【インドネシア労務】解雇紛争の出訴期間(1年ルール)に関する憲法裁判所の新判断と 企業の実務対応

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインドネシア拠点の袖山 彩です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「【インドネシア労務】解雇紛争の出訴期間(1年ルール)に関する憲法裁判所の新判断と
企業の実務対応」についてお話していこうと思います。

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インドネシア労務】解雇紛争の出訴期間(1年ルール)に関する憲法裁判所の新判断と

企業の実務対応】

 憲法裁判所の判決(No. 132/PUU-XXIII/2025)において、解雇された社員が訴訟を起こす
ことができる期間について、従来の「解雇通知から1年以内」とする解釈が見直されまし
た。
これにより、労働関係紛争解決法(UU No. 2 Tahun 2004)第82条における出訴期間の起
算点は、実務上、解雇通知日ではなく、労働局におけるmediasiまたはkonsiliasiにおいて
合意不成立となった日を基準に判断される方向となっています。
現在、インドネシア国会では、労働関係紛争解決法(UU 2/2004)第82条の公式な改正に
向けた審議が進められており、現地ニュース等でも注目されています。
本日は、判決の概要と企業が取るべき対応についてお伝えします。
# 1. 時効の「起算点」の変更
 解雇された従業員が、その不当性を訴えることができる「期限(時効)」の計算方法に変
更が生じています。
・従来の運用:
従来は、解雇に関する訴えは、原則として「解雇通知日」から1年以内に提訴する必要が
あると解釈されていました。
・現在の運用:
今回の憲法裁判所判決により、期間の起算点は解雇通知日ではなく、労働局における調停
(mediasi/konsiliasi)が不成立となった日から1年と解釈されることになりました。
つまり、解雇通知から1年が経過していたとしても、労働局でも紛争解決手続きがまだ終
了していない場合や、合意不成立の時点が後ろ倒しになった場合には、その時点からさら
に1年間、訴訟提起が可能となる余地があります。
# 2. 企業における潜在的リスク
 退職手続きにおいて、元従業員側が二者間交渉を意図的に引き延ばしたり、手続きを放置
したりした場合、解雇の実態が発生してから数年が経過した後に、突如として裁判を起こ
されるリスクが生じます。
裁判で企業側が敗訴した場合、退職金・補償金・未払い賃金等の支払い義務が問題となり
、紛争が長期化するほど、解決コストが膨らむ可能性があります。
# 3. 企業が取るべき3つの防衛策
 1 二者間交渉(Bipartit)の即時打ち切りとドキュメント化
不調に終わる見込みの交渉をダラダラと継続せず、法律上の上限である「30営業日」で明
確に区切り、交渉経過を文書化します。企業側から労働局の手続きへ移行させることで
、「交渉・調停決裂日(=起算点)」を確定させにいくことができます。
2 就業規則(PP)における「異議申し立て期限」の明記
「解雇通知に対し異議がある場合、〇日以内に書面で申し出ること」といった、従業員側
の意図的な放置・遅延を法的に制限する文言を就業規則(PP)や労働協約(PKB)に組み
込むことも可能です。
ただし、このような社内規定は従業員の出訴権そのものを制限するものではなく、あくま
で企業が解雇通知後の手続きを適切に管理するための内部統制上の措置として位置付ける
こととなります。
3 「共同合意(PB)」による早期解決の判断
長期的な裁判リスクやバックペイの膨張を考慮すると、二者間交渉の段階で一定の経済的
補償(パッケージ)を提示してでも、「相互に一切の法的権利を放棄する」という内容の
共同合意書(Perjanjian Bersama)を締結し、早期に事案をクローズする方が、最終的な
トータルコストを低く抑えられる可能性もあります。
<よくある質問(FAQ)>
 Q. インドネシアで解雇された従業員が裁判を起こせる期限はいつまでですか?
A. 憲法裁判所の新たな判決により、従来の「解雇通知から1年以内」ではなく、「労働局
における調停(mediasiまたはkonsiliasi)が不成立となった日から1年以内」と解釈され
るようになりました。
Q. 企業が取るべきリスク対策は何ですか?
A. 当事者間の二者間交渉(Bipartit)を法定の30日で確実に打ち切り、労働局の調停へ移行
させて起算点を確定させることや、必要に応じて共同合意(PB)による早期解決を図るこ
とが重要です。
執筆者:東京コンサルティングファーム  インドネシア拠点  袖山彩

 

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株式会社東京コンサルティングファーム インドネシア拠点
袖山 彩


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