コンサルタントの現場から~コンサルタントの現場から今注目される話題をお送りします~
■コンサルタントの現場から①年金保障と会社年金制度、社会保険と企業保障
実務上、猶予期間があるものの、インドネシアで国民年金制度が今年スタートしました。以前BPJSの概要をお伝えしましたが、今回は、年金支給の観点から、BPJSのインパクト、および企業の対応、特に、企業年金制度について、考えたいと思います。
そもそも、インドネシアには、JHTと呼ばれる、積立一時金の制度しかなかったものから、高齢化を見据え、先進国同様の、年金制度、国民皆年金を目指したものです。
概要は下記のとおりです。
1)積立金は、初年度は、会社保障 2%、従業員1%(3年ごとの見直しで8%まで),
2)積立金の根拠となる給与の上限は、毎年決定され、2015年は、7.000.000ルピア
3)受給資格は、15年以上の加入、56歳定年後
4)実際の計算式は、1%×(積立金計算期間/12)×インフレ率を考慮した年平均賃金、
要は、1年支払い続けると、年の1%の年金が、毎年戻ってくるという計算。
インドネシアに投資をする立場としては、どうしても、コスト増に目が向きがちですが、高齢化対応という点で考えると、必然の流れとも言えます。
企業としては、その流れにどのように対応するか、ということが重要になるわけですが、インドネシアにおいては、退職金制度が法定されていることもあり、退職後は、一時金で処理するもので、企業年金という文化自体がほぼありません。その意味で、フリンジベネフィットとして、他社との比較において、従業員にとって、魅力的に映ることは間違いありません。5年、10年単位の長期的単位で、こうした退職金制度を考えてみるのもよいといえるでしょう。
社会保険に関してもBPJS新制度となりましたが、最初に登録した病院以外では、非常に使い勝手が悪いなど、まだ運用面で問題があるため、どの企業様も、Outpatient(通院)部分については、現金払戻しの対応(Max 1ヶ月給与等)をとり、一部Inpatient(入院)を、民間医療保険で対応するということが圧倒的です。企業にとっては、その意味で、BPJS分の費用がそのまま固定費として上乗せされる形で大きな痛手を受けています。BPJSと重なる部分の医療保険をいかに削減するかということが、問題ですが、この部分は、民間保険医療保険の魅力あるパッケージを待つしかないと言えるでしょう。企業にとっては、なんとも、頭の痛い話ですが、二重のムダを省きながら、やりくりするしかないと言えます。