皆さん、こんにちは!東京コンサルティンググループ バングラデシュ拠点の塚田涼太です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。今回は「中小企業向け最低法人税の免除措置」について説明いたします。
何が起きているのか ― 年商2億タカ以下の企業を最低法人税の対象外に
バングラデシュ政府(国家歳入庁:NBR)は、年間売上高が2億タカ以下の企業について、最低法人税(Minimum Tax)の課税対象から除外する方針を発表しました。これにより、対象となる中小規模の企業は、たとえ黒字・赤字にかかわらず売上高に応じて課されてきた最低法人税の納付義務を免れることになります。
今回の措置は、中小企業の税負担軽減とビジネス環境の改善(Ease of Doing Business)を目的とした一連の施策の一つと位置づけられています。
制度の背景 ― 「赤字でも納税」を強いてきた最低法人税の仕組み
バングラデシュの法人税制には、企業の利益水準にかかわらず売上高(総収入)を基準に一定率の税額を最低限納付させる「最低法人税」の仕組みが存在します。この制度は税収確保の観点から導入されたものですが、創業間もない企業や薄利・赤字状態の中小事業者にとっては、利益が出ていない年度でも一定の税負担が発生するため、資金繰りを圧迫する要因として以前から指摘されてきました。
特に、駐在員事務所に近い小規模な現地法人や、立ち上げ初期で投資回収前の段階にある企業にとって、この最低法人税は経営上の負担として認識されており、業界団体や外国商工会議所からも見直しを求める声が上がっていました。
新措置の主な内容 ― 免除の対象範囲
今回発表された措置のポイントは、年間売上高が2億タカ(約2億6,000万円相当)以下の企業を最低法人税の適用対象から外す点にあります。対象となる企業は、通常の法人税申告において利益に基づく課税のみが適用されることとなり、赤字であれば納税額が生じない、あるいは軽減される可能性があります。
【免除措置の要点まとめ】
・対象企業:年間売上高2億タカ以下の現地法人および支店
・免除内容:総収入を基準とした最低法人税の納付義務の免除
・対象外:駐在員事務所(法人税の納税主体ではないため)
免除の適用時期や具体的な申告上の取扱いについては、NBRから今後発出される施行通達・実務ガイドラインで明確化されるとみられ、対象企業は引き続き最新情報の確認が必要です。
想定される影響 ― 小規模な日系拠点にもプラスの可能性
なお、今回の措置の対象となるのは、バングラデシュで法人税の納税義務を負う事業体、すなわち現地法人(Private Limited Companyなど)および支店(Branch Office)です。駐在員事務所(Liaison Office)は現地での営業活動・収益活動を行うことが認められておらず、そもそも法人税の納税主体ではないため、本措置による直接的な影響は生じません。
日系企業の多くはバングラデシュにおいて駐在員事務所形態で進出していますが、今回の免除措置の対象となるのは、現地法人化した拠点や支店形態で事業を行っている企業に限られる点にご留意ください。
バングラデシュに進出する日系企業の中には、駐在員事務所を法人化した小規模な販売拠点や、事業立ち上げ初期で年商が2億タカ以下にとどまる現地法人も少なくありません。こうした企業にとって、最低法人税の免除は、利益が出ていない期間の税負担を軽減し、資金繰りの改善につながる可能性があります。
一方で、免除の可否は年商の変動によって年度ごとに判定される見込みであり、事業拡大に伴って基準額を超えた場合には、改めて最低法人税の適用対象となる点にも留意が必要です。
日本企業が確認しておきたいポイント
- 自社の事業形態(現地法人/支店/駐在員事務所)を確認し、そもそも法人税の納税義務を負う事業体(現地法人・支店)に該当するかどうかの確認
- 自社(現地法人)の年間売上高が免除基準である2億タカ以下に該当するかどうかの確認
- 免除の適用が始まる会計年度・申告年度の確認
- 免除を受けるための税務申告上の手続き、必要書類の有無の確認
- グループ内に複数の現地法人・拠点がある場合、それぞれの売上規模ごとの適用可否の確認
- NBRから発出される施行細則・通達の継続的なフォローと、顧問税理士・会計士との連携
まとめ
バングラデシュ政府は、年間売上高2億タカ以下の企業を対象に、最低法人税の課税から除外する方針を打ち出しました。これまで赤字であっても一定の税負担を強いられてきた中小規模の企業にとっては、資金繰り改善につながる前向きな動きといえます。
一方で、具体的な適用要件や申告実務の詳細は今後の通達で明らかになる見通しであり、現地で小規模な事業を展開する日本企業においては、自社が対象に該当するかどうかも含め、継続的な情報収集をお勧めします。
東京コンサルティングファームのサポート
今回は、バングラデシュの「中小企業向け最低法人税の免除措置」について解説しました。
私たち東京コンサルティングファームは、会計事務所を母体とした、20か国超に展開するグローバルコンサルティングファームです。バングラデシュでは、日本人駐在員とローカルスタッフが常駐し、会計、税務、労務、会社設立、ビザ・ワークパーミット、M&A、事業戦略、現地法人管理など、幅広い分野で日本企業の皆様をサポートしております。
投資許認可手続き、会社設立、税務申告、現地法人管理に関してご不明点がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
【免責事項】
本記事は、バングラデシュに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言・税務助言を構成するものではありません。また、記事中の数値・情報は報道に基づくものであり、今後変動する可能性があります。
株式会社東京コンサルティングファーム バングラデシュ拠点
塚田 涼太