【2026年最新版】タイ会社設立・タイ現地法人設立の完全ガイド

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループタイ拠点の松木 祐里香です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「タイでの会社設立」についてお話していこうと思います。

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目次

【2026年最新版】タイ会社設立・タイ現地法人設立の完全ガイド

タイ進出を検討している日本企業の経営者・海外事業責任者の方へ。本記事では、タイでの会社設立・現地法人設立について、実務で使えるレベルの具体的な情報をお届けします。費用、期間、外資規制、BOI認可まで、実際の設立プロセスで必要になる全情報を網羅しました。

 

タイ会社設立の重要ポイント

タイでの会社設立を検討する際、最初に押さえるべき重要ポイントを結論からお伝えします。

費用の目安
・最低資本金: 200万バーツ(約840万円)が一般的
・設立登記費用: 5,000〜7,000バーツ
・実務上の総額: 初期費用として100〜150万円程度(専門家報酬含む)
・ビザ・労働許可: 日本人1名あたり年間15〜20万円

設立期間

・商号予約から登記完了まで: 約1〜2ヶ月
・税務登録・社会保険登録: 登記後2週間〜1ヶ月
・ビザ・労働許可取得: 1〜2ヶ月
・実務開始まで: トータル2〜4ヶ月が標準的

外資規制の有無
タイでは外国人事業法により、原則として外資比率は49%までに制限されています。ただし、以下のケースでは100%外資が可能です
・BOI(タイ投資委員会)認可を取得した事業
・米国籍保有者によるアメリカ条約特権の利用
・特定の製造業・輸出業

100%外資は可能か
可能ですが、条件があります。最も一般的な方法はBOI認可の取得です。BOI認可を得ることで、外資100%での設立が認められるほか、法人税減免などのインセンティブも受けられます。
BOIを取得しない場合は、タイ人株主を51%以上入れる必要があります。ただし、実質的な経営権は株主間契約や議決権設計で確保することが可能です。

BOI取得の要否
・製造業・先端技術: 取得推奨(税制優遇+100%外資)
・飲食・小売・サービス業: 通常は不要(49%規制を受け入れる)
・輸出型ビジネス: ケースバイケースで検討
・不動産・建設: BOI対象外の場合が多い

BOI取得には事業計画の審査に3〜6ヶ月かかるため、スピード重視の場合は49%外資での設立を選択するケースもあります。


タイ会社設立にかかる費用

タイでの現地法人設立にかかる費用を、項目別に詳しく解説します。「思ったより安い」と感じるか「意外とかかる」と感じるかは業種次第ですが、実務的な総額をしっかり把握しておくことが重要です。

最低資本金
タイの会社法では、最低資本金の法定要件は存在しません。しかし、実務上は以下の基準が適用されます

・外国人労働許可取得: 外国人1名につき200万バーツの資本金が必要
・BOI認可企業: 業種により100万〜300万バーツ

・一般的な設定額: 200万〜500万バーツ(840万〜2,100万円)

日本人社長1名でスタートする場合、最低200万バーツ(約840万円)は必須と考えてください。日本人2名なら400万バーツ、3名なら600万バーツとなります。

登記費用
会社登記にかかる実費は以下の通りです。

・商号予約費用: 100バーツ
・会社登記料: 5,500バーツ(資本金による)
・株式証明書: 100バーツ
・定款認証費用: 500〜1,000バーツ
・印紙代: 500バーツ前後

登記実費の合計は約7,000〜10,000バーツ(3〜4万円)程度です。

ビザ・労働許可コスト
・日本人がタイで就労するには、ビザと労働許可証(ワークパーミット)が必要です。
・ビジネスビザ(Bビザ)申請: 5,000〜8,000バーツ
・労働許可証申請: 3,000〜6,000バーツ
・ビザ更新(年1回): 1,900バーツ
・労働許可更新(年1回): 3,000バーツ
・代行業者報酬: 3万〜5万円/名

初年度は、日本人1名あたり15〜20万円程度が必要です。

実務上の総額目安
専門家への報酬も含めた総額は以下の通りです。

・標準的なケース(資本金200万バーツ、日本人1名)
・資本金払込: 200万バーツ(840万円)
・会社設立代行報酬: 10万〜20万円
・会計・税務顧問契約(初期): 5万〜10万円
・ビザ・労働許可代行: 5万〜8万円
・その他実費: 5万円
・合計: 865万〜878万円

BOI認可取得ケース
上記に加えて
・BOI申請代行報酬: 30万〜80万円
・コンサルティング費用: 20万〜50万円
・追加合計: 50万〜130万円

業種別シミュレーション

製造業(BOI認可あり、日本人3名)
・資本金: 500万バーツ(2,100万円)
・設立代行: 25万円
・BOI申請: 60万円
・ビザ3名分: 45万円
・総額: 約2,230万円

飲食業(49%外資、日本人1名)
・資本金: 200万バーツ(840万円)
・設立代行: 15万円
・タイ人株主調整費用: 5万円
・ビザ1名分: 15万円
・総額: 約875万円

ITサービス業(49%外資、日本人2名)

・資本金: 300万バーツ(1,260万円)
・設立代行: 18万円
・ビザ2名分: 30万円
・総額: 約1,308万円

重要: 資本金は「使える資金」です。登記後に事業運転資金として活用できるため、実質的な負担は登記費用や代行報酬のみとなります。


タイ現地法人設立の流れと期間

タイでの会社設立プロセスを、各ステップごとに解説します。「思ったより複雑」と感じるかもしれませんが、専門家のサポートがあれば2〜3ヶ月で完了します。

Step 1: 商号予約(1〜3日)
まず、希望する会社名が使用可能かを確認します。

・タイ商務省DBD(事業開発局)で商号検索
・類似商号がないことを確認
・商号予約申請を提出
・所要時間: 1〜3営業日
・費用: 100バーツ
・有効期間: 30日間(延長不可)

注意点:
・タイ語表記が必須(英語表記も可能)
・既存の有名ブランドに類似する名称は却下される
・「銀行」「保険」など特定業種を示す語は許可が必要

Step 2: 定款作成(3〜5日)
会社の基本ルールを定めた定款(Articles of Association)を作成します。

記載内容:
・商号
・事業目的(複数記載可能)
・資本金総額と株式数
・株主構成と出資比率
・取締役構成
・決算期

所要時間: 3〜5日(弁護士によるドラフト作成)
重要: 事業目的は将来の事業展開も見越して広めに記載します。後から変更する場合、株主総会決議と定款変更登記が必要になります。

Step 3: 株主構成の確定(1〜2週間)
外資規制を踏まえた株主構成を決定します。

49%外資の場合:
・外国人株主: 49%以内
・タイ人株主: 51%以上
・最低株主数: 3名(法人含む)

タイ人株主の選定方法:
・信頼できるタイ人パートナーを探す
・タイ人従業員に少数株を分散
・ノミニー株主サービスを利用(リスクあり)

100%外資の場合(BOI認可):
・日本法人100%保有が可能
・または日本人個人による保有も可

所要時間: 1〜2週間(タイ人株主調整含む)

Step 4: 設立総会の開催(1日)
発起人による設立総会を開催し、以下を決議します。

・定款承認
・取締役選任
・監査役選任(必要に応じて)
・資本金払込方法
・会社住所の決定

議事録作成: 英語・タイ語で作成し、全株主・取締役が署名
所要時間: 1日(形式的な場合は数時間)

Step 5: 会社登記(3〜7日)
商務省DBDに必要書類を提出し、法人登記を行います。

提出書類:
・定款
・設立総会議事録
・株主名簿
・取締役名簿
・本店所在地証明
・資本金払込証明

所要時間: 3〜7営業日

受領書類:
・会社登記証明書(ทะเบียนการค้า / Company Registration Certificate)
・VAT登録証(該当する場合)

注意点: 登記完了までオフィス賃貸契約が必要です。バーチャルオフィスも利用可能ですが、労働許可申請時に実体あるオフィスが求められる場合があります。

Step 6: 税務登録(7〜14日)
歳入局(Revenue Department)で税務登録を行います。

登録内容:
・法人税(Tax ID番号取得)
・付加価値税(VAT): 年間売上180万バーツ超の場合は義務
・源泉徴収義務の登録

所要時間: 7〜14日

必要書類:
・会社登記証明書
・定款
・株主・取締役名簿
・オフィス賃貸契約書

Step 7: 社会保険登録(7〜10日)
従業員を雇用する場合、社会保険事務所で登録します。

登録義務: 従業員1名以上で義務 保険料率: 給与の5%(会社・従業員が各5%ずつ負担) 所要時間: 7〜10日

Step 8: ビザ・労働許可取得(1〜2ヶ月)
日本人がタイで就労するための手続きです。

Bビザ(ビジネスビザ)取得:
・在日タイ大使館で申請(3〜5営業日)
・または近隣国タイ大使館で申請

労働許可証(ワークパーミット)取得:
・タイ国内の労働局で申請
・必要書類: 会社登記証、定款、資本金払込証明、学歴証明、健康診断書

所要時間: 2〜4週間

ノンイミグラントBビザ→1年ビザ切替:
・入国後、90日以内に1年ビザに切り替え
・労働許可証取得後に申請可能

トータル所要時間: 1〜2ヶ月


外国人事業法と外資規制のポイント

タイの会社設立で最も重要なのが「外国人事業法」です。この法律を理解せずに設立を進めると、後で大きなトラブルになる可能性があります。

外国人事業法の概要
外国人事業法(Foreign Business Act, B.E. 2542) は、タイにおける外国人・外国企業の事業活動を規制する法律です。

「外国人」の定義: 以下のいずれかに該当する企業は「外国人」とみなされます。

・外国籍の個人
・外国法に基づき設立された法人
・タイ法人でも、外国人が株式の50%以上を保有する企業
・有限責任組合で外国人が出資額の50%以上を保有

つまり、タイで設立した会社でも、日本企業が50%以上株式を保有すれば「外国人」扱いになります。

49%規制の仕組み
外国人事業法では、事業を3つのリストに分類しています。

リスト1: 外国人の事業参入が完全禁止
・新聞業、ラジオ放送、テレビ放送
・米作、畜産、林業、漁業
・タイ国産の天然資源や鉱物の採取
→ これらの事業は外資参入が一切認められません。

リスト2: 内閣承認があれば参入可能
・国内陸上・水上・航空運輸
・武器・弾薬の製造
・国内民間航空機の運航
→ 実務上、承認取得は非常に困難です。

リスト3: タイ人が競争優位性を持つべき事業(外資49%以下)
以下の事業が該当します。

・米の精米・製粉

・漁業(養殖を除く)
・林業
・仲介・代理業
・建築・エンジニアリング
・会計・法律サービス
・小売・卸売業
・飲食業
・不動産業
・その他サービス業
→ これらの事業では、外資比率を49%以下に抑える必要があります。

外資100%可能な業種
以下の業種・条件では外資100%が認められます。

1. 製造業(BOI認可なし)
輸出向け製造業
国内販売向けでも特定の製造業は可能

2. BOI認可を取得した事業
ハイテク製造業
ソフトウェア開発
地方投資案件
環境関連事業

3. アメリカ条約特権(米国籍限定)
米国籍保有者は、タイ・米国友好通商条約により多くの業種で100%出資が可能
日本企業は利用不可

4. その他例外
国際輸送業
銀行・金融(個別認可)
ホテル業(条件付き)

よくある誤解
誤解1: 「製造業なら100%外資が自動的に可能」
正解: 製造業でも、外国人事業法リスト3に該当する場合は49%規制を受けます。100%外資にするにはBOI認可が必要です。

誤解2: 「タイ人名義株主を立てれば実質100%経営できる」
正解: いわゆる「ノミニー株主」は法的にグレーゾーンです。2006年の法改正で規制が強化され、実質的支配権を外国人が持つ場合は違法とみなされる可能性があります。発覚すれば罰金・禁固刑もあり得ます。

誤解3: 「51%株主が経営権を持つから49%外資では意味がない」
正解: 株主間契約や定款の工夫で、49%株主でも経営権を確保できます。たとえば

・重要事項は全株主の同意が必要と定款に規定
・取締役の過半数を外国人側から選任
・拒否権付株式の発行

と、実務的に信頼できるタイ人パートナーと適切な契約を結べば、49%でも十分な経営権を確保できます。

誤解4: 「外国人事業法違反は見つからない」
正解: 税務調査、ビザ更新時、ライセンス更新時などに発覚するケースが増えています。罰則も厳しく、最高3年の禁固刑または30万バーツの罰金が科せられます。


現地法人・支店・駐在員事務所の比較

タイ進出の形態には、大きく分けて3つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを比較表で整理します。

項目 現地法人(Private Company) 支店(Branch Office) 駐在員事務所(Representative Office)
法人格 あり(独立法人) なし(本社の一部) なし(本社の一部)
設立難易度
最低資本金 実務上200万バーツ〜 300万バーツ〜 なし
営業活動 可能(全業種) 可能(制限あり) 不可(市場調査・連絡業務のみ)
収益計上 可能 可能 不可
外資規制 適用あり 適用あり 適用なし
税務 タイ法人税(20%) タイで課税 非課税(営業活動なしのため)
ビザ取得 可能(労働許可も取得可) 可能 可能(1〜2名まで)
本社責任 有限責任 無限責任 無限責任
設立期間 2〜3ヶ月 3〜4ヶ月 1〜2ヶ月
適したケース 本格進出・長期事業 大規模プロジェクト対応 市場調査・情報収集段階

現地法人(Private Company Limited)

メリット:
・本社と法的に独立しているため、リスクが分離される
・自由に営業活動・収益計上が可能
・タイ国内で資金調達や銀行融資を受けやすい
・事業拡大に柔軟に対応できる

デメリット:
・外国人事業法の規制を受ける(49%規制など)
・設立に一定のコストと時間がかかる
・会計・税務申告義務が発生

適したケース:
・本格的なタイ市場参入
・長期的な事業展開を計画
・タイ国内で収益を上げる予定

 

支店(Branch Office)

メリット:
・100%本社資本で設立可能(外資規制の一部回避)
・本社の信用力をそのまま活用できる

デメリット:
・本社が無限責任を負う(支店の債務は本社の債務)
・外国人事業法の規制は依然として適用される
・最低資本金が高額(300万バーツ以上)
・設立手続きが煩雑

適したケース:
・大型プロジェクトの遂行(建設・エンジニアリング)
・短期的な業務拠点が必要
・本社のブランド力を前面に出したい

 

駐在員事務所(Representative Office)

メリット:
・設立が最も簡単・迅速
・営業活動を行わないため税務申告が不要
・外資規制の影響を受けない
・市場調査に最適

デメリット:
・営業活動・収益計上が一切できない
・契約締結、見積もり発行、代金受領も不可
・できるのは情報収集・連絡業務・本社サポートのみ
・ビザ取得人数が限られる(通常1〜2名)

適したケース:
・市場調査・情報収集段階
・本格進出前のテスト期間
・現地パートナー探し

 

どの形態を選ぶべきか?
ケース1: タイで本格的に事業をしたい → 現地法人を設立してください。外資規制がある業種ならタイ人パートナーと組むか、BOI認可を検討します。

ケース2: まずは市場調査から始めたい → 駐在員事務所を設立し、1年程度の調査期間を経てから現地法人に切り替えます。

ケース3: 大型プロジェクトを短期間で実施 → 支店の設立を検討します。ただし、本社の無限責任リスクを十分に評価してください。

ケース4: eコマースやITサービスをタイで提供 → 現地法人を設立し、49%外資またはBOI認可で100%外資を目指します。


BOI認可を取得すべきか?

BOI(Board of Investment:タイ投資委員会)認可は、タイ政府が奨励する事業に対して与える優遇措置です。外資100%での設立が可能になるほか、大きな税制優遇も受けられます。しかし、すべての企業にとってメリットがあるわけではありません。


BOI認可のメリット

1. 100%外資での設立が可能
最大のメリットは、外国人事業法の規制を免除され、外資100%で会社を設立できることです。

・タイ人株主を入れる必要がない
・株主構成をシンプルに保てる
・経営権を完全に確保できる

2. 法人税の免除・減免
業種や投資規模に応じて、以下の優遇が受けられます。

・法人税免除: 最長8年間(通常は3〜8年)
・法人税50%減免: 免除期間終了後さらに5年間
・合計で最長13年間の税優遇

試算例: 年間利益1,000万バーツの場合
通常の法人税(20%): 200万バーツ/年
BOI認可(8年免除): 1,600万バーツの節税効果

3. 機械・原材料の輸入関税免除
・輸入機械の関税が免除または減免
・研究開発用の原材料・部品の輸入関税免除
・輸出製品製造用の原材料の関税免除

4. 外国人就労者の優遇
・熟練労働者・専門家のビザ・労働許可が取得しやすい
・通常より多くの外国人雇用が認められる

5. 土地所有権の取得
通常、外国人はタイで土地を所有できませんが、BOI認可企業は事業用地の所有が可能です

6. 外貨送金の自由
・タイから海外への送金が自由
・為替管理の制限が緩和

 

BOI認可のデメリット

1. 申請プロセスが複雑で時間がかかる
・申請から認可まで3〜6ヶ月
・事業計画書、財務計画、技術資料などの準備が必要
・コンサルタント費用が30万〜100万円

2. 投資条件・雇用条件の遵守義務
BOI認可には条件が付きます。

・最低投資額: 業種により100万バーツ〜1億バーツ
・タイ人雇用義務: 外国人1名に対しタイ人4〜10名の雇用
・技術移転: タイ人従業員への技術・知識移転
・報告義務: 四半期ごとの進捗報告

3. 違反時のペナルティ
条件を満たせない場合

・優遇措置の取り消し
・遡及課税(過去の免税分を徴収)
・罰金

4. 事業内容の制約
BOIの対象業種に該当しなければ申請できません。また、認可された事業内容以外の業務は行えません。

 

BOI認可が向いている業種

以下の業種は、BOI認可を積極的に検討すべきです。

1. 製造業
・自動車部品製造
・電子部品製造
・医療機器製造
・食品加工(付加価値の高いもの)

2. 先端技術・ソフトウェア
・AIシステム開発
・IoTソリューション
・ビッグデータ解析
・クラウドサービス

3. 環境・エネルギー

・再生可能エネルギー
・廃棄物処理・リサイクル
・省エネルギー技術

4. 物流・インフラ

・スマート物流システム
・冷蔵倉庫
・データセンター

5. 研究開発

・R&Dセンター
・製品デザインセンター

 

BOI認可が不向きなケース

以下のケースではBOI認可は向いていません。

1. 小売・飲食・サービス業
これらはBOI対象業種ではありません。そのため、49%外資で設立するしかありません。

2. スピード重視の事業
認可取得に半年かかるため、急ぐ場合は通常設立を選択

3. 小規模事業
投資額が少なく、雇用も最小限の場合、BOI条件を満たせない

4. 柔軟な事業展開を望む場合
BOI認可は事業内容が固定されるため、事業ピボットが難しいため

判断基準のチェックリスト
BOI認可を検討する際、以下をチェックしてください。
□ 製造業またはBOI対象業種である
□ 投資額が1,000万円以上ある
□ タイ人を5名以上雇用する予定がある
□ 3年以上の長期事業を計画している
□ 税優遇による節税効果が年間100万円以上見込める
□ 事業計画がBOI基準(技術移転、タイ経済への貢献)に合致する

5つ以上該当 → BOI認可を積極的に検討
3〜4つ該当 → コンサルタントに相談
2つ以下 → 通常設立を推奨


タイ会社設立でよくある失敗事例

実務経験から見た、タイ会社設立でよくある失敗事例を紹介します。これらを事前に知っておくことで、トラブルを回避できます。

失敗事例1: 株主構成のミス
ケース: 日本人が実質100%を保有しながら、形式上タイ人名義株主を立てた

何が問題か:
・ノミニー株主の利用は外国人事業法違反の疑いがある
・2014年以降、当局の取り締まりが厳格化
・発覚すれば会社解散命令、罰金、禁固刑の可能性

実際に起きたこと:
・ビザ更新時に株主の実質調査が入り、ノミニー株主が発覚
・労働許可が更新されず、日本人社長が出国を余儀なくされた

正しい対処:
・信頼できるタイ人パートナーと真の出資関係を結ぶ
・または、BOI認可を取得して100%外資で設立
・株主間契約で経営権を適切に確保

失敗事例2: 業種規制の見落とし
ケース: 飲食業を外資100%で設立しようとした

何が問題か:
・飲食業は外国人事業法リスト3に該当
・外資は49%以下に制限される
・BOI認可も飲食業は対象外

実際に起きたこと:
・設立登記時に外資比率違反が指摘され、登記が却下
・株主構成を変更する必要が生じ、設立が3ヶ月遅延
・既に締結していた店舗賃貸契約の家賃が無駄に

正しい対処:
・事前に業種の外資規制を確認
・必要ならタイ人株主を最初から組み入れる
・弁護士・コンサルタントに事前相談

失敗事例3: 銀行口座開設のトラブル
ケース: 会社設立後、銀行口座が開設できない

何が問題か: タイの銀行は、以下の企業の口座開設を拒否するケースが増えています
・実体のないペーパーカンパニー
・バーチャルオフィスのみの企業
・タイ人取締役がいない企業
・事業内容が不明確な企業

実際に起きたこと:
・複数の銀行で口座開設を拒否された
・資本金の払い込みができず、ビザ申請が進まない
・3ヶ月間、事業をスタートできず

正しい対処:
・実体のあるオフィスを賃貸する
・タイ人取締役を1名以上選任
・事業計画書を英語・タイ語で準備
・会社設立代行業者が銀行紹介サービスを提供している場合は活用

失敗事例4: ビザ取得の遅延
ケース: 会社設立後、労働許可が取得できない

何が問題か: 労働許可の取得には、以下の条件があります
・資本金200万バーツ/外国人1名
・タイ人従業員4名/外国人1名(業種による)
・実体のあるオフィス
・正当な事業活動

実際に起きたこと:
・資本金は200万バーツあったが、タイ人従業員の雇用が間に合わず
・労働許可申請が却下され、日本人社長がタイに滞在できない
・ビザラン(出入国繰り返し)を続けた結果、入国拒否に

正しい対処:
・会社設立と同時にタイ人従業員を採用
・少なくとも4名の社会保険加入を済ませる
・ビザ・労働許可の申請タイミングを専門家と調整

失敗事例5: BOI申請の不許可
ケース: BOI認可を前提に計画したが、不許可になった

何が問題か: BOI認可は必ず得られるわけではありません。以下の理由で却下されます
・投資額が基準に満たない
・タイ経済への貢献が不明確
・技術移転計画が不十分
・申請書類の不備

実際に起きたこと:
・BOI認可を前提に事業計画・資金調達を進めた
・申請が却下され、100%外資での設立が不可能に
・タイ人株主を急遽探すことになり、大幅に計画変更

正しい対処:
・BOI申請前にコンサルタントと綿密に相談
・事前審査(Pre-application)を活用
・Plan BとしてBOIなしの49%外資案も準備

失敗を避けるための3つの鉄則

鉄則1: 専門家に必ず相談する タイの法律・税務は複雑で、日本とは大きく異なります。弁護士・会計士・設立代行業者に必ず相談してください。
鉄則2: スケジュールに余裕を持つ 設立には予想外のトラブルが起きます。スケジュールには最低1〜2ヶ月の余裕を見てください。
鉄則3: 実態のある事業を構築する ペーパーカンパニーや節税目的だけの設立は、必ず問題になります。実態のある事業を計画してください。


よくある質問(FAQ)

タイでの会社設立に関して、日本企業からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1: タイ人株主は必須ですか?
A: 業種によります。
外国人事業法リスト3に該当する業種(小売、飲食、建設、会計など)では、外資比率を49%以下に抑える必要があるため、タイ人株主が51%以上必要です。
製造業やBOI認可を取得できる業種では、100%外資での設立が可能なため、タイ人株主は不要です。
ただし、銀行口座開設やビザ申請の観点から、タイ人取締役を1名入れることは実務上推奨されます。

Q2: 会社設立は何日かかりますか?
A: 標準的なケースで2〜3ヶ月です。
内訳:
・商号予約〜登記: 2〜3週間
・税務登録・社会保険登録: 2〜3週間
・ビザ・労働許可取得: 1〜2ヶ月

BOI認可を取得する場合は、さらに3〜6ヶ月追加されます。
急ぐ場合、専門業者に依頼すれば登記までを1ヶ月に短縮できるケースもあります。

Q3: 日本人のみで会社設立は可能ですか?
A: 可能ですが、条件があります。

100%日本人株主での設立が可能なケース:
・BOI認可を取得した事業
・製造業(一部)
・国際貿易業

日本人のみでの設立が難しいケース:
飲食業、小売業、サービス業など外国人事業法リスト3に該当する業種
この場合、タイ人株主を51%以上入れる必要があります
また、実務上はタイ人取締役を1名入れることで、銀行口座開設やビザ申請がスムーズになります。

Q4: 最低資本金はいくらですか?
A: 法律上の最低資本金はありませんが、実務上は**200万バーツ(約840万円)**が必要です。
理由:
・外国人の労働許可取得には、外国人1名につき200万バーツの資本金が必要
・日本人社長1名で設立する場合、200万バーツは最低ライン
・日本人2名なら400万バーツ、3名なら600万バーツ

注意: 資本金は会社の銀行口座に払い込まれるため、事業運転資金として使用できます。実質的な「消える費用」ではありません。

Q5: タイで土地は購入できますか?
A: 原則として外国人・外国企業は土地を購入できません。
購入できないケース:
・一般の外国人個人
・外資50%以上のタイ法人

購入できるケース:
・BOI認可を取得した企業: 事業用地に限り購入可能
・タイ人名義での購入: 配偶者がタイ人の場合など(ただし相続リスクあり)

コンドミニアム: 建物全体の49%までは外国人名義で購入可能

代替策:長期リース: 最長30年(更新可能で最大90年)
借地権: 土地は借りて、建物は自社所有
製造業でBOI認可を取得すれば、工場用地を会社名義で購入できます。

Q6: タイでの法人税率は?
A: 標準税率は**20%**です。
中小企業の優遇税率:
・課税所得30万バーツ以下: 免税
・課税所得30万〜300万バーツ: 15%
・課税所得300万バーツ超: 20%

BOI認可企業:
最長8年間: 法人税免除
その後5年間: 10%減免
日本の法人税(約30%)と比較すると、タイの税負担は軽いと言えます。

Q7: 会社設立後、いつから営業できますか?
A: 登記完了後すぐに営業活動は可能ですが、実務的には税務登録・VAT登録を済ませてからが安全です。
タイムライン:
・会社登記完了: 設立から2〜3週間
・税務登録完了: 登記後1〜2週間
・営業開始: 登記から1ヶ月後が現実的

ただし、日本人が就労するには労働許可が必要なので、完全な事業開始は設立から2〜3ヶ月後になります。

Q8: 駐在員事務所から現地法人への切り替えは可能ですか?
A: 可能です。多くの日本企業が、最初は駐在員事務所で市場調査を行い、1〜2年後に現地法人に切り替えています。
手順:
・駐在員事務所を閉鎖
・現地法人を新規設立
・従業員・資産を引き継ぎ

注意点:
・駐在員事務所の閉鎖手続きが必要(2〜4週間)
・現地法人は新規設立扱いなので、改めて登記手続きが必要
・並行して進めることも可能

Q9: 日本の親会社への配当送金は自由ですか?
A: 基本的に自由ですが、源泉徴収税がかかります。

・配当送金時の源泉税:標準税率: 10%
・日タイ租税条約適用: 多くの場合10%(条件により免除・軽減も)

手続き:
・株主総会で配当決議
・源泉徴収税を納付
・送金手続き

BOI認可企業の場合: 外貨送金の自由が保証されており、手続きが簡素化されます。

Q10: タイから日本への利益送金に制限はありますか?
A: 制限はありませんが、税務上の適正価格に注意が必要です。
自由に送金できる方法:
・配当金(源泉税10%)
・ロイヤリティ(源泉税3〜15%、租税条約により軽減)
・サービスフィー(源泉税3%)

注意点:
・親子間取引は移転価格税制の対象
・適正価格でない場合、税務調査で否認される可能性
・事前に移転価格文書を準備することを推奨


まとめ

タイでの会社設立・現地法人設立について、重要なポイントを総括します。

1. 外資規制を正しく理解する
タイ進出で最も重要なのは外国人事業法の理解です。業種によって外資比率の制限が異なるため、事前に必ず確認してください。

・製造業・BOI対象業種 → 100%外資可能
・小売・飲食・サービス業 → 49%外資まで

2. BOI認可の取得を検討する
製造業や先端技術分野であれば、BOI認可を積極的に検討してください。100%外資での設立が可能になり、法人税も最長8年間免除されます。

3. 信頼できるパートナーを見つける
49%外資で設立する場合、信頼できるタイ人パートナーが不可欠です。ノミニー株主は法的リスクが高いため、避けてください。

4. 資本金とビザ要件を把握する
日本人1名につき200万バーツの資本金が必要です。複数名の駐在を予定している場合、それに応じた資本金を準備してください。

5. スケジュールに余裕を持つ
設立には2〜3ヶ月、BOI認可を含めると6〜9ヶ月かかります。事業開始時期から逆算して、余裕を持った計画を立ててください。

6. 専門家のサポートを活用する
タイの法律・税務は複雑で、日本とは大きく異なります。弁護士・会計士・設立代行業者の専門的なサポートを必ず活用してください。

7. 実体のある事業を構築する
ペーパーカンパニーや節税目的だけの設立は、当局の取り締まり対象になります。実体のあるオフィス、従業員、事業活動を構築してください。

8. 銀行口座開設を早めに進める
近年、銀行口座開設のハードルが上がっています。実体のあるオフィスとタイ人取締役を準備し、早めに口座開設を進めてください。


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