中国の時間外労働及び割増賃金

中国の時間外労働及び割増賃金についてお話しします。

まず、時間外労働時間について。

中国の労働時間は、日本の労働基準法とほぼ同じ内容で、1日8時間以内、週平均44時間以内、休日は週1日以上を保証、1年以上勤務した労働者には年次休暇を与えるとなっています。 (労働法36条、38条、45条)

日本の労働基準法では、通達による制限はありますが、基本的に労働限度時間について定められていません。しかし、中国の労働法は具体的に労働限度時間を定めています。
労働法41条には、使用者は、生産経営の必要により、労働組合及び労働者と協議した上で、労働時間を延長することができるとされています。しかし、この場合、通常1日1時間を越えてはならないとし、特殊な理由により労働時間を延長する必要がある場合には、労働者の健康を保障する条件の下で、1日3時間を越えない範囲で延長することができます。また、1ヶ月当たり36時間を越えてはなりません。

次に時間外労働や休日労働の割増賃金額について

日本の法律では、時間外割増25%以上、休日割増35%以上となっていますが、中国の
時間外手当等は、日本に比べて非常に高くなっています。
通常の残業の場合は賃金報酬の150%を下回らない金額を、休日出勤の場合は賃金報酬を下回らない金額を、法定祝日出勤の場合は賃金報酬の300%を下回らない金額の割増賃金を支給しなければなりません(労働法44条)。

なお、法定休暇日とは、元旦、春節、メーデー、国慶節など法律で定めた休暇・祭日のことをいいます。法定休日・祝日以外の休日に労働者を稼動させた場合であっても、代休を与えることができれば、割増賃金支給の必要はありません。また、中国には日本のような深夜労働割増賃金に関する規定はありません。

なお、企業が上述の制限規定に違反した場合、労働行政部門による期限内での改善命令を受けることになります。かつ、該当する労働者1名ごとに100元以上500元以下の罰金が科されますので注意が必要です。

以上

中国滞在員 高橋 斉志

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