【シンガポール就労ビザ】Sパスを発給する企業が知っておかなければいけないQuota(クオータ)とは?

労務

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1.Sパス発給時に知っておかなければいけない点

Sパスは、中級技能保持者外国人向けの就労パスです。EPに比べて、支給しなければいけない最低月給が低いため、多くの企業がこの制度を活用して、外国人労働者を確保しています。ですが、Sパスを発給する企業はいくつかの点に留意する必要があります。今回はその中からQuota(クオータ)というものについて、解説いたします。

2.Quotaとは

人件費を抑えて労働力を確保できるSパスは、企業にとっては有用な制度です。しかし、シンガポール政府にとっては、企業がSパスの発給をむやみに行い、外国人労働者の比率が無尽蔵に上がっていく状況は好ましくありません。シンガポール政府は今、自国民の雇用促進に力を入れており、外国人の労働人口比率を長期的に下げていくことを発表しています。そのため、Sパスで外国人を雇用することができる枠が会社ごとに設けられており、この枠を超えて、Sパスを発給することは許されません。この枠のことをQuotaと言います。

3.Total Workforceの定義

全従業員のうちSパス保持者が占めていい割合が決められている、というのがQuotaの基本的な考え方で、その割合は業界ごとに多少異なります。(後述)MOMのHPでは、Total Workforceという表現が用いられていますが、ここでは、ローカル従業員の数(PR保持者、取締役含む)、WP保持者(別の記事にて解説)の数、とSパス保持者の数の総和を指しています。従って、EP等が含まれておらず、厳密には「全従業員」ではないことに注意する必要があります。

4.ローカル従業員の人数の数え方

ローカル従業員のカウントはCPFの申告額を基に行われます。月ごとの社員数の変動を加味するため、直近3カ月分の申告額の平均値を、対象の月のローカル従業員の人数のカウントに用います。また、月給により、人数のカウントの仕方が異なります。計算上、一定額以上の月給を稼いでいる従業員のみ「一人のローカル従業員」とみなす、LQS(the local qualifying salary)という考え方があり、2021年現在は、S$1,400がLQSとなっています。S$700 以上、S$1,400未満の月給を稼いでいる従業員は、計算上0.5人とし、S$700未満の場合、従業員としてカウントされません。

5. 業界別Quota

前述の通り、Quotaは業界ごとに多少異なります。2021年時点では、製造業が20%、サービス業が10%、その他の業界が18%となっています。製造業は2022年1月から、18%、2023年1月から更に15%への引き下げが予定されています。また、その他の業界の中から、造船、建築、加工業のみ、2023年1月より15%への引き下げが予定されています。

6.Sパス発給可能人数の計算(実務)

ここまでで、Sパス発給可能人数の計算に必要な材料は揃いましたが、実務上は、Total Workforceに1を足した数値に、業界別の割合をかけて計算をすることに注意が必要です。1を足す理由は、今採用中等の見込みの候補者を加味するためとされています。

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株式会社東京コンサルティングファーム  シンガポール法人

田中勇

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