赴任する際の税務リスク(中国側) Q&A

 

こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日も中国Q&Aについてお話します。

 

Q, 中国に日本人が赴任をする上で、考えられる税務上のリスク(中国側)を教えて下さい。

 

A, まず、赴任される方の個人所得税に係るリスクがあります。就業ビザ(通常、赴任される方はこのビザを取得します)を取得して、中国で業務を行う場合、中国で全世界所得課税が行われます。全世界所得課税とは、所得の支払地に関係なしに、その方の所得のすべてが課税対象になることを言います。つまり。赴任される方が仮に、日本と中国両国から給与が支給されていた場合は、その給与額の合算額が給与課税対象となります。よくある事例としては、中国側の財務担当者のミスにより、中国支給の給与のみが課税処理されており、後に中国税務署より、日本側の給与について課税、さらに延滞税(年率18.25%)の支払要求がよくあります。悪質と認められた場合は、追徴課税も発生しますので、要注意です。

 

次に、赴任される方が日本法人のPEと認識され、PE課税されるリスクがあります(出向者PE)。PEとは恒久的施設(Permanent Establishment)を意味します(日中租税条約第 5 条)。出向者PEとは、出向者自体が出向元(日本法人)のPEと扱われることを言います。具体的には、日本法人が立替えた出向者への給与について、中国法人が当該給与を日本法人へ送金する際、その送金額が出向者を通じて日本法人が中国法人に対して役務提供した対価であると認識されます。その結果、送金額に対して、企業所得税(日本でいう法人税)、増値税・営業税(付加価値税)等が課税されます。対策としては給与負担を中国法人のみすることがベストですが、それが無理な場合は日本法人から出向者へのコントロールはでき限り避け、出向者が中国法人の為のみに役務提供しているような体制や必要書類(労働契約書等)を整備する必要があります。

 

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