バングラデシュにおける商標登録

法務

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループバングラデシュ拠点の塚田 涼太です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「バングラデシュにおける商標登録」についてお話していこうと思います。

バングラデシュに関する基礎知識が知りたい方は、こちらから▼
・バングラデシュの基礎知識
バングラデシュに関するセミナーに参加したい方は、こちらから▼
・バングラデシュ関連セミナー


【バングラデシュにおける商標登録】

 本日は、バングラデシュにおける商標登録について解説いたします。

  1. 概要

 バングラデシュでは2009年商標法(2015年改正)(Trade Marks Act, 2009)および 2015年商標規則(Trade Marks Rules 2015)に基づいて商標登録が規制されています。登録が完了すると、最初の7年間は独占的権利を取得でき、その後も10年ごとの更新により実質的に無期限で保護を継続することが可能です。

 これら商標の登録・管理は特許・意匠・商標局(DPDT: Department of Patents, Designs and Trademarks)にて行われ、具体的な手続きや期限を定めております。

 バングラデシュではニース分類(Nice Classification)を採用しており、商品とサービスを45のクラス(商品34クラス、サービス11クラス)に分けています。マルチクラス出願は認められておらず、クラスごとに別個の出願が必要である点に注意が必要です。

 

  1. バングラデシュで登録できる商標とは?

 バングラデシュで使用中または使用予定の商標を所有する個人または法人は申請可能です。登録可能な商標には以下が含まれます:

  • 個人または企業の識別可能な名称
  • 署名または写真
  • 発明された独自の言葉
  • 商品・サービスを直接説明しない言葉
  • 文字、数字、またはそれらの組み合わせ

 バングラデシュで使用される記号:

  • ™ – 未登録商標(出願中の商標を含む)
  • SM – 未登録サービスマーク(出願済み)
  • ® – 登録商標(DPDTで正式に登録された場合)

 

  1. 登録プロセス

STEP 1: 商標検索(TM-4)

 任意ですが、同一または類似の商標が既に存在しないかを確認するために検索を行うことを強く推奨します。後の審査での拒絶や、第三者との紛争リスクを低減できます。オンラインツールや公式データベースで検索可能です。

  • 検索申請フォーム:TM-4
  • 政府手数料+VAT(数千BDT程度)

STEP 2: 委任状(TM-10)

 外国人または外国法人など、バングラデシュに住所や事業所を持たない申請人は、通常、バングラデシュの代理人または弁護士を通じて商標を申請します。そのため、代理人宛の委任状(Power of Attorney/TM-10)を作成します。

 委任状(TM-10)の要件:

  • 外国企業のレターヘッドで正式に作成
  • 権限者が署名し、役職を明記
  • 提出費用:政府手数料+VAT(数千BDT程度)

STEP 3: 商標登録オンライン申請(TM-1)

a) 必要書類・情報

 申請には以下の情報・書類が必要です:

  • 商標/ロゴ/デバイスの鮮明なコピー
  • 申請者の氏名、国籍、住所
  • 署名者の情報(法人の場合)
  • 申請者の性質:製造者/商人/サービス提供者
  • 商品/サービスの説明および NICE分類のクラス
  • 初回使用日または使用予定日
  • 委任状(必要な場合)

b) 商標申請の政府手数料

  • 出願フォーム:TM-1
  • クラスごとに政府手数料が発生
  • クラス数が増えるほど、費用も比例して増加します。

STEP 4: 申請受付の確認

申請と必要手数料の支払い後、登録官から自動生成された受領書が発行されます。この受領書には申請番号、提出日、商標情報などが含まれ、申請が正式に受理された証拠となります。

STEP 5: 申請の審査

 登録官は、商標が独自であり、既存商標と衝突していないかを審査します。

  • 問題なければ受理通知書(Letter of Acceptance)が発行され、商標ジャーナルへの掲載に進みます。
  • 異議や問題があればオフィスアクション(審査結果通知)が発行され、申請者は
  • 通知日から2か月以内に、
  • 必要に応じて 延長申請(通常、最長+2か月程度まで)を利用しながら、法的説明、使用証拠、修正等を提出する必要があります。

STEP 6: 公告(Publication)段階(TM-9)

 審査を通過し、登録官が応答を受理した後、商標は商標ジャーナルに公告されます。

  • 公告の目的:一般に通知し、異議申立てを受け付けること
  • 公告後 2か月以内に第三者による異議申し立てが可能
  • 所定フォーム:TM-9
  • 政府手数料+VAT(数千BDT程度)

STEP 7: 異議申し立て(TM-5/TM-6)

 商標ジャーナルに掲載後、誰でもTM-5 による異議申し立てが可能です。

  • 異議申立期間:公告日から2か月以内

 登録官は異議申立てを受理すると、申請人に対し通知を行い、申請人はTM-6による反論書(Counter-Statement)を提出します。

  • 反論書の提出期限:異議通知の受領から原則2か月以内

 その後、両当事者は証拠提出・意見書・聴聞(Hearing)等の手続きを経て、登録官が最終判断を行います。決定に不服がある場合、決定通知受領後、一定期間内に高等裁判所へ控訴することが可能です。

STEP 8: 登録取得(TM-11)

  • 2か月以内に異議が提出されない場合、または異議が申請者に有利に解決された場合、登録官は最終登録手数料の支払いを指示します。
  • 手数料支払い後、登録官は 登録証明書(Certificate of Registration)を発行
  • 商標の初回有効期間:申請日から7年間(2009年商標法 第22条)
  • 所定フォーム:TM-11
  • 政府手数料+VAT(数千BDT程度)

STEP 9: 商標登録の更新(TM-12/TM-17)

  • 初回の7年期間およびその後の各10年期間について、更新手続きが必要です。
  • 更新申請は、有効期限前(目安として満了の数か月前)に行うのが安全です。

 更新手続き:

  • 通常更新:TM-12
  • 政府手数料+VAT(数千BDT程度)
  • 満了後の遅延更新:TM-17
  • 有効期限経過後も、一定期間は、遅延料を追加で支払うことで更新が認められる場合があります。
  • 遅延に係る追加手数料が発生

4. 全プロセスの推定所要期間

・  検索・申請(STEP1~4):1–3営業日

・  審査報告(STEP5):6–12か月

・  ジャーナル掲載(STEP6):2–4か月(受理後)

・  異議期間(STEP7):2か月(60日)

・  証明書発行(STEP8):2–3か月(異議手続き完了後)

 累計推定期間:18–24か月

 以上。

 今回は「バングラデシュにおける商標登録」について解説しました。

 私たち「東京コンサルティングファーム」は、会計事務所を母体とした20ヵ国超に展開するグローバルコンサルティングファームです。

 海外現地では日本人駐在員とローカルスタッフが常駐しており、また各拠点に会計士・税理士・弁護士など専門家チームが所属しているため、お客様の多様なニーズに寄り添った対応が可能です。

 本稿に関するご相談はもちろん、海外進出から海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築など、海外進出に関する課題がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※本記事は、バングラデシュに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。

 

この記事に対するご質問・その他バングラデシュに関する情報へのご質問等がございましたらお気軽にお問い合わせください。

※画像クリックでお問い合わせページへ移動します

【PR】海外最新ビジネス情報サイト「Wiki Investment」


※画像クリックでWiki Investmentページへ移動します

進出予定の国、進出している国の情報収集に時間かかりませんか?

進出してビジネスを成功させるためには、その国の知識や実情を理解しておくことが
必須となってきます。

しかし、情報が溢れかえっている社会では
どれが本当に信頼できる情報なのか?が重要になります。
そんな「信頼できる情報」をまとめたサイトがあれば、どれだけ楽に情報収集ができるだろう…

その思いから作成したサイトがWiki Investmentです!!

弊社東京コンサルティンググループは海外20カ国超に展開しており、
その現地駐在員が最新情報を「Wiki Investment」にまとめています。

【Wiki Investmentで何ができる?

・現地駐在員が毎週ホットな情報を更新するNews update

・現地に滞在する方からご質問頂く、
 より実務に沿った内容が記載されているQ&A集

・当社が出版している海外実務本をデータベース化したTCG書籍

などの新機能も追加しました!

 

経営者・幹部層の方におススメしたい【全ての経営者へ贈るTCGブログ】

※画像クリックで「TCGブログ」ページへ移動します

会社経営や部下のマネジメントをしていると、様々なお悩みって出てきませんか?

どうしたら、会社は良くなっていくんだろう・・・
・部下が育ってくれるにはどうしたらいいんだろう・・・

そういったお悩みをもつ経営層の皆様におススメしているブログがございます。
コンサルティングファームとして、これまで多くの企業様と関わり、
課題を解決してきたコンサルタント達による

経営課題や悩みについて解説したブログを無料公開しております。

もっと会社を良くしたい!、マネジメントについて学びたい!

そうお考えの皆様におススメのコンテンツとなりますので、ぜひご覧ください!

・「全ての経営者へ贈るTCGブログ」はこちらから


 

 

 

 

 

 

 

Tokyo Consulting Firm Limited(Bangladesh)

塚田 涼太(つかだ りょうた

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。

関連記事

労働法改正:労働組合制度が大幅変更

ページ上部へ戻る