株主総会について

こんにちは、トルコ駐在員の高津です。

今週はトルコでの株主総会規定に関して記述して行きます。

■ 株主数

以前の会社法において、トルコ国内で株式会社を設立するときは5人以上の株主が必要でした。しかし、2012年7月以降に施行された会社法においては一人会社の設立が認められるようになりました(304条1項)。 株主は個人か法人か、 居住者か非居住者かを問いません。ただし、 有限会社は株主数を最大50名と定めています(574条1項)。

■ 株主総会

株式会社、有限会社ともに、 株主総会には毎期会計年度終了後3カ月以内に開催される定期株主総会と臨時で招集される臨時株主総会があります(409条1項)。

株主総会では法定事項および定款に定めた内容について決定すべきとされています(408条1項)。決議内容には、 取締役の選任および解任、財務諸表と年次報告書の承認、 配当金の決定、 取締役の報酬の決定、剰余金の処分、株式会社または有限会社の解散等があります(616条)。

また、株主は株主総会の議決権を取締役に委任することも可能です。

その為、株主総会決議の便宜上親会社が現地法人代表者に議決権を委任し手続きの簡略化を

行うケースもあります。

 

[ 開催場所]

株主総会の開催場所は、定款または株主総会の決議により決定されます。 定款または株主総会の決議がない場合は、本社において開催されることになります(407条3項)。

 

[ 招集権者・招集通知]

株主総会は取締役会が招集します。定時株主総会は、会計年度終了後3カ月以内に行わなければなりません。また、必要に応じて臨時株主総会を招集することも可能です(617条1項)。

一般的に取締役の変更、会社設立、会社清算、増資、その他定款内容を変更する際に臨時株主総会を開催する必要があります。

招集通知は株主総会の最低15 日前までに届く必要がありますが、招集通知の送付期間は、定款に記載することにより、最低10日間を限度として延長または短縮することが可能です(617条2項)。また、トルコ商法の411条1項により、少数株主の権利が保障されており、非公開会社の株主資本を少なくとも10%保有する株主、および公開会社の株主資本を少なくとも20%保有する株主は総会の招集を要求する権利を持ちます。少数株主が総会を要求した場合、取締役会は要求を認め、45日以内に取締役会が総会を開催しなければなりません。さもなければ、当該少数株主により株主総会が招集されます。

 

[ 決議および決議要件]

株主総会は普通決議と特別決議があります。原則として普通決議による決定としますが、会社法に規定されている一部の事項については特別決議による決定が必要で、より慎重な決議が求められています。

決議内容は株主資本の過半数の株主が出席し、かつ出席した株主の議決権の過半数により決定します(418条1項、620条1項)。ただし、特別決議が必要とされる事項は株主資本の過半数の株主が出席し、かつ出席 した株主の議決権の3分の2 以上による決議が必要となります(418条1項、621条1項)。

具体的な例示としては、会社の業務内容の変更、議決権優先株式や譲渡制限株式の発行もしくは廃止、株主資本の増加や会社の解散などがあります。

また、株主の議決権行使を保護するために、公開会社においては電子投票による議決権行使を必須とするよう定めています(1527条5項)。

決議内容のうち、616条1項各号において他の機関に権限を譲渡することが不可能なものが列挙されています。具体的には、会社の変更、取締役の選任および解任、財務諸表や年次報告書の承認、配当金の決定、取締役の報酬の決定等が挙げられます。

株主総会が法律、または定款に反して決議された場合は、株主総会に出席した株主は、3カ月以内に、 第1審裁判所に当該株主総会決議を取り消す旨の訴えをすることができます(445条、446条)。

また、株主の権利を害する決議や、法律に規定されている範囲を除き株主に関する情報を調査 、監査、制限するなどの株主総会決議は無効とされています(447条)。

 

[ 定足数]

定足数は原則として株主資本の過半数以上の株主が出席することが規定されています(421条1項)。また、株主総会に出席した株主 の議決権の過半数により、株主総会の決議がなされます(620条1項)。

株主総会を招集したとき に、定足数に満たなかった場合は、遅くとも1カ月以内に再度株主総会 を招集することができます。このときの株主総会の定足数は、3 分の1以上で、少し緩和されることになります(421条2項)。

また、会社は定款に記載することにより、定足数の規定を加重することが可能です(621条2項)。

 

[ 議決権]

株主総会の議決権は、株主が保有する株式の 額面に応じて計算されます。すなわち、1株1議決権が原則で、5 ~ 20トルコリラに対し1議決権として計算されます。しかし、複数の議決権を保有する場合は議決権を制限される可能性がありますが、少なくとも1議決権を行使する権利は有します(618条1項)。

 

■ 少数株主の保護

会社は株主総会が開催される前の15日間は、財務諸表や年次報告書を本社や支店に据え置き、株主の縦覧に供さなければなりません。株主はそれらの写しを請求することができ(437条1項)、監査の結果に関する情報開示を要求することもできます(437条2項)。

なお、会社は株主から要求された情報を開示することで当該会社の利益に重大な損害を被る可能性がある場合は、株主からの要求を拒むことができます(437条3項)。ただし、開示を要求された情報が他の株主が入手することができる情報である場合は、会社の説明責任および誠実かつ公平の観点から、会社は情報開示を拒むことができません(437条2項)。

また、トルコの会社法では、会社が受けた損害の賠償を株主が請求する株主代表訴訟制度があり (555条1項)、すべての株主にその権利があります(555条2項)。

 

以上、になります。

 

高津 幸城

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