こんにちは。東京コンサルティングファーム ブラジル駐在員の金内です。
今週はブラジル税務について記載いたします。
現在ブラジルでは、ブラジル国内企業による外貨の借り入れや海外から流入する資金に対して、金融取引税(IOF:Imposto sobre Operações Financeiras)が課税されています。
金融取引税は国内の通貨流通量をコントロールする手段のとして制定されている連邦税です。融資(貸付)、為替取引、保険取引、証券取引、及び金融機関の金(ゴールド)の取得といった取引が課税の対象となります。外国企業がブラジルに現地法人を設立し、資本金を払い込む際にも、金融取引税が課税されます。外貨取引に関しては0.38%~6%で課税され、資本金取引の場合は0.38%、貸付金取引の場合は6%課税されます。
海外からの資金調達に課税される金融取引税は、課税の適用範囲が限られており、親子ローンや融資目的での海外送金については2012年末の法改正で「1年以内の融資」と変更されています。つまり、海外から調達した外貨資金を1年以内に返金、もしくは国内法人への資本金組み入れ等に使用しない限り、課税対象からは外れることになります。よって、海外からの親子ローンや融資の返済期限を1年以上に設定することで、金融取引税の課税を回避することが可能といえます。
金融取引税適用範囲の緩和についてブラジル政府は、「国内企業が生産拡大に向けて流動資産や投資に充てる資金を調達しやすいようにすることが狙い」としています。
【以下、直近の当該課税適用範囲における変更推移】
2012年3月変更
税率:6%/適用範囲:5年以内
2012年6月変更
税率:6%/適用範囲:2年以内
2012年12月変更(⇒現在)
税率:6%/適用範囲:1年以内
また、2013年1月には、海外投資家が国内株式市場に上場する不動産投資信託(REIT:Real Estate Investment Trust)を取引する際に課していた6%の金融取引税を撤廃しています。ブラジル政府は「不動産セクターへの長期投資を活性化することが目的」と説明しており、経済成長率が伸び悩むブラジルにとって、インフレへの懸念もありつつ、外国からの投資を促進する政策を取らざるを得ない状況となっています。
以上