税関によるロイヤリティ課税について

こんにちは、中国・上海の三輪常敬です。

 

Q, 中国における税関によるロイヤリティ課税があると聞きました。詳細を教えてください。

 

A,

中国における関税価格の確定についてその法的根拠としては「税関輸出入貨物課税価格査定弁法」(税関総署第213 号令)があり、第7 条及び第11 条にて輸入貨物の成約価格の判定及び加算すべき費用を規定しております。

その中で加算すべきロイヤリティとして、「買主が売主又は関係当事者に対し直接に、又は間接に支払う必要があるライセンスに係る権利の使用料注2。ただし、次に掲げる事由の1つに適合するものを除く。①ライセンスに係る権利の使用料と当該貨物とに関係のないとき、②ライセンスに係る権利の使用料の支払いが、当該貨物の中国国内に対する販売に係る条件を構成しないとき」(査定弁法第11 条3 号)とされております。

また、①のロイヤリティと輸入貨物の関係性については、下記のとおり規定されています。

「ロイヤリティが特許権又はノウハウ使用権の支払いに用いられ、かつ、輸入貨物が次に掲げる事由の1つに属するとき、そのロイヤリティについては、輸入貨物と関係があるものとみなさなければならない。(1) 特許又はノウハウを含むもの、(2) 特許方法又はノウハウを用いて生産されたもの、(3) 特許又はノウハウを実施するため専門的に設計され、又は製造されたもの」(査定弁法第13 条1 号)

 中国における多くの日系企業は、親会社と技術移転契約、商標権使用許諾契約などを締結しており、対価としてロイヤリティを支払っています。この状況下において、上記の(1)や(2)に該当することで、日本親会社から原材料や部品を輸入する際の成約価格にロイヤリティが加算された輸入価格にて関税がかけられる場合があります。

 

今では、通関申告書を記入する際に「特殊関係」などの関連情報を自主的に申告することが必要となっており、特にロイヤリティの支払いの確認についてその記入(「YES」or「NO」)を企業に求めることにより、貨物の輸入とロイヤリティの支払いがリンクされることとなっております。

 

中国子会社とのライセンス契約を締結する際には、貨物輸入の状況をふまえ、契約の取り決めや表現を吟味したうえで作成することをお勧めいたします。

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