付加価値税 |
17 | 関税率、賦課課税額、奢侈品税 |
18 | 日付 |
19 | サイン欄 |
20 | 留意事項 |
21 | 為替レート |
インドネシア現地法人代表
社会保険労務士 加藤大和
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