こんにちは、トルコ駐在員の高津です。
今週のブログはトルコにおける労働者解雇①ついて書かせて頂きます。
トルコでの労働者解雇
トルコでは大きく分けて法律で定めれた正当解雇(Haklı nedenle fesih)また法律には明記されていない有効解雇(Geçerli nedenle fesih)が存在します。
解雇時に解雇の手順や解雇事由に不備があった場合、労働者より労働裁判所に訴えられ裁判所が「解雇無効」の判決を出した場合、再雇用の義務や解雇通知日から現在までの給与だけではなく、補償金の支払いまでも命じられることになります。
(特に第9労働法廷は労働者に対し有利な判決をだすことで有名)
その為雇用者が解雇手順、解雇理由を把握しておくことはトルコにおける訴訟防止に大変有効なものとなります。
特に2016年2月までは30名に満たない事業所での解雇は退職金及び解雇通知手当を支払い即時解雇(有効解雇)が可能でしたが2016年2月17日3452号判決により海外事業所の労働者も30名にカウントすることが決まり、ほぼ全ての外資系企業は従来のような容易な解雇ができなくなったと言えます。
① 正当解雇(Haklı nedenle fesih)
労働法25条に明記された解雇事由が正当解雇に該当し、解雇通知を必要としない解雇となります。(即時解雇可能)
その為、解雇通知手当金を支払う必要もありません。
但し、1年以上勤務している場合勤続年数に応じた退職金(Kıdem tazminatı)を支払う必要があります。(25条2項は例外として支払義務なし)
*参考 労働法25条
有期・無期雇用されている労働者に対し雇用者は以下に掲げる「正当理由」があれば、通知期間又は契約終了期間を待たずに労働者を解雇することができる。
ⅰ. 労働者の健康上の理由
ⅱ. 労働者が背信行為、反道徳行為を行った場合
ⅲ. 労働者が1週間以上の無断欠勤を行った場合
ⅳ. 労働者が逮捕拘留された場合
② 有効解雇 (Geçerli nedenle fesih)
労働法には記載がありませんが、判例上解雇可能とした解雇理由がこの有効解雇に該当します。
なお、この理由に満たない解雇は無効解雇と認定される可能性が高いと言えます。
解雇が無効解雇と認定された場合再雇用義務がある他、上述の通り賠償金の支払いを命じられる可能性もある為、無効解雇認定を避ける為、解雇時の手順及び必要書類を遵守することが望ましいと言えます。
有効解雇と認められる解雇理由として以下3点が挙げられます。
ⅰ. 労働者の能力上の解雇
(別途与えるポジションがない場合、研修等の教育機会を与えたが改善の見込みがない場合等)
ⅱ. 労働者の勤務態度に起因する解雇
(頻繁に遅刻を繰り返し、複数回注意を書面にて行ったが改善の見込みがない場合等)
ⅲ. 経営上の都合による解雇
(経営不振や事業縮小による場合等)
これらは解雇理由として最も頻繁に発生するものですが、それぞれ解雇に至るまでに書面にて警告等行い労働者より署名を受け取る必要があります。
以上となります。
今週も、どうぞよろしくお願い致します。
高津 幸城