就業ビザ

(1)外国人就労に関わる政府許認可手続き
まず、中国国内の企業で働こうとする外国人は、①「外国人就労許可証」および「被授権単位のビザ申請通知書」をもって取得できる「就労ビザ(Zビザ)」、②「外国人就労証」、③「外国人居留証」が必要になります。

(2)採用可能な外国人従業員の条件
中国における外国人従業員の採用に関して、採用しようとする外国人が従事する仕事に特殊なニーズがあり、中国国内でこの仕事を担う中国人が乏しいという条件の他、当該外国人が従事する仕事に必要な専門技術および相応の勤務経験を本人が有さなければならない等の制約があります。
それらの基準の根拠は、実務では、専門技術を大卒、相応の勤務を2年以上の勤務経験が目安となっています。また、地方によって採用できる外国人従業員の条件が異なるため、事前に確認する必要があります。

(3)具体的手続き
中国の外商投資企業で勤務をする日本人は、「就業査証」(Zビザ)、「就業証」(労働部門発行)、「居留証」(公安機関発行)を取得することが必要です。駐在員事務所の代表として勤務する場合は、これに加えて工商行政管理部門の発行する「代表証」(工作証)が必要となります。

就業査証(Zビザ)の取得
まず、外商投資企業に勤務する日本人の場合の手続きを説明します。外商投資企業は所在地の労働局に外国人雇用就業許可書類および必要書類を提出します。必要書類としては、会社関係書類として、営業許可証、合弁契約書、定款、設立認可証書等があり、雇用される個人の資料として、履歴書、辞令あるいは雇用契約書、資格証明書あるいは最終学歴証明(卒業証明書等)、健康証明書といったものがあります。
就業許可証が発行されたのち、所在地の対外経済貿易委員会等の授権機関に行き、就業ビザ通知書の取得を申請します。
この後、日本において、受け取った就業許可証、就業ビザ通知書に加えパスポート等の必要書類を持参して、中国大使館、領事館で就業ビザの取得申請を行います。
最初の就業ビザは、入国が1回だけ許されるシングルビザであり、中国入国後、公安局に居留証を申請する際にZビザマルチ(数次入国査証)への変更を申請します。

②就業証の取得
中国勤務者は入国後15日以内に、就業許可証、辞令または雇用契約書、パスポート、健康証明書、写真等を持参して労働局に行き、就業証を取得します。
就業証は毎年、期間満了の30日前までに労働局にて年度監査を受け、延長更新を行う必要があります。
就業証は交付期間の定める区域内で有効とされますので、有効区域外で就業するときには改めて就業許可手続きを行うことが必要であるほか、雇用者が変更となった場合で引き続き同じ職種に就く場合には、許可証交付機関の許可を得たのちに内容変更手続きを行います。

③居留証の取得
就業証取得後(入国後30日以内に公安局(出入境管理処)に行き、居留証の申請を行います。居留証の申請には、居留場所の臨時宿泊証明が必要となります。
また、同時にシングルビザをマルチビザに変更するための申請を行います。 居留証は帯同する家族各人も必要です。
居留証の有効期限は一般に就業証の期限に基づき決定されますので、居留証も毎年更新が必要となります。
居留場所を変更した場合には、速やかに居留証の内容変更手続きを行うことが必要となります。

なお、Zビザ、就業証、居留証、(代表証)の3点セット(4点セット)を取得するほかに、所轄税務局への個人所得税の税務登記も必要となります。

中国現地法人駐在員 高橋斉志

関連記事

ページ上部へ戻る