バングラデシュの労務における雇用契約書(Appointment Letter)と就業規則(Service Rule)についてご紹介致します。
バングラデシュでは、雇用契約書は社員と会社での個別の内容を記載し、就業規則で全社員と会社間のルールを周知する目的で作成されます。
【雇用契約書(Appointment Letter)】
バングラデシュでは、雇用契約時に雇用契約書(Appointment Letter)を作成する義務があります。雇用契約書は日本の雇用契約書と採用通知書の要素を1つにまとめたようなものです。雇用契約書は通常ベンガル語もしくは英語で書面により作成されますが、多くの日系企業では英語で作成されることが一般的です。
雇用契約書は、労働法に準じた内容で作成する必要があり、基本的には会社と個人との個別の内容、例えば入社日、役職名、仕事内容、給与、賞与、休暇、退職についての文言を含みます。バングラデシュの労働法上、一定の試用期間が設けられており、職種等によって試用期間の取扱いが異なっています。事務職労働者の試用期間は最長6カ月、その他の労働者の試用期間は最長3カ月まで規定することができます。
また、熟練労働者の場合、最初の試用期間3カ月中に労働者の資質を判断しかねる場合には試用期間をさらに3カ月延長することもできます。
その際に、個人所得税をどちらが負担するのかを明確にすることをおすすめしています。日本では広く個人所得税の源泉という概念がありますが、バングラデシュにおいては個人所得税の認知度が未だに低く個人所得税の源泉について会社と従業員の間で、もめるケースが少なくありません。
【就業規則(Service Rule)】
バングラデシュにおける就業規則は、労働者の職場全体のルールを規定するものとして存在します。
作成義務はありませんが、もし作成する場合は労基署へ登録しなければなりません。就業規則は、社内でのルールを制定してトラブルを避けるためにも、進出直後に人数が少ない場合でも作成しておくことが望ましいといえます。すべての雇用主は2006年労働法の遵守義務がありますので、就業規則を作成する際にも労働法の規定に準じて作成する必要があります。就業規則も雇用契約書と同様に英語で作成されることが一般的ですが、英語のわからない従業員数がいる場合は全社員が理解できる言語で用意しておくのが好ましいです。
バングラデシュで従業員を雇用する際には、労働法だけでなくバングラデシュの慣習を理解した上で作成することをお勧めします。
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齋藤かおり
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