中国の外貨管理体制-外貨管理制度

中国の外貨に対する規制の歴史を振り返ると、1979年までの外貨管理制度は、非常に厳しい制度だったといえます。当時の中国では、外貨が非常に少なかったため、中国国内企業や個人が得た外貨を中国国家に戻すことを強制していたのです。まず、受領した外貨は中国国家に売却しなければならず、また、外国人(中国人以外)が中国で買い物をする際は、外貨(元以外の通貨)と外貨兌換券を交換し、外貨兌換券で支払をしなければなりませんでした。この外貨兌換券とは、国内通貨から外貨への両替(兌換)が不可能な場合に、その国内銀行から発行される通貨をいいます。中国においては、1994年頃まで人民元から外貨への両替が禁止されていました。中国政府による外貨管理を徹底して行うために、中国国内での外貨の所持を禁止し、外貨兌換券に交換していました。
1980年に外貨管理暫定条例が公布され、国際収支の均衡を図るようになりました。制限付きで中国企業に外貨の保有を認め、次に外貨調整センター(1980年に設立された人民元と外貨の交換を目的とする機関。中国各都市に設置され、外資導入や貿易等を促す役割を担う。1998年に廃止)と中国企業の間で外貨・人民元を自由に交換できる仕組みを作りました。さらに、中国国家外貨管理局が公表為替レートを決めるという仕組みも作り、実勢為替レートと公表為替レートが共在する二重為替相場制度となりました。
1994年からは、中国企業の外貨保有が禁止され、一方で経常支出項目であれば外為指定銀行で人民元と外貨が交換できる制度に変わりました(次項を参照)。また、外貨調整センターと中国企業間での外貨・人民元交換を禁止し、銀行間外為市場を基にして人民銀行が市場為替レートを決定する制度が採用され、現在の統一的に管理された変動為替相場になりました。その他、経済のグローバル化に対応するように、外貨の受取と支払の照合確認制度の導入(1990年代)、外貨兌換券の廃止(1995年)、対外債務登記制度の整備(2003年)等が行われました。

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